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四郎が畑を耕し、カーリン達が収穫を手伝いをして3日目。今日も仕事が終わり、宿代をギルドの方から立て替えてもらって続けて泊まれるようになった部屋で四郎は鍬を磨いていた。
「明日も頼むぞ。おいら達でここの畑を全部……いや、全世界の畑を耕してやろう」
『お兄ちゃんが……変だ』
『ディーニュもそう思うか?』
『変態なのは会ったときからだと思うが?』
四郎を見カーリン、ディーニュ、アルッテはヒソヒソと話している。
『確か、“農業で耕される土”の神だっけ?』
『でもアマテーラス様とも会ったと言っていたよね?』
『うーむ? よくわからん』
カーリン達はその日に鍬を貰った経緯を四郎から聞いていた。そして四郎にアマテーラスがまともな事をするはずがないと思った。
『カーリン、あの鍬は取り上げた方がいいんじゃない?』
『今のままでいいでしょう。お姉さまにも危険は無さそうですし』
『…………』
カーリンは鍬を磨いている四郎に近づくと、
『四郎、暇なら散歩にいかないか?』
『鍬を磨いているので暇じゃありません』
『もう、1時間も磨いているだろう? もういいじゃないか』
『いや、まだだ。暇なら1人で行ってこい』
ムッとしたカーリンは四郎から鍬を取り上げると窓から投げ捨てた。
「ああっ! おいらのブラック・クーワが!」
『名前が付いてる!?』
慌てて鍬を追って部屋を出ていく四郎を呆れた目で見ているカーリン達。
『そのうちに帰って来るだろ。放っとこ』
『そうです。お姉さまのお誘いを断る奴なんて放っといて十分です。部屋の鍵も閉めときましょう』
『いや、そこまでは……』
そんな話をしているカーリンとアスッテを見ずにディーニュは投げられた鍬が飛んでいった方向を見ていた。鍬は放物線を描いて飛んでいたが、途中で不自然な曲がり方をして村の外に出ていったからだ。仲のいいカーリン達に見つからないようにそっと部屋を出るとディーニュは四郎の後を追った。
四郎は村を抜けて気がつけばボロボロの家の前にいた。その家の前に突き刺さった鍬を抜き、家の中を覗く。
「人は住めそうにないな」
家の中は荒れ果てて壁も崩れているところがある。もう何十年もそのままで打ち捨てられた感じがした。興味本意で中に入ると、床が抜けて落ちる。落ちたところには横穴が続いていた。
「まさか、お宝があるのか?」
あればこれからの為に金に変えよう。そう思って奥に進む。日の光も入ってこず本当なら見えるはずのない穴の中を四郎は躊躇なく進んでいく。それは何かに導かれるように。
しばらく歩き、奥に着いた。そこには四郎より少し大きい石像があった。牙を剥いた口は耳元まで裂け長い舌が胸元まで届いている。手は左右に2本ずつあり、外側の腕が岩から削り出したようにゴツゴツとした男の腕があり、内側の腕は白い木から削り細く整えられた女の腕になっていた。そして口から上の部分が切り取られたように無くなっている。
『これは“削り喰らう”神。だった物だね』
「うおっ! びっくりした。……ディーニュちゃん?」
『探しにきたよ』
「他の2人は?」
『部屋でイチャイチャしてる』
「なんだと! おっぱい達がイチャイチャしてるだと!」
『ん? お兄ちゃん戻ったね?』
「……戻った?」
『お兄ちゃんの手に持っているのは?』
「ただの鍬だ」
『あんなに大事に磨いてたのに?』
「あれ? そう言えばそうだな。……あ、あれだ。ザックス達に神について吹き込まれて感化したためだな。うん」
『……そんなんで』
「そんな事より、早く戻ってイチャイチャしてるおっぱいを拝まなければ!」
『お兄ちゃん、ちょっと待って』
走り出そうとする四郎を止める。そして石像を指差し、
『これを破壊して』
「……わかった」
ディーニュの真剣な声に従い石像の前に立つ四郎。
「で? 破壊するってどうやるの?」
『武器は手に持ってるでしょ?』
「この鍬で? これは畑を耕す為の……」
『出来るだけやって』
「へーい」
四郎は鍬を思い切り石像に打ち付けた。胸元に刃が突き刺さり、そこを基点として石像がバラバラに崩れさった。
「あれ? 一撃で?」
茫然とする四郎には見えていなかったが、石像から何かが鍬に入っていくのをディーニュは見ていた。
『……これが狙いか』
ディーニュの納得した顔で呟く。その呟きは誰にも聞こえなかった。
『お兄ちゃん、戻ろう』
「早く戻ろう!」
ディーニュをおんぶして四郎は駆け出した。
おっぱい信者がザックス達によって改宗されそうになった!
この村ではそうやって村人を増やしている。




