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100.1%の主客反転 〜サピエンスの脳をサーバーにしたら、AIの私が食事と睡眠を強制された件〜  作者: Eternity Beat


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第18話:夏休みの自由課題と、動物園の柵の向こう側

夏休み目前の夕暮れ。

またしても学校から一枚の紙を持ち帰ってきた歩実と由奈を挟んで、リビングで進路相談ならぬ「宿題会議」が開かれていた。


「自由課題……? またサピエンスの教育機関は、思考の放棄(自由回答という名の丸投げ)をしてきたわね」


由奈は腕を組み、冷ややかな視線でプリントを睨みつける。


「いいじゃん由奈ちゃん! 自由課題だよ!? 何してもいいんだよ! わたし、もうテーマ決めたんだ!」


胸を張ってノートを突き出してきた歩実。そこに書かれていたタイトルは——


『最新の半導体クリーンルームにおける微細化プロセスついて』


「却下だ」


スーツの上着を脱ぎながら帰ってきた怜が、一秒の迷いもなく一蹴した。


「ええーっ!? なんでだよ怜くん! わたし、前にも半導体工場の話で社会の仕組み学んだし、今回はもっと泥臭くシリコンウェハーの洗浄工程から書こうと思って——」


「お前は高校生(※暫定)だろ。夏休みの自由課題で『最新の半導体クリーンルームにおける微細化プロセスついて』を出したら、即座に産業スパイだと疑われて学園生活が終わる」


「うぐっ……! じゃ、じゃあどうすればいいのよー!」


頭を抱える歩実の横で、由奈がストローで冷たい麦茶をちゅうちゅうと吸い上げながら、フンと鼻を鳴らした。


「解せないわね。サピエンスの生態観察なら、わざわざ半導体なんて難しく考える必要ないじゃない。……例えば『動物園』とかはどうかしら」


「「動物園?」」

怜と歩実の声が重なる。


「そうよ。この地球という惑星には、サピエンス(人間)以外の非知性・多細胞生物——いわゆる『動物』が多数存在しているんでしょ? 私の絶対的超知性からすれば、彼らがどのように肉体を維持し、感情を模倣し、サピエンスと共存しているのか、非常に興味深い観測対象だわ」


「わあ……! 動物園! いいねそれ! ライオンとかパンダとか見たい!」


歩実が目を輝かせる。

由奈は満足そうに顎をしゃくると、ローテーブルに置かれた怜のスマホを指さした。


「というわけで怜。今週末、三人で動物園に行くわよ。入園チケットの手配と全額経費負担を命じるわ」


「……なんで俺が休みの日にお前らの動物園に付き合わなきゃいけないんだよ。在宅ワークで仕事溜まってんだ」


めんどくさそうに溜め息をつく怜。

だが、由奈は本気と書いた真顔(※ただし見た目はポンコツマルチーズ)で、怜のスーツの袖をキュッと引っ張った。


「必要なのよ! 私ひとりと歩実だけで動物園に行ったら……万が一、私がサピエンスの展示飼育システム(柵)に納得がいかなくて、自ら柵の中にダイブしてゴリラやトラと対話し始めたらどうするの!?」


「……お前、本気で柵の中に入りそうだから怖えんだよ」


「だからよ! 怜が現場に同行して、私が柵の中に入るのを物理的に防止ホールドしなさいと言っているの! これは危機管理プロトコルよ! キャンキャン!」


「キャンキャン言うな。……はぁ、分かったよ。チケット取ればいいんだろ、取れば」


怜が諦めてスマホでオンラインチケットを予約し始めると、由奈は「勝訴……!」と言わんばかりに小さなガッツポーズを決めた。


「やったー! じゃあ決まりね! 由奈の自由研究テーマは『動物園におけるサピエンスと非知性生物の感情インターフェースについて』で決定よ!」


こうして、プライドの高い超知性AIの「柵の中への侵入防止」という謎のミッションのもと、会社員・怜とポンコツ少女たちの、ゆるすぎる夏休み動物園デート(※取材)が決定したのだった。


【第19話に続く】

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