表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
83/102

第76話:忍び寄る羽音

「よし、全員無事だな。この場に長居は無用だ、先を急ごう」


リュウイチの言葉に一同は頷き、ウツボカズラの残骸を越えて、さらに深く鬱蒼とした森の奥へと足を進めた。


どんよりとした甘ったるい空気が抜け、いくらか息がしやすくなった森の中を、警戒を怠らずに歩き続ける。


戦闘の興奮が冷めるにつれ、周囲の空気は元の冷ややかなものへと戻っていった。


しかし、それとは裏腹に、一行の鼻腔をいつまでも刺激し続けるものがあった。


衣服や防具、装備の隙間にまでべっとりと付着した、あのウツボカズラの強烈に甘い粘液の臭いだ。


(拭っても、なかなか臭いが落ちねえな……)


レイジが歩きながら眉をひそめ、己の袖口に視線を落とした。




(ーーーーーーーー)




「……ん? なんだ、この音」


列の先頭を歩くリュウイチが耳を研ぎ澄ませる為、ぴたりと足を止めた。


つられて全員が足を止める。


(ーーーーーーーー)


深い木々の合間から、重苦しい不気味な低音が響いていた。


最初は風が遠くの木々を揺らす音かと思った。


(ーーーーーーーーン)


だが、その音は一拍ごとに、確実に激しさを増しながらこちらへと近づいてくる。






「ブゥゥゥゥゥゥン」





数十、百を超える狂暴な羽が、激しく空気を震わせる音──羽音だ。


「おいおい、マジかよ……!冗談だろっ!」


カイが自分の服に付いた粘液を見てガシガシと頭を掻きむしった。


「この蜜の残り香、マズいぞ! 進んだ先が悪かった、この辺りは羽虫どもの縄張りだ! 完全に臭いで引き寄せられてやがる!」


リュウイチが急いで一行に伝えるが、周囲を見渡した時には、すでに遅かった。


視界の先、木々の隙間から、凶悪な羽音を轟かせながら無数の影が次々と飛び出してきたのだ。


一匹一匹が人間の拳ほどもある、鮮やかな黄色と黒の縞模様をまとった蜂──『裂刺蜂れっしほう』だ。


彼らの生息地へ、一行は「極上の餌の臭い」を全身から漂わせながら自ら足を踏み入れてしまったのだ。


「チッ、最悪の連戦だな! 全員、固まれ! 散開するな!」


リュウイチが叫び、短剣を抜く。


集まってきたその群れは、瞬く間に一行の周囲を取り囲み、逃げ道を塞ぐようにして縦横無尽に飛び回り始めた。

いつもお読みいただき、ありがとうございます!


「続きの展開が気になる!」「この世界観をもっと読みたい」と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いいたします!


画面下部にあります、


・【ブックマークに追加】


・【ポイント評価(☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に)】


をポチッと押していただけますと、次のお話を書き上げる大きな原動力になります!


次回の更新は、**【明日の01:20】**を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ