第5話 久遠寺の謎
人間を怪人に改造しようと画策する、白衣の男。今回の連続行方不明事件の首謀者なのか・・・
その白衣の男は、改造した怪人が倒されてしまったことに肩を落としている。
「困った・・・せっかくの怪人が2体ともやられてしまうとは・・・」
頭を抱えながらも、次の実験に取り掛かろうとする白衣の男。
彼の実験室には現在、何体もの得体のしれない生物が眠っている。
生物が入っているカプセルには全身まで浸かる薬剤が入っており、装置を作動させて中に入っている生物を動かすことになっている。
「色々とデータが足りない・・・。」
どのカプセルに入っている生物がいいのかを悩んでいる男は、ちょっと気になることを思い出す。
「あの怪人を倒した奴・・・・、とても普通の人間の能力では考えられないい・・・。あれほどの力は、”コア”でも所有していない限りありえない・・・・。
まさか・・・・」
條は、一か月前に行方不明になった「久遠寺悟」の捜査を零士と一緒に行っていた。
久遠寺悟は、久遠寺家の主久遠寺源十郎の跡取り息子である。
多くの資産・多彩な経営をを有しており、源十郎の代で大いなるなる資産を構築していった財閥である。
行方不明になった日の悟は、とある久遠寺系列の企業パーティに参加しており、大勢の人で賑わっていたのだが、その際に悟は気分が悪くなってパーティ会場から一旦外れてから、消息が不明になってしまったのだ。
現在はパーティに参加したすべての関係者に警察が聞き込みを当たっているのだが、人数が多くて全てを把握しきれない状況。そこで、捜査協力として零士と條も参加するのである。
まずは久遠寺家の屋敷に行き、聞き込み・捜査を行うことにした。
「怪しい人影をを見た?」
「はい、3日前あたりに見たんです。黒っぽいかんじだったんですけど、すぐに逃げられてしまいまして・・・」
久遠寺家の使用人の話だと、その人影は、悟の部屋に入って何かを探していたということだ。
悟の部屋は、仕事に使うであろう綺麗なデスクとゆったりとした大きな椅子があり、壁際には大量の書籍が多く並べられている。所謂書斎という感じだ。
條と零士はその部屋を捜査していると小さなメモ紙を見つけた。
{45-30-61}
番号が書いてある紙だった。
「これは・・・・」
條がなんの暗号かなと考えようとしていたすぐに、零士が言った。
「なんだ、金庫の番号か。」
「あ、ちょ・・・」
あっけなく正解が出てしまったので、條は拍子抜けしてしまった。
「ここの棚の奥の方に金庫あるだろ。それだな。」
調べてみたら、金庫はすでに空いていて中身は空の状態だった。
「その妖しい奴ってのはこの金庫を初めから狙っていた、ということっすかね。」
「んー、普通の物取りでもわかってしまうだろうけど、この家もセキュリティーが甘いわけではない。そうなると、この屋敷の構造を隅々まで把握して計画的に盗み取る名怪盗か、もともと住んでいた人物・・・・」
「久遠寺悟、という線も出てくるわけですね。」
「まあそういうこともありえるな。金庫にあったモノを持って行き、今も行方をくらまして何か秘密裏にやりたがっている。とか」
「何入れてたんすかね、中身。カネにしてはそう多くはなさそうに思うけど。」
「小切手というのもあるだろ。でも金だけでもなさそうだな。それ以上に重要なモノ・・・・」
「まあ、ほんとに大事なモノなら肌身離さず持っておきたいね。俺は」
「どんな?」
條は胸ポケットから二つのものを出した。
不思議な色を放っている「コア」と写真を入れられるロケットペンダントだ。
ペンダントの中には、條と父が肩を組んでいる写真が入っている。その写真はどことなく父の顔が思いつめた表情に見えたようだ。
「それは・・・」
「3年前に一緒に撮ったやつっすよ。こうしていつでもそばにいる、という感じで」
「・・・」
久遠寺家の捜査を進めているうちに、不思議と思ったのは源十郎の不在である。
悟が行方不明になってから彼は仕事が忙しくなって屋敷に帰れないという理由で、今屋敷にはいない状態。
家族が行方不明になっているというのにどことなく他人事みたいな感じで、警察もそのあたりが不審な部分に思っている。
「うーん、今も警察が源十郎の会社にも聞き込みをしているんだが、そういうことは幹部連中に投げている状況で本人は大事なプロジェクトに取り掛かりっきりで、当分屋敷にも帰れそうにないということらしい。」
「冷たいのか何なのか、どういうことなんすかねえ。」
「その行動が、何か俺もひっかかっているんだよなあ。何か関わるとまずい的な?」
「何すか、悟が行方不明になったのも親父が関係してるってこと?」
「・・・・」
條が言ったことには、零士も同じようなことを考えていた。
(こういう行動って、警察に話をしてしまうと本当のことを話してしまいそうだから自分からは会わないようにしているのか?
悟の行方不明の本当の理由を実は知っていて、会社のプロジェクトで忙しい、なんて都合のいい言い訳を作って逃れて時間が経てはいずれうやむやになって気にしなくなるんじゃないか、と・・・)
そう考えているうちに警察の緊急連絡が入った。
「緊急連絡、緊急連絡。15時30分頃、A市内にて怪人が破壊活動を行っている模様。繰り返す、15時30分頃・・・」
「行くぞ、條!」
「うわー、まだ何も掴んでいないのに!忙しいやつだ!」
ブツブツ文句を言いながら、二人は怪人が暴れているA市に向かっていくのだった。




