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続きと言うか……2回目と言うか……。
この日、朝から床に転がされた犯人を四郎は目を細めて見た。
「……まさか、あなたが犯人とは」
床に転がされた犯人は悔しそうに四郎を見る。
「くっ、こーー」
「はい、ストップ! それ以上口を開かないことだ」
「お前、定番を言わせない気か?」
「いや、言ってもいいんだが……」
四郎が目線である方向を指し示す。犯人が見ると斧を振りかぶったまま待っているアルッテの姿があった。
「言ってもいいんだが?」
「…………」
「ささ、定番をプリーズ」
「言えるか! 殺る気満々の奴がいるのに軽々しく言えるか!」
『チッ!』
「舌打ちされた!」
その後も言うのか言わないのか押し問答をしていたが、いつまで待っても言いそうにないので斧を仕舞って出ていった。犯人はホッとしたが四郎が残っている。
「足フェチの勇者さんが、どうしてメイド達が使う更衣室で靴下をクンカクンカしてたの? もしかして靴下フェチに鞍替えした?」
今朝、捕まった犯人は勇者だった。
「何でこんな所まで罠が仕掛けてあんだよ」
「時々、置いてある位置が変わっているとか、新しい靴下が増えてるとかメイド達が言っていたので念のためにはっといたって。アルッテが」
「あのくそアマーッ」
『犯罪者はそう言う』
戻ってきたアルッテが、何処からか拾ってきた棒で勇者をつつきおちょくる。勇者はそれに芋虫のように這って抵抗するがつつかれまくるのには代わりはない。
『それで、こいつにどんな罰を与えようか?』
「今までのは何だったんだよ!」
一通りつっつき回して満足したアルッテが提案する。
「ハムラビ法典にある通り、目には目を歯には歯を、靴下には靴下を!」
『そんな面白い法があるのか! よし、早速用意しよう。お姉さまーー!』
「ま、まさかカーリンさんの靴下を罰に使う気なのか? 僕にとってはご褒美だぞ?」
「……いや、あれはそれにかこつけて私物を貰いにいっただけだ」
「なら、どうなるんだ?」
「……南無~~」
「祈るな!」
暫くして戻ってきたアルッテの胸元から靴下が見えた。だが、二人はそれには気がつかずにアルッテの両手に持っている物に注がれている。
「なあ、右手のデカイ靴下はわかるんだが、左手の黒い袋はなんだ?」
『こっちは、嗅いでみればわかる』
好奇心に負けて四郎は黒い袋を手に取り、中の臭いを嗅ぐ。
「おおおおお、おおおおーおお、おお、おおおおお」
嗅いだ途端に袋を投げ捨てて涙を流しながら苦しみのたうち回る。口からも鼻からもモザイクが入る液体を垂れ流して、最後に手足を痙攣させて泡を吹いて気を失った。
『この右手の靴下は厨房の守護神さんからいただいてきた物です』
厨房の守護神こと、マツダンプ・アジャコン・グと言う名のおばちゃんで樽の様な体で料理を作る。怒らせると味のない料理が出てくる。
『そして、こっちが……危険物』
「説明になっているが説明になってねえ!」
これは神殿の開かずの間に放置されていた靴下(推定)。多分、汗と涙と筋肉にまみれていた一品。
『これを聖水で煮込んで食わせる』
「それは拷問だろ!」
『守護神の靴下が煮込まれるから美味くなるといいな』
「棒読みで言うなーー!」
ガスマスクを付けたアルッテが鍋に聖水と靴下を入れてグツグツと煮込む。この時に出た臭いは緊急避難警報が鳴らされるほどだった。
出来上がった悪臭を放つ煮汁は容赦なく勇者の口に注ぎ込まれ、勇者は七転八倒したあげく、
「……ぽんぽん痛い」
幼児退行してトイレに引き籠った。
『何がいけなかったのだろうか?』
「全部だ! 全部!」
この後、カーリンにアルッテは叱られた。




