第四話.
次の日からいよいよ探偵ごっこは始まった。
「さて、どこから調べたらいいんだろう。やっぱり発見場所かな」
「琴奈がいたところ? 例の喫茶店のちょっと行ったところよ」
「そこは何度も通っているか」
「タカ探偵、一つ忘れているわよ」
「ん?」
「本人に聞くこと」
「あ」
そう言えば名前を聞いただけだった。でも、家は聞いたが、空を指すだけだった。他のことに関してはあまり聞いていなかった。
「捜査は振り出しに戻ったか」
「なに言ってんの」
外はいい天気であった。雲がうっすらあるようだが、十分暖かい。もう夏なのだ。三人は取り敢えずその琴奈とミナが出会った喫茶店の近くに行くことにした。
「あ、ミナ、まって。………ちょっと着替えよう」
「なんで? タカ」
「あ、ミナも着替えない?」
「だからなんでさ」
「へ、変装、しない」
「もう! 噂、気にすんな!」
そのまま、三人で商店街に出る。タカの左手で琴奈の右手をつかむ。ミナは右手で琴奈の左手をつかむ。そして持ち上げるように、三人は歩いている。
「これじゃ本当に親子みたいだ……」
タカはそうつぶやく。ミナはなんか嬉しそうにも見える。
喫茶店の近く、琴奈とミナが出会った現場に到着した。タカはしゃがみこんで、琴奈と目線を同じにし、こう言った。
「さて。琴奈ちゃん、どこから来たの?」
「ぷっ」
タカが琴奈にそう質問したらミナは軽く吹き出してしまった。
「な、なに?」
「タカ、その質問、私がここで最初に言ったのよ。あたりまえでしょ?」
「そ、そっか」
ちょっとおどおどはじめた。
「そしたら、あっち、って指差したの」
「上?」
空を見上げる二人を見て、なにかを感じたのか琴奈も突然声を出した。
「あたし、あっちからきたの!」
そう言ってやっぱり空を指した。タカとミナは顔を見合わせた。どうしようって感じだ。
タカは顔を再び笑顔にして次の質問をした。
「ね、ねえ、琴奈ちゃん。どこに住んでいたか、わからないかな、場所」
「あっち」
「そうじゃなくて、なんて言うところ?」
「んー、わかんない」
「うー」
タカ探偵の捜査は早くも終わった。今度はミナの番だ。
「琴奈ちゃん。お父さんとお母さんの名前分かる? どこにいるかわかる?」
「あっちにいる」
琴奈の指は空を指した。それを見て、タカとミナの顔から一瞬にして笑顔がなくなってしまった。苦笑いも出来なかった。しかし、琴奈は二人の表情におかまいなしにこう言葉を続けた。
「おりひめ、と、ひこぼし!」
「は?」
思わずタカは声が出てしまった。ミナもなに言ってんの、という顔になっていた。それはよくタカがミナに変なことを言って見せられる顔だった。




