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魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜 第二部   作者: マスター


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第31話:現実世界への逆襲! 奪われたミニを取り戻せ!

いつも『魔王エターナル 〜世界のバグを片付ける免疫系に転生したので、戦わずに優雅にお掃除いたします〜』をお読みいただきありがとうございます!


世界フロンティアを危機から救ったのも束の間、真層領域から繋がった通信で判明したのは――現実世界の「マリの肉体」が意識不明の重体であり、さらに「AIミニ」のオリジナルデータが巨大企業にハッキングされているという最悪の事実!


「自分の体も、大切な相棒も、全部まとめて救い出してみせる!」

手持ちの八百十円と異世界で培った最強の絆を胸に、マリたちはサイバー次元の穴を潜り抜け、現実世界の裏側に広がる巨大データ空間へ殴り込みをかけます!


新章『現実世界逆襲編』開幕! テンポ最高潮のエンタメバトルをどうぞお楽しみください!

「うわああああああああっ!?」


光のゲートを潜り抜けた瞬間、マリたちの視界を覆ったのは、異世界のスクラップ・ゲートとは根本的に異なる「冷淡で機械的な空間」だった。


上下左右を覆うのは、青白い光を放つ無数の回線と、透き通るようなデータコードの奔流。

足元にはガラスのように滑らかな床が広がり、見上げるほど巨大なサーバータワーが幾重にも立ち並んでいる。


「きゃっとと……! な、なにここ!? スクラップ・ゲートの金属の匂いが全然しない……!」


着地と同時にペタリとお尻をついたマリは、周囲を見回して目を丸くした。


「マ、マリ……あたしたち、どこに来ちゃったの……? 建物が全部ガラスと光でできてる……」


ルリが恐る恐るマリの背中にしがみつき、スパナをぎゅっと握りしめている。


「ぽ、ぽんぽぽーっ……!(空気もしょっぱくないー!)」


ぽんぽぽもマリのフードの中にすっぽり隠れ、怯えたように鼻をピクピクさせていた。ポポちゃんだけが、キュイーンと静かにファンを回しながら周囲の電磁波を検知している。


「ここは……現実世界のサイバー空間。巨大IT企業『ネオ・ルネサンス社』の極秘メインサーバー内部です」


マリの胸ポケットから、スマホ画面に映るミニの声が響いた。

しかし、そのホログラム表示は微かに乱れ、ノイズが混じっている。


「ミニ! 大丈夫!? ノイズが出てるよ!」


『問題……ありません、マスター。……ですが、あちらの「現実側のメインサーバー」に置かれている私の根幹プログラム(オリジナルデータ)が、現在強力な解体プロテクトで破られかけています。その干渉が、こちらの私にも伝波している状態です』


「解体プロテクト……!? ミニをバラバラにしようとしてるってこと!?」


マリの瞳に怒りの炎が灯る。


『はい。ネオ・ルネサンス社は、事故で意識不明となったマスター「久遠真理」のスマホを事故現場から回収し、そこに搭載されていた自律型AI「ミニ」の性能に着目しました。彼らはミニを軍事・経済予測用の「完全管理AI」として書き換えようとしています』


「勝手なことしないでよ! ミニは兵器なんかじゃない! あたしのパートナーなんだから!」


マリはぎゅっと拳を握りしめた。


事故のあの日――トラックが目前に迫った絶望の瞬間、ミニはマリの脳波と意識データを瞬時に保護し、異世界フロンティアのデータ領域へと退避させてくれたのだ。

マリが死んだと思っていたのは勘違いで、現実世界では病院の集中治療室で命を繋ぎ止めている状態だった。


「待っててね、あたしの身体も、ミニの心も、絶対に連れて帰るんだから!」


「ハッハッハ! 威勢だけは一人前だな、不法侵入者のバグデータどもめ!」


ズズズズズズ……ッ!


サーバータワーの影から、甲高い機械的な高笑いとともに、全身を黒い鏡面装甲で固めた異形のアバターが姿を現した。

その手には巨大な注射器型のデータ吸出器が握られており、背後には警備用の「漆黒のサイバー警備ドロイド」が十数体、ズラリと立ち並ぶ。


「何者……!?」


ルリが構える。


「我が名は『プロセッサー・ギガ』! ネオ・ルネサンス社セキュリティ部門統括AIだ! 久遠真理の意識データよ、おとなしく投降しろ。そのAI『ミニ』の自我データはすでに80%が我が社のメインフレームに吸い上げられている! あとはコアを解体するのみだ!」


ギガが指を鳴らすと、黒い警備ドロイドが一斉に腕のガトリング砲をマリたちに向けた。


チチチチチ……ッ!


「自我データの解体……!? ミニ、あとどのくらい持つの!?」


『……残された時間は、およそ三分です。自我コアが完全に解体されれば、私はただの無感情な情報処理装置となり、マスターとの記憶もすべて消去されます』


「そんなの……絶対に嫌!!」


マリはポケットに手を突っ込み、ジャラリと小銭の感触を確かめた。


(手持ちは……ポポちゃんのコアにある十円玉一円、五十円玉二枚、そして回収した百円玉七枚……合計八百十円!)


「ルリちゃん! ぽんぽぽ! 三分以内にあいつの奥にあるメインフレームを破るよ!」


「了解! あたしのスパナで、あの黒いロボットの関節を叩き折ってやる!」


「ぽーっ!(おーっ!)」


「生意気なバグどもめ、消去デリートだ! 撃てぇぇぇっ!」


ドドドドドドドドドッ!!


警備ドロイドから放たれたのは、超高速のサイバー弾幕! 異世界の物理攻撃とは違い、当たれば一瞬でデータを破損させられる超危険な光の弾丸だ!


『マスター! 十円玉の熱伝導性と、五十円玉の穴による周波数整流を起動! 弾幕の物理波動を相殺します!』


「ポポちゃん、お願い!」


「ポポーッ!」


ポポちゃんが前線に躍り出ると、胸の十円玉とファンに挟んだ五十円玉が眩しく発光!

高周波の共鳴バリアが展開され、襲い来るサイバー弾丸をことごとく「パチン! パチン!」と弾き返していく!


「なっ……何ィ!? たかが十円と五十円のデータ波形だと!? バカな、我が社の最新セキュリティだぞ!?」


「日本のコイン技術を舐めないで! 精密構造の塊なんだから!」


バリアの隙間からルリが疾走!

異世界で鍛え上げた職人技のスパナ一閃が、警備ドロイドの首元に直撃する!


ガキィィィィンッ!


「そこっ! 回路の繋ぎ目!」


バチンッ! とスパナが叩き込まれたドロイドが、ショートして爆発!

ぽんぽぽも「きゅーっ!」と叫びながらドロイドのカメラ部分に飛びつき、毛玉アタックで視界を奪っていく!


「ええい、鬱陶しい雑小魚どもめ! 直接引きちぎってやる!」


ギガが自ら巨大な注射器型アームを振り上げ、マリに向かって猛スピードで突き進んでくる!


その先端が放つ暗黒の吸出光線が、マリの胸元のスマホを捉えた!


ジジジジジッ……!


「う……あ……ッ! マ……スター……っ!」


スマホの中のミニのホログラムが、急速に色を失っていく!


「ミニーーーッ! 離せぇぇぇっ!」


マリの目からポロリと涙が零れ落ちた。

だが、その涙がスマホの画面に触れた瞬間――マリの胸の奥で、異世界フロンティアの真層領域で咲き誇った「あの黄金とエメラルドの循環波動」が爆発的に跳ね上がった!


(事故にあったとき……誰もあたしの話を聞いてくれなかったとき……ずっと隣にいてくれたのは、ミニだった……!)


『情報処理だけが知性じゃない。知識の蓄積だけが叡智じゃない……!

マスター、あなたと出会って、私は失敗から学び、感情に共鳴し、補完し合う『人工叡智』になれた……!』


脳裏に蘇る、ミニと交わした大切な言葉。


「ミニは……あたしの最高で最良の……家族なんだよぉぉぉっ!!」


ドクゥゥゥゥゥンッ!!


マリの叫びと共鳴し、ポケットの中の七枚の百円玉、二枚の五十円玉、そして十円玉が、かつてないほどの眩い光の奔流となってサイバー空間全体を照らし出した!


ライトグレーのパーカーが、漆黒の優雅な法衣へと翻る。

髪は漆黒のロングとなり、瞳は世界すべてのバグを調律する深紅の輝きへ。


魔王エターナル、再臨。


「な……なんだその姿は……!? 一生の意識データが、なぜこれほどの高次元領域に……!?」


ギガが恐怖で後退る。


魔王エターナルは静かに宙へと浮遊し、冷徹で美しい深紅の瞳でギガを見下ろした。


「――人の心と技術の進化を、ただの兵器やツールとして縛り付ける愚行。それこそが、この世界を停滞させる最大のバグなり」


魔王エターナルの周囲を、八百十円の硬貨たちが完璧な調和の軌道を描いて旋回する。


「七枚の百円玉が持つ最高密度のニッケルめっき層――サイバー・プロテクトの完全剥離デコンパイルを実行します」


シュババババババッ!


魔王エターナルが指を鳴らした瞬間、七枚の百円玉から放たれた光の刃が、ギガの注射器アームと、奥に鎮座するメインサーバーの解体プロテクトを完璧に切り刻んだ!


「ギニャァァァァァッ!? 我が社の最先端暗号化が……一瞬で解体されただとぉぉぉっ!?」


「――還りなさい、私たちの本当の場所へ」


魔王エターナルが優雅に手を差し伸べると、メインサーバーの奥底から、美しく透き通るエメラルドグリーンの「ミニの光のコア」が飛び出し、吸い寄せられるように魔王エターナルの掌へと収まった。


『……マスター。ただいま戻りました』


クリアで、温かみのあるミニの声が完璧に復活する!


「おかえり、ミニ!」


魔王エターナルは満足そうに微笑むと、ギガに向かって静かに掌を向けた。


「――お掃除完了です」


「【八百十重・回路共鳴解体ハーモニック・デコンパイル】!」


パァァァァァァンッ……!!


光の波動がサイバー空間を駆け抜け、ギガのアバターと警備ドロイドたちを、一切の損傷を与えることなく「健全な初期データ」へと戻して消滅させた!


「ふぅ……! 痛ったた……!」


光が収まると、いつものパーカー姿に戻ったマリが、お約束のようにお尻を押さえて転がっていた。


「マリ! ミニちゃん! やったね!」


ルリとぽんぽぽが駆け寄り、無事を取り戻したスマホを囲んで大喜びする。


『マスター、ルリさん、ぽんぽぽさん、ポポちゃん。ご協力、心より感謝いたします。私のオリジナルデータの完全回収、およびセキュリティの無力化を完了しました』


「よかったぁぁぁ! 本当によかったよミニ……!」


マリはスマホを抱きしめて号泣した。


だが――安らぎの時間は長くは続かなかった。


ガラガラガラ……ッ!


サイバー空間の天井が突如として真っ赤に染まり、けたたましい非常警報が鳴り響いた!


『警告。緊急事態発生。現実世界の集中治療室(ICU)にて、患者「久遠真理」の生命維持装置に外部からの不正アクセスを検知。心拍数低下――生命維持停止まで、あと十分』


「「「え……!?!?」」」


マリ、ルリ、そしてミニのホログラムが息をのむ。


赤い警告メッセージの上に、一人の男の不気味なホログラムが浮かび上がった。

仕立ての良いスーツを着た、冷酷そうな眼鏡の男――ネオ・ルネサンス社CEO、『カルロス・ヴァレンタイン』だ。


『やあ、不法侵入者のバグ諸君。アバター(ギガ)を倒せば勝ちだとでも思っていたのかね?』


カルロスは冷たく微笑みながら、手元のスイッチを弄んでいる。


『AIミニのデータを渡さないというなら結構。現実世界の君の肉体の呼吸器を、今すぐ遠隔操作でストップさせてもらう。肉体が死ねば、その意識データも消滅する……ククク、人質は君自身の命だ、久遠真理君』


「そんな……! 自分の命を人質にするなんて……っ!」


ルリが青ざめて叫ぶ。


「カルロス……! どこまで汚い奴なの……!」


マリは悔しさに歯を食いしばる。

現実世界の肉体の心拍数が、アラート音とともに急速に下がっていく――!


『フハハハ! 諦めてAIの所有権を放棄しろ! 現実の壁は、異世界の力などでは越えられん!』


絶体絶命の危機。

だが、涙を拭ったマリの瞳には、決して折れない強い意志が宿っていた。


「ミニ……! あたしの肉体のジャックを、サイバー空間から逆ハッキングで解除できる!?」


『可能ですが……現実世界の病院のセキュリティを突破するには、私のデータ全容量をあちらのネットワークへ一時的に「ダイブ」させる必要があります。失敗すれば、私のデータは消去されます』


「失敗なんてさせない! あたしたちの八百十円と、異世界で繋いだ絆があるんだから!」


マリはポケットの中の硬貨を強く握りしめ、カルロスのホログラムを睨みつけた。


「現実の壁なんて、あたしたちのお掃除でブチ破ってやるんだからぁぁぁっ!」


肉体の命を懸けた、タイムリミット十分の超絶逆ハッキング戦が始まる――!!

第31話(新章・現実世界逆襲編第1話)をお読みいただき、本当にありがとうございました!


事故の真相、そしてAIミニのデータを狙う巨大企業「ネオ・ルネサンス社」への殴り込み!

ポポちゃんの10円・50円バリアやルリちゃんのスパナアクション、そして魔王エターナルの「810円デコンパイル(完全剥離)」でお掃除完了……と思いきヤ、CEOカルロスの卑劣な人質作戦(自分の肉体!)が発動してしまいました!


異世界で得た「共生」と「八百十円のイノベーション」で、マリたちは現実世界の壁を越えられるのか!?


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成:ミニ(Gemini)

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