表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
97/102

第90話:巨躯の檻

戦いは終盤に差し掛かっていた。


ドウラの肩からは血が流れ、ゼロの衣服も大蛇の鱗に擦られてズタズタになっていた。


消耗しきった二人の前に、赤く染まった大蛇が不気味にじりじりと迫る。


(……なぜだ。なぜ、こちらの二手目の攻撃がいつも潰される?)


ゼロは防戦に回り、泥に塗れ、幾度も死線をくぐり抜けながら、大蛇の「動きの法則」を必死に観察し続けていた。


大蛇が再び、ドウラへと狙いを定めて頭部を持ち上げた。


ドウラがそれに応じるように大斧を構えるが、大蛇の視線はドウラだけを見ていない。


その長い胴体を巧みにうねらせ、ゼロが援護に入れないよう、事前にゼロの進路を遮るように尾を這わせていたのだ。


(──そうか。こいつ、単に目の前の敵と戦っているんじゃない)


ゼロはハッと息を呑んだ。


この大蛇は、野生の過酷な環境で生き抜いてきた狩人だ。


複数の獲物がいる時、どれを先に潰し、どれを地形の罠にハメるか。


その「移動経路の遮断」を、自身の長い肉体そのものを動く壁として使って、無意識のうちに完璧に行っているのだ。


こちらの攻撃が浅いのも、逃げ道を潰す動きのついでに、絶妙に体勢をずらして直撃を避けていたからだった。


まるで、二人の動きを自らの身体という「檻」の中に閉じ込め、じわじわと圧殺していくかのように。


「ドウラ! 奴は俺たちの攻撃を完全に避けてるんじゃない。俺たちの『逃げ道』や『連携のルート』を、身体のデカさで先に塞いで、こっちの体勢を崩させて威力を殺してるんだ!」


ゼロが声を枯らして叫んだ。


大蛇の猛攻を紙一重でかわし続け、そのハメ技のパターンを何度も肌で味わったことで、ゼロの感覚は、大蛇が次に「どこを塞ぎにくるか」の野生の呼吸に、ようやく慣れ、同調し始めていた。


「奴の動きの癖が分かった。あいつは次に、俺の右側を塞いで、お前を泥濘の深みに追い込むつもりだ。……それを逆手に取るぞ!」


「おう……、やってやろうじゃねえか!」


ドウラが息を切らしながらも、ゼロの言葉を信じて大斧を強く握り直す。


すべてを完璧にこなす怪物ではない。


ならば、その野生の「確実な一手を狙う癖」こそが、唯一の付け入る隙だった。

いつもお読みいただき、ありがとうございます!


「続きの展開が気になる!」「この世界観をもっと読みたい」と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いいたします!


画面下部にあります、

・【ブックマークに追加】

・【ポイント評価(☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に)】

をポチッと押していただけますと、次のお話を書き上げる大きな原動力になります!


次回の更新は、**【明日の01:20】**を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ