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第3話 犬を愛でる男

條の父、満博士から託された赤い球は自らを変身して、強力な力を得る不思議な球だった。

新たな力を手に入れて、條は連続行方不明事件、父の捜索の解決に強く決意を固めるのだった。


條の事務所に零士は立ち寄った。先日の打ち合わせが怪人の遭遇によって出来なかったので、今回はしっかりと調整するのだった。

その事務所は、2階建てのコンクリート上の建物で、入り口には木彫りの看板「新堂探偵事務所」と書かれているのが目印である。建てつけは古く、あまり綺麗な建物とは言えないが、條はここが実家のように落ちつくらしい。


「あの怪人が現れて、警視庁も厳戒態勢を執るようになった。機動隊及び自衛隊も場合によっては出動するよう要請をかけることになった。」と零士は言う。

「大騒ぎっすよねー。あれだけの惨劇を目の当たりにされちゃ、本気で取り掛かるようになりますね。」

とそこで、條は、

「零士さん、俺ちょっと思うんですけど、この怪人の出現って例の行方不明と何か関係あるんじゃないか、って推理したんっすよ。」

「はあ?どういうことだそれ。」

「つまり、何らかの組織が人をかっさらって、その人らを改造して怪人に仕立て上げ世界征服を企む!ってとこですかね。行方不明になっている人はその怪人になる実験台なんすよ。」


はあ、と深いため息をする零士。

「それじゃ、まんま特撮ヒーローものの典型的な悪の組織だろーが!発想が飛躍しすぎだし。」

「いや、でもですよ。こんだけ何十人も誘拐されて未だに誰も見つかっていないなんて、組織かなんかに集められているに違いないですよ。警視庁だって組織的な犯行の線で検討してるって言ってたじゃないですかー。」

「んー、まあ確かに組織がらみというのが今ありそうな線ではあるが、まだまだ実態が見えてこないんだよ。証言が色々あってね。それで今回の捜査は・・・」

零士は今回の行動計画書のファイルを條に渡す。それには今日の行き先の住所と行方不明になった人物が記されている。



K県O市・・・ 「佐原満男さはらみつお18歳)最近アパートで独り暮らしを始めて半年あたりで行方不明になる。


條と零士は早速、佐原が住んでいたとされるアパートに行くことになった。

そこはどこにでもある2階建ての普通の建物で、201号室が彼が住んでいたところだ。部屋の広さは居間が6畳半の広さとキッチン・風呂・トイレも備わっている。

このアパートの管理人によると、佐原はどこにでもいる普通の若者であったが、先月の家賃が振り込まれていないので催促しようと尋ねようとしてもまったくいる気配が無いので、おかしいと思って捜索願いを出したら例の事件に巻き込まれていた、というとこだった。


管理人の協力で部屋の中を捜査することになった。そこは服やゴミが散乱していてかなり汚い状態で行方不明になったらしい。

「あれはないですかねー、パソコンとかの情報端末。それあれば佐原の行動がわかるはずだけどなー。」

「んー、探してみたがそういう類は見つからないな。本人が所持したままなのか、それらを処分されたのか・・・・」

「参りましたねー。これじゃ、居所なんかまるっきり掴めそうになくなりましたね。」

「まだあきらめるのは早いぞ、條。こういう時こそ周囲をよく見渡して小さな手がかりを見つけだすんだ。お前だって探偵のはしくれだろ、根気よく探すんだ。」

「ふえーい。しっかし汚いなーここは。」


部屋をくまなく調べていくうちに、あることに気づいた。

「ん?これは・・・なんだかここにはふさわしくない感じの・・・毛?」

「毛ですかね。よく見たらそこいらに毛が見えますね。動物の毛っぽいかんじの。」

「ペットでも飼っていたんだろうか、佐原は。」

「実は飼っていたんですよ・・・・犬を。」

とそこに、ここのアパートの管理人(林)が話してきた。

「ここのアパートは猫と犬くらいは飼っていいとこなんで、動物好きな人が住んでいるんですよ。佐原さんも犬が好きで、行方不明になるまでは飼い犬と一緒に散歩をしていたんですよね。」

「なるほど、犬飼えるのか・・・。じゃあ、それでこの毛がその犬のものなのか・・・。」

條はなんとも納得のいかないような感じだった。犬の毛にしてはちょっと硬いし、毛がどのあたりまで見つかったかというと、居間・台所・風呂・トイレ・布団の中などあらゆることろに落ちているのであるということに、條は違和感を感じた。


(動物が好きな人は家族同然のように生活するということだろうか・・・・)

そんなことを考えている時、外から叫び声が聞こえた。


「ひゃあー!!!化け物がぁあああああ!!!」

けたたましい叫び声は、周囲の住民にも十分響き渡っていた。

條と零士は操作を一旦中断し外に出てみると、怪人が暴れていた!

その姿は犬の顔をした茶色の毛並で目は赤くぎらついており、そして胸にはあの球のような物体が埋め込まれている。前回怪人と出会ったときと同じように装着しているのがはっきりとわかる。

その怪人がしでかしたのだろうか。そばで倒れている人間が血まみれになってピクリとも動かない。凶暴で残忍な怪人が分かり易く恐怖の存在であることに気づかされる空間である。


「やはりこの前の怪人と関係がありありなようですね、零士さん。」

「んー、そうだな。何らかの組織が怪人を作り上げている、というのが妥当なのだろうが、その怪人が行方不明とどんな関係になっているかがまだはっきりとした因果関係が・・・」

「そんなもん、人を改造して怪人に仕立て上げてるに決まってるでしょー!さっき言ったように!」

そう言いつつ條は、持っていたコアを取り出した。

コアを胸にぐっと押しつけ、そうしたらコアはずぼっと胸の中に入っていき、カシャン、カシャンと突起物が飛び出して胸の中央に固定される。


ドクン!!!


「うっ・・・・!!」

條の心臓とコアがリンクして激しい鼓動が胸にズキリと痛みが走り、低いうめき声が漏れる。

そして身体中に強化スーツがまとわり、赤いオーラを醸し出すその姿こそ

超人”ブラッドコア”

となるのであった!


「待て!」

犬型の怪人の凶行を阻止する條。出会い頭に條の拳を一発お見舞いした。


ビシイ!


その怪人は怯み、ごろんと転がりながら体制を整えた。すると今までの殺気だった雰囲気を失い、その場から逃げて行ってしまった。

「逃げるな!貴様!」

怪人の跡を追っていく條。しかしその怪人は犬並みの脚力で條に追いつかれることなく姿を見失ってしまった。

「くそ!何としても見つけないと・・・・。」


一方そのころ、

「ん?これは・・・・・。」

零士が何かを発見していたようだ。それは・・・・・

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