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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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綱渡り


 祭りの日、魔王がユーリ、ランダン、ビーゼル、グラッツ、ホウと共にやってきた。

 いつものメンバーだ。

「今年の祭りは平和そうでいいなぁ」

「ははは。
 いつも平和ですよ」

 魔王と、それを案内する文官娘衆の会話。

 通り掛かったアラクネのアラコを見て、魔王達がビックリしていた。



 すでに始祖さん、ドライム、ドースも来ている。

 ライメイレンは数日前に来て、ヒイチロウと遊んでいる。

 ヒイチロウはすっかりお婆ちゃん子だ。

 ハクレンは複雑な心境……じゃないな。

 楽でいいって感じ?

 いや、手の掛かるウルザとグラルの面倒が大変なのかな。

 目を離すと走っていくもんな。

 彼女達に、村は狭いのかもしれない。

 二人はいずれ村から旅立ったりするのだろうか?

 グラルはヒイチロウがいれば、出ないよな。

 ウルザは……

 どうだろう。

 もう少し大きくならないと、わからないな。

 寂しいが、その時がきたらしっかりと見送ってやらねば。

 とりあえず、今は捕まえる。

「ウルザ、グラル!
 その手に持っているのはなんだ!」

 いや、返事がなくても知っている。

 お客用に用意した食事の一品だ。

 それをさっきから、自分のテーブルというかアルフレートやティゼルのいる子供席に、運んでいる。

 一回、二回は見逃しても、三回目はさすがにな。

 お前達の分は、ちゃんと用意しているだろう。

 それ以上はダメ。

 食べ過ぎ。

 それと、甘い物ばっかり狙うんじゃない。

 食べるならこっちを食べなさい。

 モヤシ、美味いぞ。

 ブーブー言わない。




 一村、二村、三村、四村、それに温泉地の死霊騎士とライオン。

 あと、ラミア族、巨人族が到着し、祭りが始まった。


 今年の内容は、シンプルな綱渡り。

 丸太や板、ロープなどで作られた一本のコースを、どこまで渡れるかというもの。

 ルールは、手を使ったり、空を飛んだりするのはなし。

 コースは五種類。

 子供コース、一般コース、巨人コース、ケンタウロスコース、エキスパートコース。

 完走すれば、俺から褒賞メダルが一枚渡される。

 どのコースも序盤は簡単そうだが、後半には大きなアップダウンがあり、見た感じでは完走は難しそうだ。

 その上、山エルフ達がコース後半に注目している事から、あの辺りに仕掛けもあるのだろう。

 完走者でるのかな?


 コースの下は、落下しても大丈夫なようにザブトン達が糸を張ってくれている。

 ただ、その安全対策の為にコース全体は少し高い位置になっているので、かなり怖い。

 一般用コースのトップバッターの獣人族の女の子は、震えて……震えてはないな。

 全力で走り出した。

 はい、ストップ!

 一旦、中止。

「村長、どうしました?」

「スカート禁止、ズボンを着用するように」

 そういうことになった。



 どのコースも、緊張と興奮と笑いに溢れた。

 怪我がないのはいいことだ。


 子供コースで、ウルザ、グラルが完走。

 コース後半の仕掛けを体当たりで突破した姿は勇ましかった。

 仕掛けを担当している山エルフが頭を抱えていたが……


 一般コースで、魔王が完走。

 事前にランダン、ビーゼルが体を張ってコースの仕掛けを暴いたのが大きかったようだ。

 その上で、優れたバランス感覚と、鍛えられた筋力。

 さすがは魔王ということなのだろう。


 巨人、ケンタウロスのコースでの完走者はなし。

 両者とも、狭い場所を歩くのは苦手なようだ。

 前半部分で、足を踏み外していた。

 ケンタウロスはもう少しやれるかと思っていたが、前足はともかく後ろ足を踏み外す者が多かった。

 見えないからなぁ。


 エキスパートコースでは、リア達ハイエルフが好成績。

 途中、武器を持って戦わなければいけない仕掛けで、リザードマン達は脱落していった。

 仕掛けが見事に動いて嬉しいのはわかるが、喜び過ぎないように。

 作動しても再セットの必要がない仕掛けは凄いけどな。

 ラミア族は蛇の部分でコースに巻き付けば楽なのだろうけど、それは禁止。

 コースの上に蛇の体を乗せなければならず、難易度が高かった。

 足場って大事だな。

 完走者は酒スライム。

 ……

 一応、審議中。


 日が暮れると、そのまま例年通りに宴会。

 平和な祭りだった。

 うん、こんな感じでいいんだよな。

 俺は子猫達を……

 ホウやドライムに甘えてる。

 魔王にもか。

 嫉妬。

 ああ、わかってる。

 俺にはクロ達がいるよなー。

 なでなで。

 はいはい。

 ルーも大事に思ってるぞ。

 ティアもな。

 グランマリアもきたか……派手に落ちたが、大丈夫か?

 短い距離でも飛んでいるからだ。

 歩く練習もするように。

 ちなみに、俺も一般コースに挑戦したが、魔王に情報を与えるだけだった。

 悔しい。



 祭りの雰囲気を楽しみながら、そろそろ出産時期となるラスティのことを考える。

 お酒を飲むわけにいかないので、宴会になった後は家に戻った。

 ブルガ、スティファノがついているので安心だ。

 ドラゴン族は、妊娠中は気が荒くなるとの話だったが……

 落ち着いたものだ。

 大袈裟に言い過ぎじゃないか?

 ドースやドライムが真剣な顔でいうから、信じるけどな。



 宴会の席を利用して、俺とセナがセッテを紹介する。

 大樹の村では知れ渡っているだろうけど、他の村やラミア族、巨人族、来賓にアピールだ。

 よろしく。

 元気な女の子だ。

 嫁にはやらん。

 夜風は赤ちゃんの体に悪いかもしれないので、早めに撤収。


 家までエスコート。

 その間、俺としてはハウリン村のセナの両親にも、タイミングをみてセッテを見せに行きたいと考えていることを伝えた。

 ただ、セナは見せに行くのは反対。

 セッテに無理な移動をさせない為かと思ったが、違った。

 立場的なもので、子供が産まれたからと見せにいくのは下の立場の者。

 俺はハウリン村の村長より上の立場なのだから、セッテを見たいなら向こうが来るべきという意見。

 そんなものか。

 あれ?

 でも、それだとフラシアの時、シルキーネに見せに行く計画は不味かったのか?

 いや、上だ下だと言う気はないが。

「ビーゼル様が、先に見に来られているのでセーフです」

 なるほど。

 そんなものか。


 しかし、その辺りの文化は馬鹿にできない。

 俺が馬鹿にされるのはいいが、村が馬鹿にされるのは困る。

 ……

 少しずつ、勉強していこう。


 祭りの夜は過ぎていった。





 翌朝。

「魔王様。
 ミエルをお返しください」

「いやだ、この子はウチの子にする!」

 魔王から子猫を取り返す戦いが行われた。


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