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「それでは、アカブチサメ討伐の為の作戦会議を行う」
ギルドの会議室に集まったアオザメ狩りの面々の前でハルーカが笑顔で進行する。だが、その目の下には隈ができていて疲れているように見えた。
「なんかあったっけ?」
『気にするな』
「するわ! カーリン、お前もの顔も酷いぞ!」
隣に座るカーリンの目の下にも隈ができて、少しぐったりしている。それでも、力強い眼差しを四郎に向けると、
『気にするな』
有無を言わさない口調でもう一度言った。その迫力に四郎は黙って頷くしかなかった。
『お兄ちゃん、大変だね』
「……?」
ディーニュの言葉に意味がわからず首をかしげる。ディーニュもどこか疲れた顔をしている。四郎以外は知っている。この連日、夜になるとハルーカが四郎に夜這いをかけようと忍び込みカーリンに止められそのまま他の者も巻き込み乱闘へ……ということが、毎晩朝まで行われているのだ。そのせいで女性陣は寝不足であった。四郎はなぜ知らないかと言うと、ディーニュの料理に毎回、睡眠薬が仕込まれていて朝まで起きないからだ。
「アカブチサメは今から5日後、奥の岩場が現れる時とします」
岩場の際奥に大潮の時のみ現れる広場がある。そこには何故か海草も生えずにきれいなままの白い石が敷き詰められていてどんな魚さえも近づかない。
「そこにはアカブチサメも来ないはずだろ? どうするつもりだ?」
「アカブチサメが食いつく餌を用意しています。必ず来ますよ」
ハルーカはそう断言するが大半のもの達には信じられない。その為、席を立ちこの場を去ろうとするものが出てきた。
「信じる者は5日後、岩場まで来てください。これはこの地に住む住人の悲願でもあるのです」
「そうは言っても来るか来ないか確実にわからないものにそうそう着いていくわけにはいかないだろ?」
「そうだ。証拠を見せなきゃ意味ないだろ!」
その声に押されるように会議室の扉が開き、白髪のじいさんが入ってくる。
「証拠は見せることはできないが、ワシが来ることを約束しよう」
「ギルド長?」
「そこのハルーカとは知り合いでワシはそれを知っとる。40年前に腕利きだけでやった時と同じ方法じゃ。失敗してもそれなりの報酬を出そう」
その声にざわつきはさらに激しくなったが、大半の者が来ることを約束した。その姿を見てじいさんはハルーカに親指を立てて見せ、ハルーカも同じように返した。
「この間までしわくちゃのババアだったのがどうして若返った?」
「教えんし、教えても無駄だし」
「……まあ、いいか。お前さんのその姿を拝めただけで良しとしよう」
「年甲斐もなくジロジロ見んな」
目尻の下がった目で上から下まで見た後、遠い目をしてハルーカを見た。
「40年前、お前の両親がアカブチサメに喰われて討伐に着いてきた時は驚いた。そして18年前、お前の息子夫婦が喰われた時は孫のローレの為に血の涙を流さんほど歯噛みして我慢した。孫も独り立ちした今、何を思ってアカブチサメに向かう?」
「今も昔も同じじゃよ。悲しみ、怒り、あの時よりも胸に秘めていた分、アカブチサメに対する憎しみは増している」
ハルーカの目の奥に潜むドロリとした思いを見て背筋に寒いものを覚えたギルド長は、
「胸か……そのせいで成長しなかったのかの?」
気づかぬふりして誤魔化した。
「胸がなんじゃ! ローレがおかしいんじゃ!」
歯ぎしりして悔しがるハルーカを見て笑ったギルド長はそのまま帰ろうとするが、
「ふん! 女は胸じゃないんじゃ。今夜こそ教えてやる」
「……お前、その年でそんな相手がいるのか?」
「ふふん。この体ならいちころじゃ」
『何がいちころですって? アタシにも教えてもらおうか?』
毎晩寝込みを襲いに来るハルーカにイラついているカーリンが睨み付ける。それに不敵に笑い、
「今晩、教えてやる」
『今晩? また朝まで夜通しか? 受けて立つ』
恐い雰囲気で笑い会う二人にギルド長は後退り、
「まさか……二人はそんな関係か……」
この日からこの二人ができてる説が駆け巡る事になる。それが四郎の耳に入り、
「ひと、それぞれだと思うよ」
と遠い目をしてたとか。
「何でじゃ!」
『何でだ!』
この誤解を解く前にアカブチサメ討伐の日は来てしまった。
夜はカーリンとハルーカがヤっているためそっとしときましょう(笑)。(ディーニュ)




