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『カーリン、お兄ちゃんは?』
『そこでふて寝してるだろ?』
『お姉さま、これは中に荷物を詰めて偽造した物です』
アルッテが毛布をめくるとそこには人の形に置かれた荷物があった。
『世を儚んでその身を動物に食わせにいったんでしょう』
『ナームー』
『アルッテ、ディーニュ! そんな事言ってる場合じゃないでしょ! 探さないと』
『お姉さま、ここに書き置きが。探さないで下さい。とあります。そっとしときましょう』
『それは今、アルッテが書いたよね!』
『アルッテ、探してきて。そうすれば、カーリンの膝枕の権利をあげます』
『ディーニュ!?』
『こう言えばアルッテは頑張ってくれるよ』
『そんな事じゃ……アルッテ?』
気がつけば、そこにはアルッテの姿は無くなっていた。
カーリン達が騒いでいた頃、四郎はカーリン達に見つからない為に森の中を進んでいた。
「考えてみれば、おいらがローレちゃんの所に行けば離れずに済むんだよな。待ってってくれローレちゃん!」
道も分から無いまま勘で進んでいるため、完全に違う方に行っていた。そしてこの時にローレが寒気を感じたとか感じなかったとか。
森の中は星も見えない程に暗いのだが、目の良くなった四郎には少し薄暗いで充分歩ける。その為に見えなくてもいい死体やら、松明を持って歩いていく男達を見つけていた。四郎は関わりたくないので反対の方に行ったが。その先で荷馬車を見つけてしまった。
「うげぇ」
その荷馬車は所々血が付いていてついさっき、襲われたばかりに見えた。そっと中を覗くと血の付いた荷物がそのまま積まれていた。
その中の1つの箱が気になり近づいて見る。大人が一人で運ぶにしては大きい木箱だ。蓋が少し開いているので覗いてみる。
「……女の子?」
中には眠っているディーニュと変わらないくらいの女の子が眠っている。服装はこの辺の人よりも良いものを着ている。どう見てもこんな所にいる子には見えない。四郎はそっと箱の蓋を閉じた。
『何をしてるんです?』
背後からの声にビクッと飛び上がった四郎は振り返って構える。
『とうとう、お姉さまを狙うのを諦めてこんないたいけな少女を襲うとは……お姉さまに何と報告すればいいのでしょうか?』
箱の側で声がして振り向くと箱の中を覗くアルッテが汚物でも見るような目で四郎を見ていた。
「いや、待て! 違うからな。見つけた時にはこうだったんだ。おいらじゃない」
『犯罪者はいつもそう言うんです』
「だから違うって」
『この子にも聞いてみましょう』
「やーめーろー」
箱から出した少女の頬を叩き目を覚まさせる。
「うん……」
まぶたが微かに動きゆっくりと目を開ける。その目の前には今にも食いつきそうな熊の頭があった。声も出せずに驚く少女に、
『がおー』
熊が吠えて少女の足元に水溜まりができる。
「お前が驚かしてどうすんだ」
熊の頭が後ろから現れた手に掴まれて引き抜かれその下からアルッテの顔が現れた。それに更に目を丸くする。
『これが神としてのたしなみだ』
「そんなもん捨てちまえ! 怖がってるだろうが!」
訳のわからない状況に置かれて思考停止しているとどこにでもいそうな青年が声をかける。
「おいらは四郎って言うんだが君の名前は? どうしてここにいたの? 後、おっぱいの大きなお姉さんいない?」
『最後は無視していい。さあ、この男に拐われたって言うんだ! そうしたら首を引き裂く口実ができる!』
「どうして、そっちに持っていくんだよ! 違うからな! 血がついてる荷馬車見つけたんで誰かいないか中見ただけだから!」
少女を置いて言い合いを始めた二人に唖然として足元の冷たさに気がつくまでそれを見ていた。
「あの、ここはどこですか?」
気を取り直して二人に聞いてみる。自分の置かれた状況がわからないのだ。まだ混乱してるとも言う。
「……どこだっけ?」
『お姉さまがいる場所はわかるのだが……』
「ポセットからゴセットの道の途中だよな」
『たぶんな!』
「わかんねえのに何で偉そうなんだよ!」
『ふっ、神だからな』
「えっ? そうだったけ?」
『貴様はーー!』
そんな漫才を見せられた少女は、服の冷たさにもう一度気がつくまでそれを見ていた。
四郎は逃げ出した。
アルッテに回り込まれた。
『お巡りさんこっちです!』
「ちげーよ!」




