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ウルザの理由とラーメンゴーレムの悩み


 ウルザが戻ってくるのが遅くなった理由。


 それは、無人島の確保に動いていたから。


 なんでまた?


 前にアルフレートが無人島でなにかやっているって聞いたから?


 対抗して?


 違う?


 アルフレートの無人島に俺が行こうとしたけど、周囲の反対で中止になったから?


 まあ、たしかに反対されて行けなかったな。


 おもに始祖さんから。


 魔王国ならともかく、人間の国ではなにが起きるかわからないと、ドースたちを巻き込んで俺を説得してきた。


 村長が魔王国関係者と見られると、なにかしらの陰謀トラブルに巻き込まれる可能性が大きい。


 護衛を増やせば増やすほど、重要人物と思われる。


 かといって、護衛なしはいろいろと怖いそうだ。


 行き先はアルフレートが行っている国なんだが?


 安全じゃなかったのか?


 しかも、無人島だぞ?


 誰もいないと思うのだけど?


 その無人島が政治的に微妙な位置にある。


 そこに王子が行くのと、王が行くのでは違う?


 いや、俺は王じゃないのだが……


 でも、行くのが迷惑なのはわかった。


 ルーやティアたちも、俺が行くのは消極的反対。


 行くなら護衛するけど、一国、二国は滅ぼす覚悟でとまで言われた。


 そんなに政情が不安なのだろうか?


 それとも俺に信用がない?


 結論として、強引に行くこともできたけど、周囲に迷惑をかけてまで行っても楽しくないだろうと止めた。


 アルフレートから、無人島での畑作りの相談に乗ってほしいと言われていたんだけどな。


 とりあえず、アルフレートには行けなくてすまないと謝ったあと、村の土を渡した。


【万能農具】で耕した土だ。


 少しは畑作りの役に立つのではないかと思う。



 話を戻して。


 ウルザはそんな俺の事情を知り、人間の国ではなく魔王国でなら問題ないのだろうと無人島を探してくれていたそうだ。


 そして、見つけた無人島。


 周囲の海の種族や、魔王国に確認し、その無人島の使用権を得た。


 得たところで問題発生。


 無人島は無人島ではなく、一人のいにしえの悪魔族が住んでいた。


 封印されていたが正しいのかな。


 ウルザが無人島の最終確認をしているときにその古の悪魔族と遭遇。


 話し合いが行なわれたらしい。


 その話し合いが長引き、戻ってくるのと連絡が遅れたということらしい。


 なるほどと納得。


 そして、俺のために無人島を探してくれたウルザに目元が緩くなる。



 ウルザが出会った古の悪魔族は女性で、名はヤメ。


 村にいる古の悪魔族のブルガに聞いたら、知り合いらしいが……


「あー、彼女を起こしちゃいましたかー。

 えーっと、酷いことはしないであげてくださいね」


 すごく微妙な表情をしていた。


「あと、ウルザさんを叱らないでやっていただけると」


 え?


「話し合いの前に、一回は殴っていると思うので」


 殴っている?


「彼女と会話する前の儀式みたいなものですから」


 ラナさんが名を知りたければ挑めとか言ってたのと似た感じかな?


「そのようなものです」


 そ、そっか。


 じゃあ、その件でウルザを叱ったりはしないよ。


 ちなみに、村にもう一人いる古の悪魔族のスティファノは、ラスティの子のククルカンと一緒にお昼寝中だった。


 お昼寝後にスティファノにも聞いたけど、同じような返事だった。




 ウルザが戻ってくるのは、もう少しあとになるそうだ。


 そして、戻ってきたら俺を連れて無人島に行くと言っている。


 ありがとう。


 秋の畑は耕し終わっている。


 喜んで行こうじゃないか。


 そのために、やらないといけないことを終わらせておこう。


 まずは、ラナさんから譲られた多数の多目的人型機動重機アーティ・ホースやその関連品。


 これは、ウルザと相談してからと考えていたが……


 そういえば、どうやって運ぶんだろう?


 竜が運ぶとしても、多目的人型機動重機は巨大だ。


 一回で一機を運ぶのが限界だろう。


 往復してもらうのか?


 ドースに聞くと、竜族に仕えている古の悪魔族がなんとかするそうだ。


 なんとかってなんだろう?


 まあ、なんとかなるならいいか。


 とりあえず、多目的人型機動重機や関連品の移動は少し待ってもらう。


 向こうに迷惑がかかっていないかな?


 大丈夫とドースは言っているけど、現場を仕切っているのは古の悪魔族だろうから。


 夏に収穫した作物を、迷惑料として渡す準備をしておこう。


 ああ、できれば関連品でパイロットスーツ関係は先に村に欲しい。


 ヨルがうるさいし、遅くなるとザブトンが冬眠してしまう。



 あとは五村の生産工場。


 稼働は順調だけど、定期的にチェックに足を運んでいる。


 これは生産工場の管理を任せている天使族たちを信用していないのではなく、任せっきりや、放置していないとのアピールのため。


 天使族の長のマルビットから、そういう姿勢は大事と言われたのもある。


 もちろん、生産工場だけでなく、クロトユキ、青銅茶屋、甘味堂コーリン、麺屋ブリトア、酒肉ニーズ、洋菓子店フェアリーフェアリ、デルゼン製紙、デルゼン印刷、プラーダ美術館にも顔を出す。


 クロトユキの店長代理で元エルフ帝国の皇女のキネスタからは、珍しいと言われてしまったが。


 あ、ニーズからも言われてしまった。


 もっと顔を出すようにしよう。



 一通り見回ったあとで、五村でトラブルというか相談を受けた。


 湯切りゴーレムから。


 いや、もうラーメンゴーレムと言ってもいいかもしれない。


 湯切りだけじゃなく、スープ作り、タレ作り、麺作りができるようになり、最初から最後まで一人でラーメンを作れるようになったから。


 さすがに自己鍛錬だけでは限界があり、ルーやティア、山エルフたちの改良を受け入れ、性能向上。


 機能が追加された。


 できないのは材料の買い出しと、配膳、食器洗い、店内清掃、会計かな。


 将来的には、店と一体化してラーメンを提供できるようになるかもしれない。


 そんなラーメンゴーレムからの相談だから、さらなる機能の希望かと思ったのだけど違った。


 えーっと……


 五村でラーメンの話をすると必ず出てくる人物がいる。


 ラーメン女王だ。


 彼女は魔王の娘のユーリの友人の一人で、女王は異名であって正式な地位ではない。


 だが、ラーメンへの愛とこだわりから、誰しもが女王と認めている。


 ラーメンゴーレムは数日前、そのラーメン女王にラーメンを提供したが、満足してもらえなかったらしい。


 なぜなのかと悩んでいるそうだ。


 ふーむ。


 しかし、俺も食べさせてもらったが、悪くないと思うけどなぁ。


 ラーメン女王は、このラーメンのどこが駄目だったのだろうか?


 店長のラーメンと同じ構成で、創意工夫がないとか言われると困るなぁ。


 とりあえず、ラーメン女王に聞きに行こうと思ったら、ちょうど近くにいた。


「とても美味しかったですよ」


 そうなのか。


「店長の作るラーメンよりも美味しかったです」


 そういうことを言うんじゃない。


 ほら、店長が落ち込んだ。


 あとでフォローしておこう。


 えーっと、それじゃあ満足しなかったのは?


たましいが入っていませんでしたので」


 …………魂?


「そうです」


 魂?


「魂です」


 俺はゴーレムを見た。


 彼が作ったんだが?


「ゴーレムが作ったのは知っています。

 見ていましたから。

 ですが、誰がどう作ったかは私には関係ありません。

 私は出されたラーメンを食べ、魂を感じなかった。

 それだけです」


 あー、なるほど。


 言いたいことはなんとなくわかったけど、魂を感じなかった部分をもう少しだけ具体的に。


「その必要はないでしょう。

 ゴーレムは理解したようですから」


 ラーメン女王はそう言って、立ち去った。


 そして残されたラーメンゴーレムは、打ちひしがれていた。


 自分はラーメンを作る技術を磨くことに集中し、お客を見ていなかったと。


 最初は勝負した職人に認めてもらいたいと、ラーメン店で働き始めた。


 周囲から褒められ、いつのまにかただの技術自慢のゴーレムになってしまっていた。


 ああ、なんて愚かなんだ。


 こらこら、ショックを受けたのはわかるが、テボを振り回してお湯をまき散らすんじゃない。


 落ち込んでいる店長、逃げて。


 お湯がかかるから。



 とりあえず、ラーメンゴーレムは反省した。


 そして、一からやり直すと湯切りに集中。


 ただ、新しい機能を欲した。


 それは発声。


「いらっしゃいませー」


「こちらにお座りください」


「なににしましょう」


「承りました」


「お待たせしました。

 お熱いですよ。

 ごゆっくりどうぞー」


「ありがとうございましたー。

 またのお越しをお待ちしております」


 決まったセリフしか言えないが、ラーメンゴーレムはお客と関わるようになった。


 これがラーメンに魂を入れることになるかはわからないが、ラーメンゴーレムが望んでやっているなら邪魔したりはしない。


 発声があると賑やかでいいしな。


 そして、そのラーメンゴーレムの横で、店長が真剣にラーメン作りの腕を磨いていた。


 ラーメンゴーレムに負けてなるものかと。


 ラーメンゴーレムのいるラーメン店の評判が、ちょっと上がったらしい。





ドース 「村長はトラブルを望んで起こすタイプではあるまい。そう心配せんでも」

始祖さん「アルフレートくんの父であることがバレなければなんとか」

ドース 「あー……むずかしいであろうな。なにせ呼ばれて行くわけだから」

始祖さん「あと、言動で魔王国寄りだと判断されると」

ドース 「お主の国ならなんとかなるであろうが……」

始祖さん「コーリン教の重要人物扱いも、それはそれで……」

ドース 「むー」

始祖さん「それと、村長には護衛がつきますよね」

ドース 「ん? まあ、護衛なしはありえんだろう」

始祖さん「いつも通りでしたら、護衛はガルフくんとダガくん、それとレギンレイヴ」

ドース 「そうなるな」

始祖さん「人間の国で、獣人族、リザードマン、天使族の護衛……」

ドース 「あっ」

始祖さん「無視してくれたらいいですけど、馬鹿にしにくるか、すり寄ってくるか……」

ドース 「揉める未来しか視えん」

始祖さん「……協力、お願いします」

ドース 「わかった」



ヨウコ 「村長はいつ村議会に来るのかな?」



村長  「魂が入っていない」(言ってみたかった)

山エルフ「ラーメンが動き出しても困るだけだと思うのですが?」

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― 新着の感想 ―
魂の入ったラーメンは凍らないんだぜ。 銀河鉄道999より
村長は自分が村長やってる五村に大樹の村から行くときですらお供を2人(ガルフ、レギンレイブ)+ハイエルフのお忍び護衛が大樹の村から付いてくるくらい厳重に護衛されてるから、見知らぬ土地に行くとか大名行列に…
アルフレートの島、ラナさんにドラゴン(蛇型)形態の背に乗って天空から舞い降りたら人間国のDNAに刻まれた何かが警告して下手な手出しも無くなると思うんだ:坊や、良い子だねんねしな(寝るという意味ではない…
感想一覧
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