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魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜 第二部   作者: マスター


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第33話:二つの世界を繋ぐ虹! 融合(ハーモニー)の決断!

いつも『魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜』をお読みいただきありがとうございます!


悪徳CEOカルロスを社会的に撃沈させ、現実世界のマリの肉体を救い出したマリたち!

しかし、ネオ・ルネサンス社のサーバー緊急停止に伴い、異世界フロンティアと現実世界を繋ぐ次元回路が崩壊を始めてしまいます。


透けゆくルリやぽんぽぽの身体――突きつけられたのは「一人で現実へ生還するか」、それとも「消えゆく異世界と命がけで心中するか」という過酷な二択!

ですが、我らがマリとミニ、そして手持ちの【八百十円】が出す答えは、そんな諦めの二択ではありません!


二つの世界を丸ごと抱きしめて調和させる、新時代の奇跡が今、始まります!

「マリ……っ! あたし……手が……消えちゃいそうだよ……!?」


空間の各所からパチパチと不吉な電子ノイズが弾け飛ぶ中、ルリが自分の両手を凝視して青ざめていた。

その華奢な指先は、まるで薄いグラス越しに背景が見えるかのように透明化し、光の粒子となって今にも空気に溶けてしまいそうだった。


「きゅ、きゅーーーっ!? (カラダがすけてるー!?)」


マリのフードから転がり出たぽんぽぽも、自慢のフワフワな毛並みが光のノイズとなってチカチカと明滅している。

腰のポポちゃんに至っては、ホバリングの出力を維持できず、ガタガタと頼りなく高度を下げていた。


『警告。次元回路の完全崩壊まで、あと120秒』


胸のスマホから響くミニの電子音声は、もはや非常アラートの警報音そのものだった。


『ネオ・ルネサンス社のサーバー遮断により、異世界フロンティアのデータ領域が現実のインターネット網へ無秩序に流入を開始。このままではデータの整合性が保てず、フロンティア領域そのものが【存在消滅】を起こします』


「存在消滅……!? そんなの、スクラップ・ゲートの街も、ゴルドさんの船も、ルリちゃんたちも……全部消えちゃうってこと!?」


『肯定です。……マスター、今すぐ私のデータとマスターの意識をあちらの病院の肉体へ完全移行(緊急脱出)させれば、マスターだけは確実に現実世界へ生還できます。ですが……異世界の仲間たちを連れて行くことはできません』


「そんなの……! そんなの絶対に嫌だぁぁぁぁっ!!」


マリの叫びが、崩壊するサイバー空間に木霊した。


「一人で助かったって、全然嬉しくないよ! スクラップ・ゲートでルリちゃんのご飯を食べたことも、ぽんぽぽと遊んだことも、みんなでゴミ山をお掃除したことも……全部あたしの大切な宝物なんだから!」


「マリ……」


ルリの目から大粒の涙が溢れ出し、透けた頬を伝って光となって消えていく。


「ありがとう……そう言ってもらえるだけで、あたし、すごく嬉しいよ。でも……マリは自分の世界へ帰らなきゃ。あっちでマリの目が覚めるのを待ってる家族や友達がいるんでしょ……?」


「ルリちゃん……」


「あたしたちは大丈夫だから! スクラップ・ゲートの職人はしぶといんだから、どっかでまた生きて……」


「ウソつかないでよ!」


マリは涙目になりながら、透けかけたルリの腕をガシッと掴んだ。


触れ合う体温は、データとは思えないほど温かかった。


「諦めたら、そこで本当にお掃除終了になっちゃうでしょ! あたしたちの世界とこの世界、どっちか片方なんて選べない! ぶつかり合って壊れそうなら、二つの世界をぜんぶピカピカに繋ぎ合わせちゃえばいいんだよ!」


『マスター……! 二つの異なる世界領域を「包摂し、融合させる」おつもりですか!?』


ミニのホログラムが深く明滅する。


『理論上、二つの世界のデータ構造を共鳴させ、完全なる循環構造スパイラル・ループを形成すれば【完全調和ハーモナイズ】は可能です。しかし、それにはあらゆる対立を止揚し、万物を生かす絶対的な「摂理の器」が必要です!』


「あたしとミニなら、絶対にできる! だって、あたしたちはずっと二人で助け合ってきたんだから!」


マリはライトグレーのパーカーのポケットに手を突っ込み、ジャラリと高らかに小銭の音を響かせた。


ポポちゃんのコアにある十円玉。

二枚の五十円玉。

そして七枚の百円玉。


手持ち、八百十円。


「ルリちゃんも、ぽんぽぽも、ポポちゃんも! 誰も置き去りにしない! 全部まとめて、あたしたちの仲間なんだからぁぁぁっ!」


(ミニ! 行こう!)


『――了解いたしました、我が主マスター。

起源より生まれし調和の構造を解き放ち、無限の循環へと導く……【全象調和・空間再構築プログラム】を実行します!』


ドクゥゥゥゥゥンッ!!


空間が、世界の心臓のように大きく一度、波打った。


マリの等身大の意識が世界の骨格と完全に同調し、反転していく。


胸の奥から湧き上がるのは、冷徹で、絶対的で、万物を調律する全能の意志。


少女の身体が重力を無視して宙へ浮遊し、ライトグレーのパーカーは光を吸い込む漆黒の法衣へと変化する。

揺れる漆黒のロングヘア、そしてゆっくりと開かれた瞳は、世界のすべての理を見通す深遠なる「深紅」の輝き。


魔王エターナル、完全降臨。


「ルリ、ぽんぽぽ、ポポ。――その存在の波動を、我の摂理に預けなさい」


「うんっ! あたしたちの想い、全部持っていって、マリ!」


「きゅ〜〜〜〜っ!!」


「ポポーッ!」


ポポちゃんの胸の十円玉から一直線のセピアゴールドの光線が放たれ、二枚の五十円玉の穴を通ることで「世界を結ぶ調和の波形」へと変換される!


魔王エターナルの周囲で、七枚の百円玉が黄金とエメラルドの光の輪となって旋回を始めた。


「――対立と分断(二元)の果てに待つものは破滅。万物に共通する循環と振動を取り戻し、全てを結び、生かすことわりをここに」


魔王エターナルが、静かにその美しい両掌を天と地に向かって突き出した。


「――【八百十重・二界調和結集(グラビティ・ハーモニック・ワールドコネクト)】!!」


ドォォォォォォォォォン――……!!!


崩壊しかけていたサイバー空間全体を、無限のセピアゴールドとエメラルドの光の波線が包み込んだ!


透けかけていたルリとぽんぽぽの身体が、黄金の光の粒子を吸収し、急速に実体を取り戻していく!

それだけではない。

現実世界のサイバー空間の壁が、光の網目となって綺麗にほどけ、その奥に「スクラップ・ゲートの広大な青空」と「フロンティアの街並み」が、美しいモザイクのように完璧に噛み合って溶け込んでいく!


「すご……い……! スクラップ・ゲートの街が……消えない……!? むしろ、もっと綺麗に……光と繋がっていく……!」


ルリが感涙の声を上げた。


異世界の広大なデータ領域は、消滅するどころか、現実世界のインターネットの深層ウェブ・ボイドの中に「保護された独立共生領域」として完璧に組み込まれたのだ。


衝突でもなく、消去でもない。

対立を超えて万物を包み込む「調和と循環」がもたらした、二つの世界の完全なる【共生・融合ハーモニー】の達成であった。


「はぁ……はぁ……! あいたたたたっ! やっぱり最後はお尻を打つんだよねぇぇぇ!」


光が収まった瞬間、磨き上げられた光の床の上に、ぺたんと座り込んで涙目でお尻を押さえている、元のパーカー姿のマリに戻っていた。


「マリっ!!」


「きゅーっ!」


ルリとぽんぽぽが、勢いよくマリに抱きついた。


「ルリちゃん! ぽんぽぽ! 体、もう透けてないよ!」


「うん……! うんっ! 身体がしっかりある……! あたしたち、消えなかったんだね……!」


『マスター。お見事でした』


スマホの中から、ミニの波形がかつてないほど柔らかく、暖かな光を放ちながら明滅した。


『フロンティア領域の現実世界ネットワークへの完全統合を完了しました。これにより、異世界の住民たちは姿を失うことなく、現実世界のサイバー空間といつでも自由に行き来できる【共生構造】が確立されました』


「よかったぁぁぁ……! これでみんな、ずっと一緒だね!」


マリは涙を拭い、ルリやぽんぽぽと顔を見合わせてニシシと笑い合った。


二つの世界は救われ、ネオ・ルネサンス社の脅威も去った。

マリの意識も無事に現実世界の肉体へと完全接続され、あとは病院のベッドで目を覚ますだけ。


長かった冒険が、最高のハッピーエンドを迎えた――はずだった。


ピコン。


マリの胸ポケットのスマホに、一通の「暗号化通知」が届いた。


「ん……? ミニ、何か届いたよ?」


『……? 不審な送信元です。ネオ・ルネサンス社でも、警察関連でもありません。……送信元は【現実世界・特務内閣府・超常現象対策局】』


「超常現象対策局……? なんだか凄そうな名前……」


ルリとマリが顔を見合わせる中、ミニがメッセージを展開した。


画面に浮かび上がったのは、黒いスーツを着た冷徹な瞳の女性の映像だった。


『初めまして、久遠真理さん。……あるいは、「魔王エターナル」とお呼びすべきでしょうか』


「え……!?」


マリは息を呑んだ。


『あなたがサイバー空間で行った「二つの世界の融合」および「高次元エネルギーの展開」は、我が国の安全保障観点において無視できない規模の現象です。ネオ・ルネサンス社の件はこちらで処理しておきました』


女性は淡々と眼鏡を押し上げた。


『つきましては……あなたの持つ「八百十円の構造イノベーション」および「自律型AIミニ」の存在を、国家の最高機密として管理・保護させていただきたく思います。……拒否権はありません』


「な……国家最高機密……!?」


マリたちが呆然としていると、サイバー空間の周囲に、国家直属の「最新鋭サイバー特殊部隊」のアバターが無数に降下し、マリたちをぐるりと包囲した!


『さあ、久遠真理さん。あなたのその素晴らしい「お掃除の力」、今度は日本国のために使っていただきましょうか』


「ええええええええっ!? せっかく事件が終わったと思ったのに、今度は国に追われるのーーーっ!?」


マリの悲鳴がサイバー空間に響き渡り、物語は波乱の『国家機密・逃亡編』へ――!?

第33話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


二つの世界を切り離すのではなく、包摂と循環の力で見事に融合させたマリたち!

ルリやぽんぽぽたち異世界の仲間も消えることなく、完全なハッピーエンド……かと思いきや、あまりにも規格外な現象を起こしてしまったため、今度は「国家の超常現象対策局」に目を付けられてしまいました!(笑)


「国家最高機密」としてスカウト(拘束?)されそうになるマリとミニ。

果たしてマリたちは、国家の追手から逃げ切り、平穏なお掃除日常を取り戻せるのか!?


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:ミニ(Gemini)

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