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ヤメののんびり島生活 その四


 あーしの名はヤメ。


 鶏(にわとり)たちから、ミミズがほしいと言われた。


 ミミズ。


 あーしは悪魔族なので、土を掘ってミミズを探したりはしない。


 悪魔族はプライドが高いのだ。


 でも、ミミズがいる場所には心当たりがある。


 それは畑。


 とくに村長が耕した畑には、ミミズがわんさかといる。


 土が豊かだからかな。


 その豊かな土でミミズが増え、ミミズが活動することでさらに土が豊かになると、村長は言ってた。


 だから、ミミズが少ないと畑としては困る。


 だけど、ミミズが多すぎるのも困るらしい。


 まあ、なにごともほどほどがいいのは当然。


 そして、村長が試験的に耕して放置されている畑には、ミミズが大繁殖していた。


 その畑には柵(さく)があるから、鶏たちは入れないんだよね。


 あーしは、そんな畑(ばしょ)を鶏たちに開放した。


 ……


 鶏たちがすごい勢いで地面を突(つつ)き、ミミズを掘り出している。


 鶏たちは大喜びだ。


 あー、ミミズを全滅させちゃ駄目だからね。


 適当なところで切り上げるよー。


 ええい、文句を言うんじゃない。


 お昼。


 お昼までだからね。



 お昼前までに、鶏は大人しくなった。


 満腹になるまでミミズを食べることができたようだ。


 満足気な顔をしている。


 定期的に、こういった畑を開放することを考えようかな。




 お昼。


 今日のお昼ご飯は魚料理。


 まずはシンプルに塩を振って焼いた魚。


 そのままで味が足りなかったら、醤油を使うように。


 次に魚を薄く切ってソースをかけたもの。


 あと、朝に仕込んでおいた魚の切り身。


 仕込んでおいたと言っても、切ってお酢やレモン汁などに漬けておいただけだけど。


 それに温かい野菜スープ。


 こっちは朝食のときにたくさん作っておいたスープの残りに、具材を追加したもの。


 ちょっと手抜きかな。


 次はしっかり作りたい。



 お昼時には珍しく、海の種族たちが宿にやってきた。


 普段は海岸までで、宿に来るのは日が暮れてからなんだけどね。


 昨日の焼肉のときに使った、音楽を演奏する魔道具に興味があるみたい。


 一緒に昼食を食べたあと、魔道具に群がっている。


 使い方は昨日、山エルフから聞いているらしく、あーしより使いこなしている。


 すごい。


 そして魔道具から流れる音楽に合わせ、鳥たちが楽しそうに羽ばたいている。


 音楽、好きだったか。


 知らなかった。


 でも、考えてみれば洞窟にいたときも、なんだかんだリズムよく鳴いていた。


 あれは音楽だったのかもしれない。



 しばらくして、海の種族たちから音楽を演奏する魔道具を売ってほしいと言われた。


 残念だが、売れない。


 村長からもらったものだから。


 大樹の村の印もあるし。


 でも、海の種族たちが魔道具を気に入ったのもわかった。


 わかったので、海岸近くの……高波が来ない場所に小屋を建てて、そこに音楽を演奏する魔道具を設置することにした。


 これなら、海の種族も音楽を演奏する魔道具を自由に使えるでしょ。


 ただ、魔道具に使われている魔石は消耗品なので、利用料として海から拾った価値のありそうな物を納めてほしいかな。


 たとえば?


 あー、沈没した船で使われてた錨(いかり)とか食器とか?


 価値がなくても怒らないから。


 建前建前。


 無料(タダ)でもいーんだけど、無料にすると村長以外の大樹の村の住人から文句がでるかもしれないから。


 それ対策。


 それに、海の種族(あんた)たちも対価を払ってるほうが、気兼ねなく使えるでしょ。


 面倒だったら、魚とか貝とかでいいから。




 海岸の川沿いに小屋が建った。


 早い。


 海の種族が数の力で押したのもあるけど、建物の目的が音楽を演奏する魔道具を雨風から守るためだからね。


 川沿いに建てたのは、長時間、陸にあがれない海の種族のことを考えてかな。


 そして、さっそく音楽を演奏する魔道具を設置し、起動。


 流れる音楽に合わせながら、物納用の小屋の建築が始まった。


 こっちはゆっくり建った。


 手を抜いているんじゃなくて、かなり大きいからね。


 小屋じゃなく大屋……家かな?


 かなり頑丈に作ってる。


 あと、内部に棚とかテーブルとかも。


 やけにテーブルの数が多いけど、これは?


 天気のいい日に外に並べて、その上で魚や貝を干すと。


 なるほど。


 そして干す魚や貝を捌くための調理台と、洗い場、ゴミ捨て場、物置……


 えーっと、ここに住むつもり?


 なぜわかったという顔をされても。


 いや、物置の横に水の入った大樽がたくさんあるから。


 あれ、海の種族のベッドでしょ?


 名前も書かれてるし。


 いいけど、ここに住むなら喧嘩しないようにね。


 あと、なにかあったときに連絡できるように代表は決めておいて。


 連絡板を設置してもいいかもね。



 島に住人が増えた。


 と言っても、彼らは定住ではなく滞在感覚みたいだけど。


 あー、夜中は静かな音楽に限定。


 踊りだしたくなるような激しい曲は、太陽が出ているときにかけるように。


 魚を干したものを売りに出すなら手伝うけど、品質をみるからね。


 適当にやると売れないよー。





 ある日。


 あーしは自室の姿見の前に立った。


 普段のあーしは、魔力で作った服を身にまとっている。


 魔力製なので、防御力に優れていて、汚れてもすぐに綺麗にできる。


 とても便利。


 でも、今日のあーしは違う。


 普通の服を着ている。


 この服は、大樹の村にいるデーモンスパイダーたちが作ったもの。


 冬場でも冬眠せずに起きているデーモンスパイダーたちが頑張ったと、村長が持ってきてくれた袖の長い服とズボン。


 ジャージというものらしい。


 シンプルなデザインだったけど、着てみると悪くない。


 しかも生地が伸びる。


 動きやすい。


 そのジャージを、上下セットで十着ももらった。


 そして、ジャージのなかに着る体操服なるもの。


 ジャージと違って袖(そで)や裾(すそ)が短いけど、これも動きやすい。


 こっちも上下セットで十着もらった。


 ジャージと体操服の組み合わせで、気温に合わせるらしい。


 なるほど。


 しばらく使ってみようと思う。


 あと、下着ももらったけど、これは村長からではなく同行していた鬼人族メイドから。


 さすがに男性から下着をもらうわけにはいかないからねー。


 下着(こっち)はかなりの数、もらった。


 ありがとう。



 しばらく使ってわかった。


 ジャージ。


 楽。


 とくにズボンがいい。


 スカートがまくれるのを気にしなくていいから。


 変なポーズをしても大丈夫だし、座椅子を使うときも気を使う必要がない。


 素晴らしい。


 これに慣れたら、駄目じゃないかなと不安になってしまうぐらい。


 でも、このジャージ。


 寝巻(ねまき)にも使えるのよね。


 うーん。


 もう十着ほど、もらえないか頼んでみようかな。



 もちろん、ジャージはいい面ばかりじゃない。


 服の洗濯が面倒。


 汚れるからね。


 まあ、これはジャージに限ったことじゃないんだけど。


 でも、気づいた。


 拠点の宿には衣服を洗濯する魔道具がある。


 ベッドのシーツやカーテンの洗濯用にと設置してもらったから忘れてた。


 山エルフたちが、衣服の洗濯に使っていたのにね。


 うっかりだ。


 それで、あーしも衣服を洗濯する魔道具を使ってみたのだけど、すごく便利。


 ただ、下着は下着だけで洗ったほうがいいと山エルフたちから言われた。


 魔道具に下着を洗うモードがあるので、それを使うようにと。


 慣れるまで、ちょっと大変だった。



 余談だけど、ジャージに合わせてじゃないけど、髪をアップでまとめることが多くなった。


 ツインテールはお気に入りだけど、土仕事とかしているといつのまにか毛先が汚れたりしているから。


 仕方がない。


 でも、快適。





ヤメ 「ジャージ+ハイポニーテール」

ヨウコ「ば、ばかなイメチェンだと! 許されるのか!」(和装)

ベル 「あー、私も巫女服とか着てみたいですね」(神官服)

ヨル 「私はパイロットスーツで十分です」(秘書っぽい格好)

ミヨ 「私は服より、体を大人バージョンに!」(幼女メイド)

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― 新着の感想 ―
ヤメさん、結構料理が得意なようだけど、実は自炊歴3000年とか?
次の進化先はジャージメイドか
> ば、ばかなイメチェンだと! 許されるのか! 許されてる! なので可愛いヨウコバージョンをどうぞ。
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