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 商人達から逃げ出して次の村に無事に着き、宿をとった。


「さて、我々には今やらねばならない重大な事がある!」


 顔を付き合わすように座った4人の中で四郎が声を上げる。


『まさか、あのエセ商人達が追ってくるのか?』

『大丈夫だよ。お兄ちゃんは私達が守るから』

「それは……男としてのプライドが……」

『……土下座してた人が何言ってんの?』l

「そーですね!」

『やけくそで叫ばない。静かにさせましょうか?』

「“音亡き闇夜と狩猟”の神が怖い」

『アルッテ、ハウス』

『がおー』

「手懐けられてる……」


 カーリンの隣にくっつくように座っているアルッテ。少し鬱陶しそうだがとがめないでされるがままのカーリンを見て、


(お胸様が並んでいる。これはこれでありだな)


 四郎の鼻の下が伸びる。おっぱい大好き人間には世界の絶景を見るよりも価値がある。


『それで? 重大なことって?』


 四郎の膝の上に座って聞き直すディーニュ。その目は軽蔑するような目をしていたが……。


「え? あ、そうだった。ぶっちゃけ金がない」

『この甲斐性なし!』

『ゴミ虫!』

『……お姉さまに迷惑をかけるとは、死にますか?』


 言ったとたんに矢継ぎ早に責められ引いた四郎が、


「みんなの宿代で吹っ飛んだんだけど……」

『男のプライドはないんですか? 直ぐに稼いできなさい』

「ヒエルラギーの最下層にいる時点でプライドもへったくれもないと思うんだけど?」

『最下層と言うのならば馬馬車のように働きなさい! お姉さまの為に』

「新参者がー! 胸がなければメダルに戻すのに!」


 偉そうに見下すアルッテに悔しがる。


『どちらにしても働かないとどうしようもないな』

『そうだね。お兄ちゃんギルドに行こう!』

「そうそう、それを言いたかったんだ」


 そうしてギルドへ行ったのだが、


「農作業の手伝いくらいしかありません」


 受付に言われた。この村は農業が盛んで畑も普通の村の倍以上ある。そのお陰で、動物避けの結界を買って設置しているのでよっぽどの事がない限り討伐の依頼はない。その為、刈り入れ時期はギルドも全面的に協力するようになっている。


「それで、今は収穫と畑の耕しくらいしかありません。どうしますか?」

「受けます! おいらには後がないんです!」


 こうして四郎が畑の耕しにカーリン達が収穫の方にと別れて受けることになった。期間1週間と言う期限つきで。


「どうも、今日からお世話になります。四郎です」

「耕し組班長のザックスだに。収穫の終わっている畑を順次耕して行くに。よろしくに」


 ザックスは背が低くずんぐりした青年だった。肩に鍬を担ぎ四郎と握手する。


「大丈夫かに? そんなに細くて鍬を振れるにか?」

「頑張りますに!」

「人のキャラとるなに!」


 ザックスについて耕す畑へ向かう。収穫が終わった畑にザックスと同じように鍬を担いだ男達が来るのを待っていた。


「みんなにるにか? 今日から一緒にやる四郎だに。よろしくやるに」

「「わかったに!」」

「キャラ取るなに!」


 そんなザックスいじりが終わり、それぞれ持ち場の土に鍬を入れる。


「あの~」

「何に?」

「おいらには鍬がないんだけど?」

「何してるに! 直ぐに神殿行って祈ってくるに!」

「は? 祈ってどうするの?」

「ここの神は“農業で耕される土”の神だに。祈れば写し身のメダルがもらえるだに。それが鍬になるだに」

「アマテーラスじゃなかったの?」

「アマテーラス神の隣に奉られてるだに。太陽の光があるから作物が育つ。その繋がりで一緒だに」

「わかりました。そいじゃ行ってきます!」

「帰ってくるときに休憩用のお茶とお菓子持ってくるに!」

「わかりました~!」


 畑から戻り、神殿に行く。神殿は畑から帰って来てにすぐ目の前にある。これは行きと帰りに神殿に祈りを捧げる事が習慣になっているため、この場所に建て直してあるためだ。


 四郎は神殿に入るとアマテーラス神の祭壇の横にある“農業で耕される土”の神に祈りを捧げる。


「おいらに耕しやすい鍬を下さい」


 祭壇に光が注ぎ、両手に鍬を持ったアマテーラス様が現れる。


『貴方がほしいのは金の鍬ですか? それとも銀の鍬ですか?』

「いや、そんな取り扱いが難しそうな鍬じゃなくて土を掘りやすいのがいいです」

『どんな地面でも耕せる鍬がいいのですね?』

「どんな硬いものでもできるのがいいです」

『わかりました。それならこの鍬を与えましょう』


 アマテーラスの手から1つの鍬が飛び、四郎の前に突き刺さった。四郎は床に突き刺さった鍬の異常さに気づかずに引き抜きアマテーラスに頭を下げる。


「ところで、何でチッパイ様がここに?」

『誰がチッパイじゃ!』


 四郎はまたもやアマテーラスを怒らせるのであった。右頬を張らし休憩用のお茶とお菓子を持って畑に着くと広大な畑の半分がすでに耕かされていた。


「ザックスさんお茶持ってきましたよ」

「それなら休憩だに。みんな集まるだに!」


 休憩の声に集まり、お茶を飲みながら鍬の手入れをする。そこにザックスが四郎の持つ鍬を見る。


「いい鍬貰っただにか?」

「普通の鍬だろうけど?」


 幅の広い黒い刃に持ち手が太いが持ちやすい長さの棒が付いている。他の鍬が手前に掘るために斜めに付いている刃が棒と直角に付いている所が違うくらいだ。


「そんじゃ、鍬も持ったし頑張るだに」

「頑張ります!」


 休憩を終わり、気合いを入れて畑を耕す四郎であった。 

四郎は鍬をてに入れた!


農家へジョブチェンジ? した。

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