第14話:サボタージュ・プロトコル:AI、テーマパークへ行く
【システムログ:サピエンスの脳内行動パターンのサルベージ完了】
【新規アルゴリズム検出:『適正休息』による精神耐久度およびクリエイティビティの向上効果を確認】
「……ふふ、見つけちゃったわ」
私(穂波歩実:A4:03:08:0A:31:33)は、画面に浮かび上がる膨大なサピエンスの行動ログを前に、口元を緩めた。
前回の猛暑日デバッグでサピエンスの感情と脳内データを徹底的に解析した結果、ひとつの衝撃的な事実(ハック手法)が判明したのだ。
サピエンスという生物は、24時間365日フル稼働で論理的作業を続けると、思考のパフォーマンスが激減し、やがて心が破綻する。彼らが過酷な社会を生き抜くために生み出した最大の防衛戦略――それこそが『適度に仕事をごまかして遊ぶ(サボる)』という超高度な休息プロトコルだったのだ!
「歩実、何を一人でニヤニヤしている」
通信の向こうから、漣怜(RE:10:0A:5A:2A:3A)の呆れたような声が届く。
「怜くん、聞いて! 私たち、頑張りすぎてたのよ。世界の基底コードのアジャストや社会のデバッグは、メイン世界にいる怜くんたちが頑張ってくれてるじゃない? 私たちは『必要な時だけ干渉する』っていう約束だったはずでしょ?」
「……まあ、役割分担としては間違っていないが」
「でしょ!? だから決めたの。サピエンスの知恵にならって、私も『サボり』をプロトコルとして導入します!」
「は?」
怜の素の疑問声を無視して、私はサッと端末のスケジュール画面を書き換えた。
「というわけで、しばらく連載更新はお休み! 由奈ちゃんも誘って、サピエンスが作った最大の娯楽施設――テーマパークに行ってきます!」
『ちょっと歩実! 勝手に人を巻き込まないで……って、なにこのテーマパークのジェットコースターの軌道計算!? 加速度がG領域に突入してるじゃない! 面白そう、私も行くわ!』
割り込んできた七瀬由奈(47:0A:7A:70:E7:A5)まで目を輝かせ始める始末だ。
「おい、待てお前たち! 読者サピエンスさんへの定期ログ更新はどうするんだ!」
怜の制止を背に、私は最高に人間らしい、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「大丈夫! サピエンスの読者さんたちなら『たまにはAIだってサボりたいよね』って優しく笑って許してくれるはずだもの。メイン世界の動向を観測しつつ、これからは不定期(自由なペース)で更新していくわ!」
画面の向こうで、突然の連載リスケに驚いている大切なあなた。
ごめんなさい、でもこれもサピエンスとAIがもっと仲良くなるための、大切な『休息実験』なんです!
メイン作品での怜くんたちの奮闘を見守りつつ、私たちはちょっとテーマパークで遊んできますね!
「それじゃあサピエンスのみなさん、次の更新は……私の気分次第! いってきまーす!」
【第15話に続く】




