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古の悪魔族のヤメ


 村の屋敷前。


 ウルザが村に帰ってきた。


 怪我はなし。


 よかった。


 一緒に行ったアイスや天使族たちも……疲労がみえるが無事。


 よかったよかった。


 でもって、ウルザの後ろに見知らぬ女性。


 見た感じは……十五才ぐらい。


 金髪ツインテール。


 服装はパステルカラーのフリフリが多め。


 魔法少女みたいと言っては失礼かな。


 彼女が無人島にいた古の悪魔族のヤメさんでいいのかな?


 ウルザが村に戻ってくる前に、連絡はもらっていた。


 ヤメさんであっているのね。


 ようこそ。


 この村の村長のヒラクです。


 えーっと、さっそくなんだけど、ウルザを盾にするのはやめてもらってもいいかな?


 ハクレンとザブトンがピリピリするから。


 駄目?


 盾がないと立っていられない?


 それじゃあ……竜の鱗を貼り付けた盾を渡すから、これを代わりにするのはどうだろう?


 ウルザよりは頑丈だぞ。


 うんうん。


 ほら、叩いても傷がつかない。


 かなり硬いぞ。


 試してみるといい。


 そう言って俺はヤメさんに盾を渡す。


 しばらく待とうと、ちょっと距離を取る。


 すると、俺の後ろで控えていたハイエルフが声をひそめて聞いてきた。


「村長。

 あの盾って、クロさんたちの角を付けた槍の的じゃないんですか?」


 そうだぞ。


 だから、かなり頑丈だ。


「天使族のみなさん。むきになって砕いていませんでしたか?」


 そこは伝えなければ大丈夫だろう。


「あの盾、上にかかげたらクーデルさんが槍を投げてきませんか?」


 ……投げてくるな。


 ヤメさんに注意しておこう。



 注意したら、そんな危険な物を持たせるなと叱られた。


 ごもっとも。


 そして、クーデルの槍投げを見せたら、ヤメさんは腰を抜かしていた。


 かなり距離があったんだけどな。


 慣れていないと、こうなるか。


 そして、俺も慣れてしまっていたようだ。


 気をつけよう。


 で、そろそろウルザを解放してもらえると助かるんだが?


 あー、あそこにいるハクレンとザブトンが、ちょっとずつ近づいているのわかるかな?


 顔はニコニコしているけど、あれは怒っているんだ。


 ウルザを出迎えることを、待たされているからな。


 わかってもらえて助かる。


 ウルザ、ハクレンとザブトンのところに行っていいぞ。


 ヤメさんのことは、俺に任せてくれ。



 ヤメさん。


 いまは全身を隠せるほどの大きな鉄の盾を構えている。


 竜の鱗を張った盾を持ってもらったときも思ったけど、服装にあってないなぁ。


 盾が無骨すぎる。


 もっとかわいい盾はなかっただろうか?


 ……


 村にはないな。


 すまない。


 怖いデザインを施したものならあるが……子供たちからの評判が悪くて、倉庫でほこりをかぶっている。


 せめて、透明な盾……イメージとして機動隊とかが持っているやつがあればなぁ。


 服装の邪魔にならないのに。


 …………


 いや、駄目だ。


 邪魔になる。


 あの服装に盾がそもそも似合わない。


 ゴテゴテと装飾のついたステッキのほうがいいな。


 うん。


 などと考えながら、俺はヤメさんから距離を取って見守っている。


 何度か声をかけたが、盾に隠れるだけで反応が悪かったからだ。


 さっきまではウルザがいたから、会話が成立していたんだな。


 とりあえず、このままではいけないので、ヤメさんの知り合いであるブルガかスティファノに来てもらうように頼んでいる。


 知り合いなら、会話ができるだろう。


 そう思っていたのだが……


 ヤメさんはやってきたブルガを見て悲鳴をあげて倒れ、持ってた盾に押しつぶされて気絶した。


 えっと、ブルガはヤメさんになにかしたことが?


「いえいえ、ごく普通に接していましたよ。

 敵ではありませんでしたから」


 じゃあ、なんで倒れたんだ?


「ヤメはヤメですから」


 ?


 とりあえず、ブルガが気絶したヤメさんをどこに運びますかと聞いてきたので、屋敷の客間にと頼んでおいた。



 屋敷の客間。


 気絶したヤメさんを客間の寝室のベッドに運んでもらい、俺はその隣の客間でブルガからヤメさんのことを聞いた。


「ヤメはかなり古い悪魔の一人で、権能ちからは《不死》です」


 不死?


 死なないのか?


「いえ、死にます」


 ?


「死にますが、すぐに復活します」


 復活?


 ……あー、前に人間の国で暴れていた偽勇者みたいな感じか?


「そうですね。

 その考えで合っています」


 その力を恐れられて、封印されていたのか。


「えーと、違います」


 ん?


「ヤメは自分で自分を封印しました」


 どういうことだ?


「簡単に事情を説明しますと、ヤメはヤメより強い人間の将軍に喧嘩を売りました」


 ふむ。


「当然、負けたのですが……その際に負け惜しみで、自分は不死だからそっちが老いるまで待つ。

 そっちの子孫も狙ってやるぞーと言いまして」


 あー、それは怖い脅しだなぁ。


「ですが、相手の将軍は言い返しました。

 子々孫々、お前を見たら殺すように伝えると」


 将軍も強い。


「その言葉に怯えたヤメは向こうが忘れるまで自分で自分を封印し、眠ったのです。

 おおよそ二千年ほど前の話です」


 向こうが忘れているといいな。


「というか、言った相手は生涯独身だったので、子々孫々が存在しないのですけどね」


 …………


「あ、これはヤメには秘密ですよ。

 ヤメが知ったら泣いてしまいます」


 そ、そうだな。


 秘密にしておこう。


 でも、それを知っていたなら、どうして起こさなかったんだ?


「封印が思ったより強力なのもありますが、あの時期は悪魔族が竜族に従うかどうかでバタバタしていましたので。

 無理に起こしても戦いに巻き込むだけです」


 なるほど。


 それぐらいの仲なのに、どうしてヤメさんはブルガを見て、ああなったんだ?


「ヤメはヤメですから」


 それはさっき聞いた。


「ヤメは私やスティファノ、グッチさまなどを前にすると、いつもこんな感じです」


 いつも?


「ええ。

 気絶するか、逃げるかですね。

 逃げきれたことはありませんが」


 な、なるほど。


 えーっと、改めて聞くけど、仲が悪いわけじゃないんだよな?


「もちろんです。

 仲よしですよ」


 信じるぞ。


 信じたけど、目を覚ましたヤメさんはブルガを見てまた気絶した。


 ヤメさんが落ち着くまで、時間がかかりそうだ。





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― 新着の感想 ―
村長生前アイドル農業番組とそのあとの世界の祭りを取り扱っていた番組だけじゃなく、深夜アニメも見ていたんだな んにゃ、入院中に見てたから日曜朝アニメかな
なんかまた、『めんどくさい』キャラクターを登場させましたねぇ。 多分きっと、最終的に『どこか』に落ち着くポジションの予定があるのでしょうけど。 とりあえずまだ、『猫』にも『美術品を守る悪魔』にも遭っ…
ヤメと聞くと 八女茶しか思いつかないです 静岡茶を抜いて全国一になったとか
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