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 アカブチサメ討伐から数日後、岩場に集まった四郎達はディーニュの料理を手伝っていた。


『お兄ちゃん、ノコギリ取って』

「ほい」

『次、ハンマー』

「……ほい」

『そこをスコップで掘って』

「おう。……ってちょっと待て!」

『何?』

「オカシイヨナ? 何で工業用具みたいなのが料理にいるんだよ

!」

『おかしくないでしょ? アカブチサメを中から料理してるんだから』


 ディーニュのポケットから出されたアカブチサメの巨体の中。口から入り中程に入った場所で突然穴を開けて掘り進めていた。

 

『この先に魔石があるから先に取っとかないとね』


 肉を裂きばらして奥に進んでいく。普通に動けているのはアルッテの力で闇夜でも見えるようにしてもらっているからだ。


『よおし! あったよ』


 とっったどぉぉぉー! と魔石を掲げるディーニュを覚めた目で見ていると少し恥ずかしくなったのかポケットにしまった。


 その魔石が出た場所に刃が飛び出した。ビックリした四郎を横にディーニュはその場から離れてしばらく待つ。穴が開いた場所からこっちを覗き込んでくるのはハルーカだった。


「チッ、はずしたか……」

「それ、シャレになってないよね!」


 アカブチサメ討伐の時に悪臭を撒き散らし、人々から遠ざけられたハルーカはその時の怨みからこうしてディーニュに攻撃をしてくる。一応神であるディーニュには通じなかったが。


『まあまあ、そんな怒んないで旨いもの食べさせるから』

「私にあんな事した奴の事信じられるか!」

『その姿を維持できるとしても?』

「よろしくお願いします! ディーニュ様!」

「変わり身、早いな。オイ!」

「何を言う! この若々しい体を見よ! この艶かしい足を!」


 穴から出した細く白い足。太ももの付け根まで見えそうで見えない足に普通の男なら生唾を飲むだろう。


「ふーん」


 おっぱい教の信者には通じながッた。その足を掴むと押し返し穴から外に出る。


「ううう……。四郎に弄ばれた」

「……お婆ちゃん、何遊んでるの」


 白く細い足を見せつける様に倒れた姿のまま泣き真似をするハルーカに呆れた声をかけるローレ。その手には銛が握られていて先はハルーカに向けられている。


「お婆ちゃんは下で火の準備でしょ?」

「用意は終わったんじゃ」

「終わってない! もっと大きな油アンコウがいるの!」


 アカブチサメの体の下に穴を掘りそこに海から捕ってきた油アンコウを放り込む。この油アンコウは火を着けると燃え上がり温度は鉄を融かす程となる。


「150匹位捕ってきたんじゃが……」

「もっといるの!」

『ローレお姉ちゃん、後、100匹位捕っといて』

「ほら、行くわよ」


 襟首を掴まれて引きずられていくハルーカを見送り、アカブチサメから降りる。


『それじゃ、お兄ちゃんはあそこにある野菜をアカブチサメに詰めてね』

「お、おう」


 アカブチサメに負けない程の高さの野菜の山を見て顔をひきつらせるのだった。


 こうして野菜を詰めたアカブチサメの穴をふさぎ、油アンコウに火を着ける。油アンコウは青白い炎を出してアカブチサメを焼いていく。その体は黒い燃えカスの様になった。


「これ、食えるの?」

『これは食えないよ』


 そう言ってディーニュはドリルでアカブチサメの横腹だった辺りに穴を開ける。中にはアカブチサメのエキスで色の変色した野菜があった。それをミキサーにかけて液状にしてハルーカに渡す。


「これが若々しいままでいられる薬か?」

『老廃物を出すって意味ならそうだね』


 そう言いながらアカブチサメを解体していく。よく見ると野菜に近い肉は白くなっているが食えそうな色をしている。それを切り取り、アオサメの血を塗り込んでいく。それに調味料をかけて味を調整する。これを串にさして鉄板の上で焼いていく。


『貝取ってきたぞ』

『お姉さまに同じく』


 カーリンとアルッテが青紫色した貝を袋に詰めて持ってきた。二人は別に行動していたのだ。その貝をディーニュはハンマーで潰してしまう。


「あれは珍しい青紫飛び貝。もったいない!」


 全ての貝を潰して海水に入れて火にかける。その中にハルーカに渡したミキサーにかけた野菜液を入れて沸騰させる。沸騰してその色が黒ぽい紫に変化してドロッとしたものになった。それを串に刺した肉に塗り焼いていく。


『できたよ!』


 黒紫色した串焼き。どうにも食欲がわきそうにないそれを四郎は躊躇無く口にいれる。ディーニュの料理を食べてきただけの事はある。


「どうじゃ? うまいのか?」


 目を閉じて感動の涙を流しながら食べる四郎を見て覚悟を決めてハルーカも口に入れた。肉に付けられた黒紫色のタレが肉汁と混ざり合い甘辛い味となって噛めば噛むほどうまくなる。


『はい、お兄ちゃんはこれもね』


 アカブチサメの焼かれて白く濁った目玉。その中からゼリー状の部分を取り出して皿に乗せる。


 四郎の口の中にいれるとゼリーは果実の甘酸っぱさを口の中に広げ溶け消えていった。


『お兄ちゃんはこれでまた……』


 ディーニュの声は四郎には聞こえなかった。


 


四郎の魔改造が……。

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