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「ここでいいよね? ここで出るのはそこまで大きくないから」
「ふぁーい。眠いです」
『大丈夫だ。アオザメはちゃんと仕留める』
『ローレお姉ちゃん頑張ってね!』
「……心配だが、行ってくる。危なかったら逃げてね」
『盾があるから大丈夫。最後には囮にする』
「……それじゃ、行くから。危険な事はしないでよ」
心配そうに振り返りながらローレは行ってしまった。
「よし、アオザメ討伐頑張るぞ!」
『『おお~!』』
朝、日の上がる前に起こされて連れてこられた岩場で気合いを入れる。アオザメ討伐は岩場の都合上早い者勝ちであるためにローレによって連れてこられたのだ。ローレがいた場所は大物クラスが釣れる場所なので手前の小物が釣れる場所で分かれたのだった。
「顕現せよ」
四郎の声に答えて竹竿が現れる。
「糸と釣り針は……あるな」
竹竿の先から延びてきた糸の先に不釣り合いな大きさの釣り針が着いている。四郎はそのまま海に投げる。
『お兄ちゃん、エサは付けないの?』
「エサもいったっけ?」
『釣りを知らんアタシもわかるのに……』
「とりあえずあげよう……」
四郎が竿をあげようとするがびくともしない。それどころか海の方へ引きずられていく。
「ちょっと、手伝って」
『頑張るんだ! 四郎!』
『お兄ちゃん、ガンバって~!』
『そのまま、エサになるがよい』
女神3人が観戦モードに入ってこっちを応援している。その間にもジリジリと引きずられる四郎。
『本当に大丈夫なのか?』
『大丈夫。大丈夫。お兄ちゃんは自分の力をわかってないから自覚させるためにも必要なの』
『そうですか? 泣きそうな顔でこっち見てますけど? ウチは嗜虐心が満たされて嬉しいですが?』
そんな話をしている間に足場のギリギリの所に一生懸命踏ん張っている四郎。
「せめて……暴れなければ引き上げられるのに」
生まれて初めて釣竿を持った四郎には魚の引きに合わせる何て事はできない。その為、ディーニュの魔物料理により何とか持ちこたえているが右に左に引かれるままにここまで来てしまった。
何とか踏ん張り助けを求めていたときに不意に糸の引きが止まった。竿が軽くなった瞬間、踏ん張っていた力が竿を持ち上げる力と重なり海の中から糸の先にいるものを引っこ抜いた。
『オオッ! やった!』
喜ぶカーリンの前に四郎を飛び越えたそれが落ちてきた。体長が5m位のアオザメ。それが……。
『ぐるぐる巻きにされてるね?』
竹竿から伸びた糸で頭から尻尾まで糸に絡めとられて身動きできなくなっていた。口も開かないように押さえられている。
「どうなってんの?」
『エルビースの言ってた特別製のせいじゃないか?』
“漁と釣り”の神エルビースの竿はその外見とは違い獲物の自動追尾と捕縛を行う高性能の竿なのだ。しかし、それを使う者の魔力をバカ食いするため普通の人には扱うことはできない。四郎の規格外の魔力があって初めてできることである。
「よし、アオザメを……」
『私がやったよー』
ディーニュの声に振り替えると包丁でアオザメにとどめを差し、腹を割って内蔵を出していた。さばき終わるとそのまま何でも入るポケットに入れる。
「……思ったより早かったな」
『よし、もう一匹いこう。今度はアタシがやる』
鉈を取り出して振り回すカーリン。その前で四郎が竹竿を見ながら考え込んでいる。
「うん、こうしよう」
四郎は準備をし始めた。
「どうだった? アオザメは……」
「ローレさん、大漁です」
日が傾きかけた頃、四郎達を心配したローレは早めに切り上げると様子を見に来た。
そこには竿を地面に突き刺しそれを片手で支えている四郎が手を振っていた。その頭上をアオザメが次々と飛んできてカーリンとディーニュに捌かれていた。
四郎は竿が持っていかれないように岩場に開いていた穴に竿を突き刺し回りを固めると竿から伸びる糸を海に投げ入れた。そこからは早かった。自動追尾して捕獲したアオザメを糸が振り上げ、岩場に落とす。それをカーリンが殺し、ディーニュが捌いてポケットにしまう。そんな作業になってしまっていた。
「なんなの? これ?」
ローレはそんな言葉しか出なかった。
竹竿無双でした。




