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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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消えた未来


 私は昔から同じ夢をよく見ていた。

 何度も。

 夢の内容は簡単。

 魔王が四人の部下に命令をするシーン。

 私はそのシーンを横で見ているポジション。

 秘書なのかな?

 魔王は今の魔王様とは違うのだけど、なぜか魔王だって理解できたし、魔王っぽい凄く怖そうな顔をしている。

 命令も壊せだとか、殺せだとか乱暴なものが多かった。

 昔、この夢を見た朝はよく泣いていたわ。

 でも、今は怖くない。

 その魔王の顔が私の知っている人にそっくりだってわかったから。


 見知った人の名は、ギルスパークさん。

 シャシャートの街の代官様の息子さん。

 長男なんだって。

 すごいよね。

 最初、見た時はあの怖い魔王だってビックリしたけど、今は大丈夫。

 お店のお手伝いを一生懸命にやってくれている。

 あ、でも、昔はちょっと悪かったらしいの。

 ふふ。

 小さな子の食事の手伝いをしている姿を見れば、そんな姿は全然想像できないけどね。


 夢に出てくる四人の部下。

 これは四天王なんだろうけど、この四人も私の知っている人達。

 一人はあの武神、ガルフ様。

 武闘会の会場に忍び込み、こっそりと見物してたのだけど……凄かったわ。

 いつも威張ってる嫌な奴らを、ペシッと木の剣で一撃。

 スカッとしたわ。

 そしてそのまま優勝。

 夢の中では、武王と名乗っていたかな。

 うん、武王より武神の方が似合ってる。


 もう一人は、シャーさん。

 お店で料理を色々と作ってる凄い人。

 時々、試作品を食べさせてくれるのだけど……十回に一回ぐらいとても不味い時がある。

 他の九回は凄く美味しいのだけど、その一回が凄く怖がられている。

 味見はしているらしいけど、試行錯誤しているうちにわからなくなっちゃうらしい。

 私はその一回を恐れずに食べるから、シャーさんに顔を覚えられていたりする。

 夢の中では、美食王と呼ばれてたかな。

 あ、でも、夢の中ではものすっごく太ってて、自分では料理しないで部下に作らせてた。

 シャーさんとは全然違うよね。

 でも、なぜかシャーさんだって思うの。


 もう一人は、ポッテさん。

 お店の接客主任。

 笑顔が素敵な人なんだけど、夢の中では絶対に笑わない冷徹な感じ。

 冷血王って呼ばれてた。

 そういった顔も似合うかもしれないけど、私は今の笑顔の方が好きだな。


 最後の一人は、ホットさん。

 前にお店に迷惑をかけて、教会預かりになった人。

 今はお店にきて無料奉仕をしている。

 ホットさんが来たから、ギルスパークさんも来ることになったから、結果的にはよかったのかな?

 夢の中では、嫉妬王って名乗ってた。

 自分で嫉妬王って、どうなんだろう?

 センスを疑っちゃうけど、夢の中の話だからね。

 私の知ってるホットさんは、真面目で努力家。

 これは言い触らしちゃいけない話なんだけど、ギルスパークさんが悪いことをしていた時の参謀だったんだって。

 でも、ギルスパークさんがとあるパン屋の娘さんに惚れちゃって、それを切っ掛けに改心して悪いことをやめちゃったから、ホットさんは一人残されて暴走。

 ギルスパークさんがそう言って、頭を下げてた。

 男の友情が拗れちゃったのかな?

 おっと、いけない。

 私の秘密が漏れてしまった。


 ともかく。

 怖い夢に出てきた人達が見知った顔だって知ってからは、あの夢を見なくなった。

 なんだったのかな?

 今では時々、懐かしく思う。


 でも、あの夢の中のギルスパークさんが暴れてる原因って、勇者によってギルスパークさんの奥さんが殺されちゃうからなんだよね。

 奥さん、あのパン屋の娘さんかな?

 時々、お店にやってきてはお店のパンの研究をしている人。

 夢の中の奥さんの絵は、深窓の令嬢って感じだったから……別人よね。

 ともかく、夢の中では酷い目にあっちゃうから、今のままでよし。

 何も問題なし。




 後日。

 マルコスさんとポーラさんに連れられ、店長に挨拶。

 横にギルスパークさん、シャーさん、ポッテさん、ホットさんの姿がみえる。

 惜しい。

 店長さんがガルフさんを連れて来てたら、綺麗に揃ったのに。

 え?

 自己紹介?

 私から?

 マルコスさん、やめて、私を前に出さないで。

「彼女にはお店の会計をお願いしています。
 彼女がいなければ、今のマルーラはありません」

 持ち上げ過ぎ!

 で、でも、マルコスさんやポーラさんに恥を掻かすわけにはいかない。

 覚悟を決めて挨拶をした。



 翌日。

 私はビックルーフ・シャシャートの会計主任になっていた。

 ……

 え?

 あれ?

 待って。

 私はマルーラの会計で、こんな規模のお金を扱ったことはないのですけど……

 いや、マルーラの会計も大概だったけど。

 なんでゴロウン商会の偉い人が、私に丁寧に接するの。

 護衛とかいらないから。

 あ、専用の仕事部屋?

 それはちょっと嬉しい。

 部下も?

 心が動く……

 ああ、もう。

 抵抗しても無理よね。

 働いていたお店が潰れて、路頭に迷っていた私を雇ってくれたんだから。

 マルコスさん、ポーラさん、そして店長さん。

 頑張らせていただきます。


 でも、確認です。

 専用の仕事部屋の横に、私の寝室が用意されたのはなぜですか?

 深い意味はないですよね?

 ないですよね?

 目を逸らさないでください。

 部下の数を増やすとか、早く準備するとかの言葉が聞きたいんじゃないですよ。


サブタイトル通り。
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