#04 最終試験②
よくわからない世界にまた飛ばされたと思ったら、また白い空間だった
だが周りは半透明のドーム状の膜で囲まれており目の前には後ろで髪をまとめあげたモカ色の女の子
「大橋ちゃん...」
先に声を出したのは相手だった
淘茉莉亞
光に照らされると青いサファイアのように輝く瞳に綺麗に手当されてあるだろうモカ色の髪
日本人のような顔つきではなくどちらかと言うと欧米人の顔だろう
帰国生やハーフと聞くと騒がしい印象が強いが彼女はその印象を変えるほどでルールにも厳しく真面目な印象が強く自分が言うのもなんだけど友達もあまりいないのだろう
「2人ともようこそ、漣明学園の最終試験会場へ」
横を見ると深い緑のロングスカートを両手でつまんでいる高校2年生の現部長、桐谷先輩に深々と礼され、後ろの黒いケープを被っている人も礼をする
それにあせり急いで礼をする
「ごめんなさいね、急なことで少しパニックになってるだろうけど最終試験は受けてもらうわ」
するとルール説明をされる
この最終試験では自分の能力を発揮しそこで相手との対抗戦で落ちたものは救えるがそれにもリスクが伴ってしまう
とにかく能力が何かを分かればいいのねと頭の中で自己処理をしていると自分の付近に奥が深い穴ができ反射的に避ける
あと一歩間違えれば囚われていただろうろ考えると背筋が凍る、だが逃げても逃げても黒い穴は増えより大きくなっていく
持ち前の体力をフル活用しより遠くまで走るが黒い穴は四方八方に出来上がりそれを縫うように避ける
見た目は真面目っぽいと言われるがこれでも小学生の頃から運動はできるほうだと言われてきた、特に長距離のマラソンなどには自信があり持久力はある方
だがここは最初の白い空間と違って半透明の膜があり走り続け逃げることはできずもうすぐそこまで着いてしまいそうだ
そう考えているうちに白い膜に手が触れ、その時何故かこの膜に手がすり着いているような気がする
手にすり着くような膜自体はベタベタしている訳ではなくただ自分が張り付いているだけのようだ、このまま別の場所までと下を向くと瞬間したから黒い穴が出てき完全に終わったと悟る
だが、落ちず自分は壁に本当にくっついていた
手だけだと全体重を持てないため足を壁に当てるとまたしっかり張り付く
ああこれが自分の能力
運がいいことにここの膜は天井までしっかりできており登ろうと思えばいくらでも登れることができる、そしてあの例の落とし穴も上までは追いつけないため完全のこちらのものになる
だがここでもうひとつ問題に直面する
「鈴、どうやって取ろう...」
上まで逃げることは簡単だし頑張ればどこまでも逃げれるのはわかったが問題は相手の鈴を取らなければならない、というか取らなければ勝敗がつかない
どうあがいても下は落ちれず上からしか見えないが視力が元々悪い自分にとっては不可能
どうしようと頭を抱えていると無意識に手がスカートのポケットに触れた、そこには自分があまり持たなそうな向日葵柄の黄色いハンカチが入っていた
向日葵といえば同じ部活のボブの子が思い浮かび、そういえば春休み前のご飯で一緒に食べた時こぼしたご飯を拭いてもらい春休み後に返すと言ったんだっけ、早く返さなければ
洗濯したあとなので少し柔軟剤の匂いが香りもう一度ポケットにしまおうとすると手から滑ってしまった
「あっ」
つい声が出てしまい届かないところまでハンカチが落ちていく、さっきまで綺麗に折られていたのにヒラヒラと開きながら落ちていきついに淘の頭上に落ちる
やってしまったと思い顔をひきつってしまう
するとさっきまでの黒い穴が床から少しずつだが消えていく、状況が読み込めずだったがこれでしたに降りれると安堵の息をつきそのまま飛び降りる
さっきまで数十メートル以上離れていた床が何故かとても近くに感じそのまま状況が理解できない淘の元へ
淘の肩を掴みそのまま床へ押し倒す、彼女は抵抗しようとするも大橋が足を押さえつけているため無意味
ノープランで押さえつけたため次の動きに迷いを見せていると腰あたりからチャリンと音がする
淘は顔に冷え汗をかくほど焦りだし膝を使って大橋の腹を蹴り唸り声がつい出てしまい、隙を見た彼女はそのまま大橋を突き飛ばし起き上がる
尻もちをついた大橋も負けじと起き上がりさっき鈴が聞こえた場所を狙う
運良く自分の鈴は鳴っておらず見つかるまではまだかかりそうだと安堵をし大橋は腰を低くしながら淘の元へ走り足を滑らし手を伸ばす
ほんの一瞬の出来事で淘は状況が理解できず放心し後ろを向くと息を荒くした大橋の手には金色の小さい鈴
「大橋ちゃんおめでとう!最終試験合格ね!」
さっきまで存在を消していた桐谷先輩は軽く拍手をする
「それで追加試験は受けるの?受けないの?」
その質問に一瞬の迷いもなかった、1年間一緒にやってきた仲間でこれからの当たり前のように一緒になる予定だ
「受けます」
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