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「よーし、今日も頑張るだに!」
「「頑張るに!」」
「キャラ取るなに!」
恒例のザックスいじりを終えて、それぞれの持ち場へ散って行く耕し隊の面々。
「わかってると思うが軽くやるだに」
「ういっす」
四郎は鍬を軽く上げ、降り下ろした。鍬が地面に刺さるとその回りの土が円形に削り取られる。
「もっと優しく撫でるようにやるだに!」
「ういっす!」
今度は普通に鍬が刺さり土が掘られる。
「その調子で頑張るだに」
「ういっす……だに」
「取ってつけるなだに!」
石像を破壊した次の日から思いっきり鍬を振るうと畑を穴だらけにしてしまい、一時、四郎だけが外された。
これは“削り喰らう”神の力の一部を受け取った鍬が制御できないためだ。そして四郎はザックスの特訓を受けた。そうしてようやく思う通りに使うことができるようになった。
「よし、今日中に残りを片付けるだに! 頑張るだに!」
「ういっす」
こうして四郎は耕し隊と一緒に残りの畑を耕して仕事を終えた。
「今日で四郎も最後だし、頑張った四郎のねぎらいに飲むだに!」
「オオー!」
四郎はザックス達に着いて大衆酒場へ向かう。
「今、帰っただに!」
「あんた、お帰り」
「お帰り、兄貴」
テーブルを拭いていた女二人がザックスに返事をする。四郎が隣にたっている仲間どういう関係か聞く。
「ザックスの嫁さんと妹だ」
「~だに、がついてないのに!?」
「食い付く所そこだに!」
四郎達が席に着き注文をしていると奥の方でちょこまかと動いているものが見えた。四郎が何気なく覗くとそこにはディーニュが調理をしていた。
「ディーニュちゃん? 何してんの?」
『あ、お兄ちゃん』
「「お兄ちゃん?」」
耕し隊のみんなから殺意の視線がレーザーのように飛んでくる。
「お兄ちゃんだと?」
「妹にさえそう呼ばれたこと無いのに……」
「なぜだ! こんなことがあっていいのか!」
「俺の弟と交換してくれ」
「ぜひ、僕の嫁に……」
「やらねえよ! お前、嫁いるだろ!」
嫁にと言った奴は隣の奴にひっぱたかれた。そいつらを無視してディーニュにもう一度ここで何してるのか聞いた。
『料理ができるから時々手伝ってるの』
ディーニュは“ゲテモノ料理”の神だが食材をうまく使うことにたけている為、お手伝いとしての腕は高い。その腕を買われて酒場の手伝いでお金を稼いでいた。
『よし! 今日は私が頑張っちゃうよ! お兄ちゃん楽しみにしててね』
「ディーニュちゃん。頑張って」
「ここは天国なのか? 妹の料理を食べられるなんて……」
「いや、違うだろ?」
「そうだ! あーんしてもらおう!」
「いや、させねえよ!」
「ここに来て愛情を料理に注いでくれるんだな」
「そんなサービスはねえ!」
四郎がツッコミをいれていると、厨房から爆発する音や、何かの悲鳴に似た声が聞こえてきた。その音に耕し隊の面々も顔青ざめさせている。
「なあ、俺達何食わされんの?」
「なあ、お兄さん?」
「誰がお兄さんだ!」
「ふっ、どんなものが来ても妹の作った物は食べてやるのが兄貴の心意気よ!」
「「それもそうだな!」」
「何で!?」
出来上がったのか、ザックスの嫁と妹が二人係りで持ってきた巨大な皿に唐揚げみたいなものが乗ってやって来た。それとスープがきたのだが、
「おいらのだけが色が違う」
他のスープはコンソメ見たいに黄色いのだが、四郎のだけ紫色をしている。しかしうまそうな匂いはそのスープが一番強く他の人達も四郎の目の前のスープを興味深々で見つめている。
『お兄ちゃんのは特別製だからね。他の人はてを出さないでよ』
口外に危険ですからという声が四郎には聞こえた気がした。前の時におっさんがぶっ倒れた事を思い出すと四郎は神妙な顔でスープを見つめる。
「妹の特別スープだと!?」
「愛情をたっぷり注げばそんな色になるのか」
「食わないなら俺が食おうか?」
手を出させる訳にはいかないとスープを飲む。口の中に少しの辛味とともに広がる野菜の味が美味しい。そしてしつこくない喉ごしに他の食べ物と合った。
夢中で食べていると回りも唐揚げとまた後から出てきたサラダにパンを夢中で食べている。気がつくとテーブルに置かれた皿は全部空っぽになっていた。
「兄貴、酒樽一つ空にしたけど大丈夫か?」
「すまん、割り勘で頼むに!」
「「いつもの事だに!」」
何事もなく最後の飲み会は終わった。
『スープとお肉と後……これでお兄ちゃんはパワーアップするはず』
そんなディーニュの呟きを残して。
鍬のパワーアップ。
四郎のパワーアップ?




