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「四郎達に頼みたいことがあるんだが……」
「やります!」
『即答か!』
アルッテのツッコミが入る。
「彼女の頼みを断る男(おっぱい信者)はいない!」
きっぱりと言い切る四郎に女神達のジト目が刺さるが気にしない。
「それで、頼みは何なの?」
四郎の問に少し迷った表情をした後、意を決して、
「血がほしいんだ!」
「わかりました。首から?」
『ちょ、ちょっと待て!』
いつの間にかカーリンの鉈を手に持ち自分の首に当てる。カーリンがその手を捕まえて止める。
『ウチの爪の方が上手く血管を切れるぞ』
「おお、頼む!」
『頼むな!』
一瞬でドタバタしだした四郎達にオロオロしながら声をかける。
「血は血でも、アオザメの血なんです! 今、アオザメ肉の調理に使っているのは知ってます。それがほしいんです!」
アオザメの肉に血を染み込ませることで、何故か臭みが消えて肉質も柔らかくなる。これがアオザメの肉が売れ始めた訳だ。普通は血が凝固するためあまりとれないのだ。しかしカーリンが血抜きするとその血がかたまらず、数回使える事がわかっている。
「血を分けるのはいいけど、何をするの?」
「ハルーカお婆ちゃんを若返らせる」
『若返るって事は……』
「お婆ちゃんは海の神の血を引いている」
ローレの祖先は数世十代前に名もわからぬ海の神と契りを交わした者がいた。その力は代々形を変えながら受け継がれてきて、ハルーカは海の生物の血で力を得ることができる。
「もう、普通の魚では若返る所か腰痛さえ治せない。だからアオザメの血で試したいんだ」
「……聞きますけど、若返るってどのくらい?」
「多分、私と同じくらい」
「若い頃のハルーカさんて……」
「お婆ちゃんは私を見て若い頃によく似てるって……」
「行きましょう! ディーニュちゃん、アオザメの血をあるだけ持ってきて」
四郎の脳裏にはメロンを付けた若返ったハルーカが写し出されていた。これを見逃したらおっぱい信者じゃない! 絶対に見なければ! その思いで燃えていた。
『キモいんですけど~?』
アルッテのその声も四郎の耳には入らない。
「それでは直ぐに行きましょう!」
「え? いや、今日はお願いしに来ただけで……」
「何を言ってるんですか! お婆ちゃんの腰痛に悩む姿を早く治したいと思ってるんでしょう?」
「そうですけど……」
「なら、直ぐにいくべきです! そして、その喜びを分けてください!」
『四郎が壊れた?』
『お兄ちゃん……』
『いつも通りだと思うが?』
四郎の勢いに押されてローレの家に走る。
「扉が邪魔ーー!」
飛び蹴りで玄関を破壊して押し入る四郎。そのはるか後方に他のみんなが何故か追い付けない四郎に悪態をつきながら走ってきていた。
「なんじゃ!? 敵襲か! 者共出合え!」
「ハルーカ婆ちゃん起きてきたか。丁度いい」
「なんじゃ? 四郎ちゃんか。ま、まさか熟れたこの肉体を我慢できずにむさぼりに来たのか? このケダモノめ」
「いや、違うし! ……ちょっと、なに脱ごうとしてんの!?」
照れながら服に手をかけて不釣り合いな色気を出しながら脱ぎ出す。それを止めようとしてハルーカに四郎が……。
『ナニしてんの?』
四郎の背後から絶対零度の冷たい声が聞こえた。振り返ると鬼の凶相で睨み付けるカーリンが鉈を片手に立っていた。
「カーリン! 話を聞け!」
「カーリンちゃん! 四郎ちゃんが……四郎ちゃんが……急に襲ってきて無理やり」
「何言ってんだ、ババア! 人を超年上好きの変態にする気か! しわくちゃババアには興味はねえ!」
「そう言いながらも、私を離そうとしないくせに」
「脱ぎ出すからな!」
ハルーカと四郎が言い合っているうちに他のみんなもやって来た。
「お婆ちゃん、ナニしてんの?」
ハルーカに向けて冷たい目を向けるローレ。それに目を泳がせて言い訳しようとするが、
「お婆ちゃんが昔モテてたって言うのは耳にタコができるほど聞いてたけど四郎にもそんなことするの?」
「いや、ちょっと若い頃を思い出して……」
「お婆ちゃん、正座」
「……はい」
『四郎も』
「……はい」
仲良く座って説教を受ける。それは空がうっすらと明るくなるまで続いた。
「足が痺れて……」
「立てん」
二人が痺れた足を揉んでいると、ディーニュ達が起きてきた。カーリンとローレ以外は今まで寝ていたのだ。
『それでお兄ちゃん、これ飲ませるの?』
「ああ、そうだった! あまりのことに忘れてた」
ディーニュのポケットから出した瓶にはアオザメの血が入っている。
「おい、ババア。これを飲め」
「何を? どうせ飲むなら四郎のせーー」
「言わせねえよ!」
ハルーカの口に瓶を突っ込んで逆さにする。じたばたしながらもハルーカはその中身をどうにか飲み干した。
「酷い事を年よりは大事に……か、体が……」
飲み干した後、苦しみだしたハルーカの体からシワが消えていき、縮んでいた体が伸びる。
「まさか! 若返ったのか?」
自らの体を触り、確かめるハルーカ。青い髪のローレに似た顔立ちに日に焼けていない白魚のような肌。細い手足、括れた腰。そして、
「何てこった! 神はおいらを見放した!」
泣き崩れる四郎。ハルーカはローレと良く似た容姿を持ちながら一部がスレンダーだった。
この日、四郎の慟哭は辺りに鳴り響いた。
ハルーカはローレの色白無い乳バージョン。
四郎にはお約束でした。(ニヤリ)




