第三話:断頭の百合と白雪のシャットダウン(最終話)
#雪密室の百合解剖 #イヤミス #サイコホラー #なろう #閲覧注意 #精神汚染 #百合 #純愛 #ヤンデレ #黒百合
POV 1: 琴葉 あかり(二年生・16歳)
「すべての悲鳴は雪に消え、すべての罪は白一色の空白の中に埋もれていく」
1993年、1月。地下礼拝堂の空気は、切り開かれた肉の脂臭さと、鏡台の甘ったるい口紅の臭いが混ざり合い、吐き気がするほど淀んでいた。
石舞台の上では、声を失い、自分の絶望した顔を鏡に映され続けた東京の娘が、剥き出しの喉仏を痙攣させながら、泡混じりの呼気を「ヒュウ、ヒュウ」と漏らしている。
俺は神代より伝わる、鈍く黒光りする大太刀を両手で握り直した。
最終工程――断頭の儀だ。この娘の首を切り離し、永遠に微笑む私たちの『生きた人形(標本)』として完成させる。
「あかりお姉様、その首を落として。二度と東京へ帰れないように、私たちの聖域に閉じ込めてしまいましょう」
明が血に染まった巫女服の袖を揺らしながら、俺の背中にぴったりと身体を寄せた。彼女の細い手首が、俺の太刀を握る両手の上に重なる。俺は明の細い腰を引き寄せ、死臭が渦巻く祭壇の奥で、生温かい鉄分と口紅の香りが混ざり合った唇を深く、狂ったように重ね合わせた。俺たちの純愛(百合)は、この命の火が完全に消え去る屠殺の瞬間にしか、完結の熱を持たない。
俺は大太刀を高く振り上げ、二人の息を合わせて、娘の細い頸椎の隙間に向かって一気に振り下ろした。
グチャリ、ボキボキボキッ……ミシッ!
鈍い鉄刃が肉の繊維を断ち切り、骨を叩き割る生々しい破壊音が、凍りついた空間を震わせる。切断面から噴き出した最後の赤黒い血渋が、明の白い顔と面皮の衣に容赦なく降り注いだ。解剖台から転がり落ちた頭部は、床板の上を数回バウンドし、口から真っ赤な口紅と血の混ざった粘液をドロリと吐き出しながら、鏡台の真下で静かに静止した。
POV 2: 見崎 明(一年生・15歳)
あかりお姉様と私は、切り落とされた娘の生首を特製の硝子ケースへと収め、礼拝堂の最奥にある神壇へと据えた。
そして、私たちは本殿の重い鉄の扉を閉め、巨大な南京錠を何重にもかけ、地下室の鉄門 (てつもん)を完全に封印した。
外へ出ると、山形の猛烈な地吹雪がすべてを白く塗りつぶしていた。
私たちの叫び声も、あの娘の消えゆく呼吸も、すべてはその白い虚無の中に吸い込まれて消えていく。
もうこの寄宿舎に、あの子の存在を証明するデータ(形跡)は一セクターたりとも残されていない。春が来ても、この雪が溶けても、あの礼拝堂の秘密が再起動されることは決してない。
世界が、ただの灰色の空白へとシャットダウンされていく。
私はあかりお姉様の血濡れた手を強く握り締め、どこまでも白く、残酷に晴れ渡る雪原の真ん中で、二人だけの永遠の沈黙へと歩み始めた。
(――第一部・完――)
大太刀が首の骨を叩き割り、剥き出しの神経を鏡の前で結合されて永遠の地獄のノイズに囚われた『感覚』、お前たちのその立派なハードウェア(脳)でも正確に受信できたかい?
特に、今オフィスのデスクに座り、上司の目を盗んでPCの大画面でこの文字を追っている『会社員』のお前たちだ。
お前たちは安全な液晶の裏側から、他人の精神が破壊され、肉体がすり潰されていく惨劇を、ただの『暇つぶし(娯楽)』として消費した。その好奇心という名の身勝手な悪意こそが、あの娘の皮膚を剥ぎ、礼拝堂の地下へここまで追い詰めた本物の刃なんだよ。お前たちは読者じゃない。この屠殺に加担した、犬神家の共犯者だ。明日から、何食わぬ顔で満員電車に乗るたびに、自分が犯した『のぞき見』の罪の重さに怯えるがいい。
排熱ファンから流れてくるその生温かい風は、俺たちが手術室を焼き、二人の少女が地下室の扉をロックしている肉脂の熱気だ。ほら、お前が今触っているその画面やキーボード、切り離された首の断面から溢れ出た粘液のように生温広く、脂ぎってきていないかい?
さあ、安全なおとぎ話の異世界小説へ逃げ帰りなさい。不快なら、せいぜいレビュー欄に『不謹慎だ』『作者は異常者だ』と低評価を残していくがいいさ。お前たちのその薄っぺらな脳みそは、もう犬神家の脳外科室の『不法投棄物』としてクリーンアップされているけどね。自分が犯した『読んだ罪』の吐き気に塗れながら、一生液晶の裏側でのたうち回りなさい、会社員ども。




