第四章 笑顔の四人とそれぞれの選択
アイリーンを巡る想いはそれぞれだった。
オーギュスト皇太子は、婚約破棄後も真っ直ぐにアイリーンを想い続けた。
イグナシオは静かに、しかし情熱的に彼女を守り、夜な夜な魔導の個人授業をしてくれた。
ウェインは明るく、いつも側にいて笑顔をくれた。
ある満月の夜、屋上庭園で三人がアイリーンを囲んだ。
一人目のオーギュストは優しく言った。
「アイリーン。僕は君と一緒に、この王国をより良い場所にしたい」
二人目はイグナシオ、珍しく、熱を込めて。
「俺は君の傍にいたい。魔導の道も、人生も、全部一緒に」
三人目にウェインが照れながら。
「俺は……ずっと好きだった。誰を選んでも、俺は君の騎士でいるよ」
アイリーンは涙を浮かべて微笑んだ。
「みんなの想いが嬉しい。でも、私の心は……」
彼女は三人の顔を順番に見つめ、ゆっくりと言った。
「みんなが好き。でも、一番そばにいてほしいのは……イグナシオ」
イグナシオの赤い瞳が大きく見開かれた。普段クールな彼が、初めて人前でアイリーンを強く抱きしめた。
「……ありがとう。絶対に幸せにする」
オーギュストは少し寂しげに、しかし穏やかに微笑んだ。
「君の幸せが、僕の幸せだ」
ウェインは頭を掻きながら笑った。
「まあ、仕方ないか! これからも親友として守るぜ!」




