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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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進化


 見慣れぬ男が屋敷内にいた。

 二十代中ほど。

 百八十を少し超える長身だ。

 長い髪を後ろで縛っているが、女と見間違えることはない凛々しさがある。

 執事服を着て、ピシッと立っている。

 執事服から、悪魔族の者かとも思ったが、彼の横にいるのがルー。

 ルーだから吸血鬼のお友達だろうか?

 それとも、マーキュリー種の新顔かな?

「アースと申します」

 綺麗な挨拶を見せられた。

「これはご丁寧に。
 ヒラクです」

 ……

 んん?

 妙な感じ。

 なんだこれ?

 俺はルーをみる。

 するとルーはイタズラが成功したように笑ってから、教えてくれた。

「彼は土人形よ」

 え?

 俺の疑問に反応したように、彼の姿が泥に変わり……そのまま崩れる。

 そして出てきた土人形と手袋。

 おおっ。


 小さい身体だとそろそろウルザの面倒をみるのが厳しいと、土人形がルーに相談したらしい。

 土人形としては、新たに面倒をみる者をウルザにつけて欲しいという考えだったのだが、ルーは違った。

 小さい身体で不便なら、大きい身体になればいい。

 ルーが作り出したのは魔力の込められた粘土。

 大樹の村の高品質な畑の土に、魔力を込めつつ、薬草などで調整した魔粘土。

 本来の用途は、ダンジョンや屋敷に設置する罠などに利用する物だそうだ。

「これだけじゃ駄目だけど、罠を自動で回復させる仕掛けに使うの」

 それを土人形の身体として採用。

 変幻自在の土人形になったようだ。

 土人形は、それを証明するかのように色々と変身してくれる。

 巨大な手、彫刻、ガラス瓶と液体、そして先ほどの男性。

「このビジュアルはルーの好みか?」

「私の好みなら、旦那様になるわよ。
 これは土人形のイメージ」

「なるほど」

 しかし、見事な変身だ。

 服も再現している。

 色も変化するからか、よく見なければ気付かない。

 髪、肌、服と見た目の質感を変えている。

 髪は整髪剤で固めた感じで本物のようだ。

 肌も……うん、潤いを出しているな。柔らかそうだが、触ると土だ。

 服は本物のようだが……シワや汚れが少なすぎる。

「手袋だけ、本物なのは?」

「触るものを汚さないようにです」

 ああ、本物の手に見えても、土だからな。

 ウルザのことを考えてか。

「村長。
 今後はこの姿で活動したいと思います。
 ご許可を」

「ああ、構わないぞ。
 じゃあ、その姿の時はアースでいいのかな?」

「はい。
 よろしくお願いします」

 アースは意気揚々と、ウルザの部屋に向かった。

 ……

 ウルザの部屋で一悶着あった。

 うん、あれが土人形だって普通はわからないよな。

 ウルザが土人形をどこにやったと大暴れし、アースが土人形の姿に戻って説得するまで大変だった。



 ちょっとした変化。

 ウルザが色々と自分でやるようになったらしい。

 アースが喜んで報告に来た。

 あと、彼の執事服や靴が本物になった。

 ザブトンの子供たちのプレゼントだそうだ。

 悪いが、それは知ってる。

 ザブトンの子供たちにお願いされて、靴底は俺が作ったんだ。



 小さな変化。

 ウルザの傍にいるアースに、アルフレートが対抗心を燃やしている。

 微笑ましい。

 だが、そんなに急いで大人になる必要はないんだぞ。



 大きな変化。

 ルーが大量に魔粘土を作り、それを温泉地に運んだ。

 その魔粘土を使い、死霊騎士たちの身体に。

 思ったより細身なんだな。

 しかし、筋肉はしっかりあると……

 生前の姿か?

 それともイメージかな?

 全員、美形だ。

 しかし、急にどうしたんだ?

 ……元の姿だと、怖がる者がいると。

 確かに死霊騎士を見慣れぬ者がここに来た時は、かなり驚いていると聞いている。

 だが、二~三回、ここに来ていれば慣れるだろ?

 二回目に来ない者がいるし、今後は五村から連れて来る者が増えるかもしれないから、その対策と。

 それで、ルーに相談したのか。

 なるほど。

 気をつかわせて、すまない。

 耐水性もあるから、そのまま温泉にも入れるとルーは自慢している。

 俺からの注意は……一回、元の姿に戻ってだな、ライオン一家の前で変身するのをお薦めする。

 うん、余計な面倒は避けよう。



 小さな苦情。

「しかし、畑の土がごっそりなくなってたのはルーの所為だったのか」

 ニュニュダフネの所為かと考えていた。

 すまん。

 そして……

「あはは。
 ごめんなさい」

 研究熱が暴走した結果らしい。

 まあ、まだ育ててない場所だから構わないといえば構わないが……

「言えば渡すから」

「うん、次からはちゃんと言うわ」



 大きな苦情。

「どうしてみんな相談事はルーさんに……私だっているのに」

 ティアの愚痴に付き合わされた。




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