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新しい多目的人型機動重機


 ニュニュダフネ。


 本来は木や切り株姿だが、人の姿にもなれる種族。


 本拠に定められた村は一応、一村。


 だが、一村以外に大樹の村、二村、三村、四村にも分散して生活している。


 ニュニュダフネ特有の感情の通信を期待してだ。


 なにかトラブルがあったときに、各村に最速で一報を届けるため。


 要は警報だ。


 まあ、これまでにその警報が活躍したことはないけど。


 それはトラブルがなく、平和ということだ。


 ニュニュダフネに落ち度があるわけじゃない。


 それに、警報が活躍しまくるのは困る。


 ニュニュダフネが各村に分散している理由は、もう一つある。


 夜の街灯……村灯の役割だ。


 ニュニュダフネは、木や切り株姿のときに、枝や葉、花、実を光らせることができる。


 これがとても役に立っている。


 夜に出歩く住人は少ないけど、灯りがあるのは安心だ。



 さて、そんなニュニュダフネだが、人の姿のときに食べることはできる。


 だが、基本的に食事は取らない。


 太陽と土と水があれば十分。


 なので、彼女たちが気にするのは日当たり、豊かな土、適温の水。


 なのだが、彼女たちが人の姿になって好んで食べる物がある。


 それはキノコ類。


 驚くほど喜んで食べる。


 種族的な好物なのだろうか?


「キノコは我々の敵」


「土の栄養(力)を奪っていく敵」


「その敵を食らうことで、力を返してもらっている」


 夏の収穫のお疲れさま会で、一心不乱に焼きキノコを食べる彼女たちはそう言っていた。


 うーん。


 まあ、えっと……うん、いいか。


 キノコ類は、【万能農具】で大量生産が可能だ。


 ニュニュダフネたちが多く食べても問題はない。


「あ、これ、ピリピリして美味しい」


「こっちはジワッときて美味しい」


「ヒィヤァー、辛いっ!

 辛いけど美味しい!」


 あ、こら、それはルーの研究用の毒キノコだ!


 毒キノコでも平気なのはすごいが、ほかの者が間違って食べたら困る。


 食べるなら、隠れて食べなさい。


 あと、毒キノコは専用のアミで焼くように。


 毒がほかの食材に移ったら大変だぞ。


「はーい、注意しまーす」


 うん、いい返事だ。


 追加でキノコを持ってきてあげよう。


 もちろん、食用のな。





 ラナさんの夫の持ち物だった多目的人型機動重機アーティ・ホースやその関連品のチェックが終わったらしい。


 大樹の村に運び込まれることになった。


 ヨルが大喜びした。


 クリムも、ヨルにつきあって喜んでくれた。



 やってくる多目的人型機動重機の数やその関連品の量を確認し、ちょっと困った。


 多すぎる。


 まず、多目的人型機動重機が四十機。


 関連品は、多目的人型機動重機を四機ほど収納できる大型の倉庫で、十棟ぐらい。


 チェックに時間がかかるわけだ。


 そして、ヨルが踊り出した。


 比喩じゃないぞ。


 しっかり踊っている。


 フリースタイルだけど。


 コンテンポラリーダンスみたいなものかな?


 クリムもつきあって踊っているが……ちょっとテレがあるな。


 顔が赤い。


 無理しなくていいぞ。



 受け入れ場所を考える。


 そのまま受け入れると、大樹の村が多目的人型機動重機の整備村になってしまう。


 多目的人型機動重機の活用機会を考えると村にある四機で十分だ。


 四十機も追加で不要。


 困ったときの五村か?


 五村なら多目的人型機動重機は使えるだろう。


 ……


 使えるか?


 一機や二機ならともかく、四十機も?


 無理だよな。


 五村の発展初期にあれば、とても助かっただろう。


 でも、五村は順調に発展を続け、かなり大きな街になってしまっている。


 五村はまだまだ発展するだろうけど、多目的人型機動重機が必要とされるような大型の工事はあまりない。


 もっとも使えそうな道路工事は、俺がやっちゃったし。


 パイロットの育成も考えれば、五村に置いても当面は使い道がなく倉庫にしまうだけだろう。


 魔王の娘であるユーリが、スタジアムで戦うためにひっぱりだすかな?


 それでも、四十機もいらないだろう。


 うーん。


 やはり、道具は道具として使ってやりたい。


 多目的人型機動重機が必要とされるような場所はどこだ?


 発展中の街とか、これから建築する要塞とか?


 そんな場所……あ、ウルザが拠点にしていた街!


 あそこなら使えるか?


 パイロットの育成は必要だろうけど、それはどこでも同じ問題だ。


 ラナさんから譲ってもらったものを、ラナさんのいる場所で使うのはなんだかなぁと思うけど、必要とされる場所にあるほうがいいだろう。


 ウルザが帰ってきたら、相談しよう。


 そういうことで、多目的人型機動重機を大樹の村に運び込むのは中止。


 関連品も同じ。


 そう伝えたら、ヨルが崩れ落ちた。


 クリムが慰めている。


 仲よさそうで、なにより。


 まあまあ、ヨルに合うパイロットスーツは村に持ってきてもらうから。


 それで、村にある四機には乗れるだろ。


 ザブトンに頼んで、調整してもらうことも可能だろうし。


 前々から言われていたパイロットスーツを回収に行く話を、ラナさんから多目的人型機動重機の関連品をもらうからと延期にしていたからな。


 それぐらいはするぞ。


 新しいのがほしい?


 いや、そう言われても……


 わかったわかった。


 一機だけだぞ。


 専用機?


 さすがにそれは駄目だ。


 村の財産だからな。


 でも、一機だけ専用カラーに塗るのは許可しよう。


 ベルから、甘いと言われそうだ。


 言われた。





 ウルザが帰ってこない。


 なにかあったのだろうか?


 ただ、同行した天使族も戻って来ない。


 なにかあったら、一人だけでも戻ってくるはずだ。


 それがない。


 うーん。


 不安に思う気持ちと、ウルザを信じようとする気持ちが拮抗する。


 そんな俺の横で、ウルザを迎えに行こうとする竜姿のハクレンと、ハクレンに頼んだよと挨拶するザブトンの姿があった。


 待って待って待って。


「村長も乗ってく?」


 いや、そうじゃなくて。


「止めても無駄よ」


 うん、わかっている。


 ただ、ハクレンを一人で行かせるのは不安だ。


 ウルザが拠点にしていた街に、いきなり攻撃とかはしないだろうけど……向こうから攻撃される可能性はある。


 それに、ウルザが現地にいればいいけど、いなかったときが怖い。


 ウルザがいないことで不機嫌なハクレンを、アサやアースがいたとして止められるとは思えない。


「つまり?」


 交渉役を連れて行くべきだ。



 そういうことで、天使族のグランマリア、クーデル、コローネが選ばれた。


 クーデルは角付きの槍を五本ほど持っている。


「駄目ですか?」


 いや、それで足りるか?


 ウルザが帰ってこれない、なにかがあるかもしれないのだから。


「ハクレンさまに積めるだけ積みます!」


 うんうん、遠慮なく持って行くがいい。


 ザブトンから、それならザブトンの子供たちも何匹か同行させておくべきと進言された。


 なるほど。


 ウルザが捕らえられている場合、侵入して救助する必要があるな。


 侵入とかが得意な子を何匹か……


 そう決めたところで、ウルザの無事を知らせる天使族が戻ってきた。


 よかった。


 一安心。


 そして……


 俺も冷静じゃなかったな。


 ハクレン、出発中止。


 ザブトンの子供たちも、集まってくれてありがとう。


 ただ、出発はなくなったから。


 すまない、解散だ。


 グランマリア、クーデル、コローネも。


 ん?


 角付き槍の投下訓練をしたい?


 わかった。


 期待させたから、ちょっと多めに投げていいぞ。


 ただ、村から離れた場所で頼む。


 槍の爆発音、すごいから。




ニュニュダフネ「シイタケやナメコ、ヒラタケなど、木に生えるキノコはとくに敵です」

村長     「好物ってことね」


竜の里    「持っていくよー」

大樹の村   「どれだけー?」

竜の里    「これだけー」(四十機+α)

大樹の村   「…………受け入れる場所がないっ!」



ライメイレン 「……」(娘が家出した経験がある)

ハクレン   「……」(家出した経験がある)

ドース    「……」(ハクレンは思い出したように親孝行すると思ってる)

ヒイチロウ  「おばあちゃんたちとお母さん、仲いいね」


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― 新着の感想 ―
パレードに多目的人型機動重機が出動される未来は想像に難くないが、、「専用機」の単語で『イタいペイント』や『それに付随してのポージングやダンス』の可能性を想起してしまいました
ニュニュダフネがなんかすっごい喋るようになってる…?w
>「キノコは我々の敵」 >「土の栄養(力)を奪っていく敵」 この世界ではそうなのでしょうか?。 こちらの世界のキノコは、葉緑素などを持たず、自分で光合成で栄養をつくれないので、分解者として他の動植物…
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