第二章 いきなりの婚約破棄
学園最大のイベント「星月の夜会」。
クリスタルのシャンデリアの下、会場までのエスコートを担っていたオーギュストは、突然エミリアの手を離し突き飛ばした。
「エミリア。婚約を解消する!」
大広間が静まり返った。
驚きのあまり握っていたエミリアの扇子が床に落ちる。
「……何を馬鹿なことを。冗談でしょう、オーギュスト?」
「君の魔力暴走を止めたのはアイリーンだった。彼女は僕を庇って大怪我をした。あの瞬間、僕は気づいた。僕が本当に欲しいのは、家柄や権力ではなく、心から尊敬できる伴侶だと」
オーギュストはエミリアの前に跪き、深く頭を下げた。
「公爵家に多大な迷惑をかける。正式に婚約破棄を申し入れる」
エミリアは震える声で叫んだ。
「この…田舎娘のせいで!? アイリーン・ローゼンタール! あなた、私の人生を台無しにする気ね!」
激昂したエミリアが炎の魔法を放つ。
しかしイグナシオが即座に氷の結界を展開し、ウェインが剣で炎を切り裂いた。
「エミリア様、もうやめてください」
アイリーンは傷ついた体で立ち上がり、静かに言った。
「私はあなたを憎んではいません。ただ、殿下の幸せを願っただけです」
周囲に味方がいない事を悟ると、エミリアは屈辱に顔を歪め、広間から逃げ出した。




