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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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視察と主役不在の歓迎会


 ビーゼルに案内され、新しい村を作る予定の場所を見せてもらう。

 同行者はルー、グランマリア、フラウ。


 俺は勝手に平地だと思っていたのだが、見せられた場所は小山の上の台地。

「ここか?」

 台地の周囲は森と小山。

「はい。
 井戸を何箇所か試掘しましたが、問題なく水がでています。
 あと、ここからじゃ見えませんが、台地の下のあの辺りに川が流れているので水の手に問題はないかと」

 説明してくれるのはビーゼルではなく、ビーゼルが連れて来たランダンの部下。

 彼は今回の村作りの魔王国側の担当。

 青年っぽく見えるが、魔族は外見で判断できない。

 ……

 ビーゼルにこっそり聞いたが、俺より遥かに年上だった。

 年上ぶった事を言わなくてよかった。


 本題に戻る。

「台地の下じゃ駄目なのか?
 上だと交通に不便だろ?」

「下は交通に便利ですが、危ないですよ」

「危ない?」

「魔物に襲われやすくなりますから」

 交通に便利ってことは、守り難いってことか。

 なるほど。

「この辺りはどんな魔物が出るんだ?」

「色々いますが、多いのは……」

 聞いた事がない魔物が列挙された。

 すまない。

 よくわからない。

 俺はルーに確認。

 危険な魔物なのか?

「大丈夫よ」

 そうか。

 一安心。


 台地の上は、ほぼ平ら。

 なので畑は作りやすそうだが、水の手が少し不安だな。

 井戸は問題ないとの事だが、深いらしいし。

 畑を作るなら、川に近い方が良いから台地の下?

 しかし、魔物が出るらしい。

 ならば間の台地を形作っている山の部分か。

 段々畑とか酪農がイメージできるな。

 台地の上に住民の家を並べてと……


「現在の住民希望者の数でも、十分に生活できるスペースを確保できると思います。
 村でなく街にもなれますよ」

「確かに。
 台地の上は広いからな。
 しかし、やはり交通の便が問題だな」

「そうですね。
 南側の傾斜が緩やかなので、正式に村作りが始動すれば整備したいと思います」

 よろしくお願いしたいが、現状は道がその一本だけになりそうなのだ。

 頻繁に人が通う村にはなりそうにないな。

 新しく作る村の目的が、転移門の設置を隠す為だということを考えれば、それでいいのかな?

 まあ、素人が考えても仕方がないか。

 この辺りは魔王国の提案を信じよう。



 俺が色々と見ている間に、グランマリアが周辺を飛行。

 魔物を数体、倒して帰ってきた。

 うん、魔物は問題なさそうだ。

 だが、最終決定はこの場で決めず、村に戻ってから。





 ビーゼルの転移魔法で、シャシャートの街に移動。

「新しい村とこのシャシャートの街は、馬車で一日の距離になります。
 正確には、六時間の睡眠休憩と休憩を入れて、馬車で二十時間。
 無理をすれば、朝に出て日暮れに到着する事も可能です」

 ランダンの部下は、実際に馬車を何度か走らせて計測したらしい。

 ご苦労様です。

 新しい村に関しては今回はこれで終了。

 ランダンの部下と別れる。

 一緒にいてくれてもよかったのだが、仕事があるらしいので引き止められない。



 俺達は、これからビッグルーフ・シャシャートに行くことになっている。

 ビーゼルが付き合ってくれるので、ついでにとなったのだ。

 いつもすまない。

 あの村に転移門が設置できれば、ビーゼルや始祖さんの転移魔法に頼らなくてもシャシャートの街に移動できるようになる。

 両者の為にも転移門の設置はしたいな。



 久しぶりに訪れたビッグルーフ・シャシャートは……

 凄かった。

 お昼過ぎの時間だというのに、大盛況。

 カレー販売のマルーラは長蛇の列。

 出店エリアの通路は、人で溢れ返っていた。

 これでまともに商売が出来ているのか?

 出来ているらしい。

 マルーラの長蛇の列は、なんだかんだでかなり早く処理されており、列の長さに対して並ぶ時間は驚くほど短い。

 出店エリアは、通路に人が多いが各店舗のスペースには客以外は入らないようになっている。

 休憩中の従業員に話を聞くと、ゴールディがかなり頑張ってくれたらしい。

 感謝だな。


 そして、ビッグルーフ・シャシャートの通りを挟んで南側に、馬車の為の駅が完成。

 まだ路線は多くないが、走っている馬車は多い。

 多いのに、それぞれの馬車は人がこれでもかと乗っている。

 無料だからか?

 馬車に乗っていた人達の大半が、そのままビッグルーフ・シャシャートに吸い込まれていく。

 お客?

 いや、出店エリアの関係者もいるな。

 商品の追加分を運んでいるのか。

 ……

 ビッグルーフ・シャシャートの関係者専用の馬車を走らせるのはどうだろう?

 混乱するだけか?

 マイケルさんに相談してみよう。


 走っている馬車の側面には、宣伝の絵が描かれている。

 大半が、ビッグルーフ・シャシャートの絵だが、違う絵もある。

 んー……?

 ここでも休憩中の従業員に質問。

「すまない、あの絵は?」

「武神ガルフ様です。
 シャシャートの街の武闘会の宣伝になります」

 なるほど。

 俺の横で、ルー、グランマリアが笑いを堪えていた。

 そう笑ってやるな。

 ちょっと五割増しに良い男に描かれているけど。

 笑わないフラウは優しいなぁ。

 違うか。

 笑えないんだな。

 フラウの視線の先にある馬車には、どこかで見たことがある女性の絵が描かれていた。

「すまない、あっちの絵は?」

「美容品を扱っているお店の宣伝です」

「モデルは?」

「モデルの詳細はちょっと……当人が画家の前に来てました」

 そうか。

 誰かわからないか。

 残念だな。

 そして読み書きの勉強を頑張るように。

 絵の上に大々的に描かれている文字がある。

『愛と美のシルキーネがお薦めするアポロ美容品店』

 シルキーネ。

 フラウのお母さんだな。

「領地で育てている美容品関連のお店で……
 妻のファンが多いのです」

 ビーゼルがそう呟きながらも、満足そうにその馬車に吸い寄せられていた。

 うん、乗りたいのはわかるけど乗ったら見れないぞ。

 外側に描かれている……あ、内側にもシルキーネが一杯だ。

「この馬車、買い取れないかね?」

 ビーゼルが貴族っぽいことを言いだし、フラウに怒られていた。



 ビッグルーフ・シャシャートは、夜になっても開いている。

 当初、夜は閉めるつもりだったのだが、出店エリアからの強い希望で夜も遅くまで開いている。

 カレー販売をしているマルーラや一部のお店は閉まっているけど、出店エリアは賑やかだ。

 飲み屋みたいな感じに使われているようだ。

 明け方には大半のお店が閉まるが、現状は二十四時間営業っぽい感じになっている。


 マルーラもカレー販売をしていないだけで、仕込みだなんだで夜番の従業員が忙しく働いている。

 その横で申し訳ないが、一席を設けてもらった。

 参加者は俺、ルー、グランマリア、フラウ、ビーゼル、ゴロウン商会からマイケルさん、マーロン、ティト、ランディ、ミルフォード、ゴールディと彼の部下数名。

 主役はマルコスとポーラ。

 それと、二人が連れて来た数名の従業員。

 幹部候補生というか、すでに幹部っぽい働きをしてもらっているそうだ。


 その中に、この街の代官の息子がいたのは少し驚いた。

 よろしく。

 でもって、その横にいるのは……店で暴れた男?

 そうみたいだ。

 改めて謝罪された。

 前に見た時より、かなり穏やかになっているので一瞬、誰かわからなかった。

 ……やってしまったことは消せない。

 だが、今後の働きで挽回はできる。

 店の為に色々と頑張ってくれていると聞いている。

 これからも頑張ってくれ。

 面倒な話はこれぐらいで、後は明るいトークを。

「東側ですが、もうすぐ完成します。
 予定では春になる前には完成させるつもりだったのですが、申し訳ありません」

 明るいトークと思っていたのに、マイケルさんに頭を下げられた。

 いやいや、十分早いと思うぞ。

 ビッグルーフ・シャシャートの通りを挟んで東側には、宿や塾を開く予定だ。

 宿の責任者や講師を集めなければと思っていたのだけど、文官娘衆やルー、ティアの呼びかけでそれなりに集まっているらしい。

 その集まった者達が、建設中の施設に修正、追加注文。

 それに対応していた為、建設が遅くなってしまったのだそうだ。


 金銭的には問題ないし、慌ててもいないので、のんびりとやって欲しい。

 ちなみにだが、その集められた宿の責任者講師達とはまだ会っていない。

 夜になる前に会おうと思ったのだけど、修正、追加注文の話を聞いたルーとフラウが個人的に話をしにいった。

 俺と会うのはまた別の機会で構わないらしい。

 俺が今日、この街に来た目的はその集まってくれた人達に会う為なんだけどなぁ。

 この席のお題も、歓迎会だし。

 まあ、マルコスやポーラの元気な姿が見れたからいいか。

 ……

 転移門が設置できれば、二人も一村に帰りやすくなる。

 いや、もう一村に未練はないかもしれないが……

 お酒が入っていたので、ぽそっと言ってしまったらマルコスとポーラに聞かれ、二人は土下座する勢いで謝ってきた。

「私達の魂は一村にあります」

 え?

 あ、それは嬉しいけど、謝る必要はないぞ。

 逆に不用意なことを言ってしまった俺が悪い。

 反省。

 謝った後、新しい商品に関しての相談をした。

 その横で、マイケルさんとマーロンの耳がピクピクしていたのに少し笑った。

 遠慮せず、相談に参加してほしい。

 とりあえず、次はピザを考えているんだけどな。



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