第63話:泥濘の再会、分かたれる道
翌日の昼前。
約束通り、レイジたちは案内された大樹の広間へと再び足を踏み入れた。
差し込むわずかな光の中に、見慣れた、しかしどこか引き締まった背中が見えた瞬間、レイジの足が止まった。
「……カイ!」
レイジの声が広間に響く。
振り返ったのは、紛れもなくずっと探し続けていた仲間――カイだった。その傍らには、エリスも静かに佇んでいる。
「レイジ……! 無事だったのか!」
カイの顔に、驚きと心からの安堵が広がる。
レイジたちは駆け寄り、互いの無事を確かめ合うように言葉を交わした。
あの危急の事態からどう生き延びたのか、湿地帯の霧の中でどれほど過酷な日々を送っていたのか、堰を切ったように会話が溢れ出す。
生きて再会できたその事実に、全員が胸を撫で下ろしていた。
一通りの再会を喜び終えた頃、レイジがカイの肩を叩き、真剣な表情で切り出した。
「とにかく、無事でよかった。これで全員揃ったんだ。……こんな危ない場所、長居する理由はない。荷物をまとめて、早く一緒に帰ろう」
当然、カイも同意する。
レイジはそう確信していた。
しかし、カイはレイジの手を拒むようにそっと引き剥がし、神妙な、だが頑固な目で見つめ返した。
「……すまない、レイジ。俺は、すぐには帰れねぇ」
「な……何言ってるんだよ!?」
レイジが声を荒らげ、テツの眉間にも不審の皺が寄る。
「おい、カイ。冗談だろ? ここがどんな場所か分かってんのか。あの化け物みたいな影がうろつく霧の湿地帯だぞ! 皆も心配してる!一刻も早くモールに戻るべきだ!」
「分かってる! 分かってるけど……俺には、まだここでやらなきゃいけないことがあるんだ!」
「やらなきゃいけないことって何だよ! 俺たちの目的はモールに生きて帰ることで、こんなところで油を売ることじゃないはずだ!」
熱くなるレイジと、一歩も引かないカイ。
二人の間で激しい言い合いが始まり、広間の空気が再び険悪に張り詰めかけた、その時だった。
「そこまでにしろ」
地を這うような重々しい声が、二人の言葉を強引に割って入った。




