第6話 久遠寺の企み
あらすじ
行方不明の久遠寺悟を捜査していくうちに、その父源十郎の不審な思いを抱いていくようになった條と零士。
そうこうしているうちに、新たな怪人が街を脅かそうとしている・・・
久遠寺家からA市には車で飛ばして15分ほど掛かる距離だった。
市内に現れたのは、トカゲのような姿の怪人だった。身体の色は黒く細身でしっぽもあり身のこなしが軽く、逃げ惑う人々にすぐに追いついて襲い掛かる。胸のコアのような物体が確認できたので、やはりこれの一連の事件と関係ありそうだ。
ドシュウ!!
怪人の口から長い舌が伸びて、逃げる女性の首元に突き刺さる。
ドクンドクンと人間の血なのか養分なのか、舌から伝って飲んでいるようだ。
吸い取られた女性は、全身干からびてしまって倒れてしまった。
そうしてどんどん怪人は人々を吸い取りまくっている。
「もうすでに多くの被害者が出てるみたいだな。條!」
「いくぜ!コアセット!」
ギュイイイイイイン!!!
コアをセットし早々に変身した條。それを察したのか、黒い色のトカゲ怪人はその変身した條の姿を見た。そして逃げていこうとした。
「待て!」
追いかけていこうとする條。するとその瞬間、トカゲの怪人は口から液体を條に
吹きかけた!
ベチャ!
液体は顔にかかってしまい前がよく見えなくなった。
「くっさ!めっちゃくさい!」
そのあまりの臭さに、條はくらっとしてしまい怪人を見失ってしまう。
「大丈夫が、條!」
「くそー!ハンパなくくさいぜ・・・。何食ってんだ奴は・・・
ん?これは・・・」
その時、零士の携帯から電話があった。
「暁刑事ですか?実はですね。行方不明になっていた久遠寺悟が発見されました。今、久遠寺家におりますのでそこで詳しい話を・・・」
「了解。すぐに向かう」
二人はすぐに久遠寺家に向かっていった。
そこには毛布でくるまった久遠寺悟が自分の部屋で床に座っていた。
どうやら下着姿のままで久遠寺家の1キロ当たりで発見されたらしい。その時は息を切らせ汗を大量にかいており、目もうつろであった。
ここにきてから悟は、一言もしゃべっていない。疲れているからというよりも、何か話せない事情がありそうな雰囲気だ。
「一体どこに行っていたんだ?そろそろしゃべってもらいたいんだけど」
「・・・・」
「みんな心配してたんだぞ。家中の人たちみんな」
「それはどうかな・・・」
悟が初めて口を開いた。
「この久遠寺家は・・・膨大な資産がある・・・それを親戚とか他のグループらがみんな欲しいのさ・・・。親父もそれを見抜いて色々と計画を練っているだろう・・・。だから本気で俺を心配なんてしていないのさ・・・。」
久遠寺家は何件もの親戚があり、遺産相続や新ビジネスによる運営費用の要求などカネに関わる話が多い。悟にもそういう話がよく来る。
ある親戚は、この家がそんなに好きなわけでもないのに、暇さえあれば悟にすり寄っておいしい話やイベントの誘いを持ちかけてくる。
今回、行方不明になったパーティの主催したのはその親戚絡みである。
「まったく・・・俺は自分のやりたいことを、やりたいだけなんだ・・・。
誰にも邪魔されたくない・・・。しかしこの家にある限りそれは叶えそうにないな・・・」
場の空気が冷たくなりそうな時に、零士は悟に問いかける。
「あの、実はこの棚の奥に金庫があるのを発見してたんですね。自分たちが見たときには無造作に開けられた状態だったんですね。それで・・・」
「なに?!」
悟が顔色を変えて金庫を調べた。空の状態を見て悟は愕然とした。
「そ、んな・・・・」
「んー、まあ恐らく誰かが金庫のナンバーの紙切れを見てそれで獲られたんじゃないですかねー。デスクの引き出しにあったから見つけるのも容易だったし。
悟さん、あの金庫のには何が入っていたんですか?」
「そ、それは言えない!あんたらには関係ない!どうでもいいだろ、そんなこと!」
どうやらあの金庫の中身は、悟にとってどうしても知られたくない重要なモノらしいと條と零士は気づく。
「まあそのあたりは警察の方で詳しく聞かせてもらいますんで、まずは一緒に来てもらえませんか?」
零士が悟の手を掴もうとすると、シュッと機敏な動きで逃れていった。
「まだ捕まるわけにはいかねえんだよ!アレを取り戻すまでは!」
瞬く間に警察の包囲網をかいくぐって、悟は逃げて行ってしまった。
「逃がすか!コアセット!」
條は、コアを装着して追いかける。
(あれは・・・似ている?)
悟は逃げながらも変身した條の姿を見て内心驚いた。
気になってはいたが、捕まるわけにはいかないと必死になって逃走をする。
條の変身した状態は身体能力は遥かに向上している。並の人間と走るのであれば数十メートル位で追いつくほどの差があるのだが、悟は生身の身体のようなのだがその速さはオリンピック選手並みかそれ以上の速さで、1キロ走っても中々追いつくことが出来ないでいた。
(速い・・・こっちは人間の倍以上の能力になってるというのに・・・何者だあいつ・・・)
3キロ走っていったあたりで悟と変身した條はあと2・3メートルまで捕まえそうな時にあの黒い影のトカゲ怪人が現れた!
バシイ!
尻尾ではたかれて倒れてしまった條。
「くっそおおお!邪魔しやがってえ!」
すぐさま体勢を立て直し怪人に闘いを挑む。
「なんだ・・あれは・・・」遠く離れた所から悟はその様子を見ていた。
「どうして持っているんだ・・・・何個もあるのか。あの球が・・・」
「警察だ!直ちに署に同行しなさい!」
「くっ!」
パトカーで追いかけてきた他の警察が来たので、再び逃走していった。
(だめだ・・・もうあの家には戻れない・・・ちくしょう!)
そんなことを思い、悟は久遠寺家から遠く離れてゆくのだった。
ズバッ!
條の持つ剣で、怪人の尻尾を上手く斬ることが出来た。トカゲの尻尾みたく、バタバタと尻尾自体が暴れている。
そのせいで怪人の動きが鈍くなってきた。チャンスとばかりに條は止めを刺しに行ったが、斬られた尻尾が暴れた拍子に條にぶつかってきた。
ドカッ!
持っていた剣は吹っ飛んでいき、條は倒れてしまった。
トカゲの怪人は形勢逆転と思い、條に襲い掛かる。
倒れている條に馬乗りになって殴りつける。
十発くらい攻撃したところで、舌を伸ばして條の養分を吸い取ろうとしたその時、
ドカッ!
斬られていた尻尾がまだ暴れていて、怪人自らをも怯ませてしまった。
「今だ!」
そのスキをついて馬乗り状態から逃れ、怪人のコア目がけて飛び蹴りを放った。
「くらえーーーー!」
その蹴りは突風のごとき速さで、つむじ風が発生するほどの威力を放っていたのだ。
ドカバキイイイイイイン!!!
怪人の胸にあるコアを條の蹴りが突き刺さり、メシメシッとコアは砕けていき、
グオオオオオオ、とうなり声をあげた怪人は体がジュワジュワと溶けていき、跡形もなく消えてしまった。
「まずい・・・・」
久遠寺源十郎は、この現状をみて非常に危機感を募らせていく。
「ミスターSに聞いておかねば・・・・」




