#01 始業
春休みが明け私達は白鷺での2年目を迎えようとしていた
今日で親とまたお別れなのは悲しいが寮生活も今日から再開
久しぶりに着たブラウスとスカートを履き、昨年終わりにもらったリボンを手に取り眺める
濃い藍色に白と赤がアクセントを出すその下にローマ数字でIIと縫われていた
針と糸を使うのが苦手で自分で1年間使うリボンを傷つけたくなく鎚夏に頼んで縫ってもらったのを思い出す
普段から忙しく基本寮の部屋にいないことも多い、だが連絡は絶えずに送っててくれとても人想いな一面も
お願いした時も笑顔でいいよ、と言ってくれ次の日には部屋の机に置き手紙を添えて置いてあった
リボンをつけて洗面台に寄りかかり胸元のリボンを撫でるように触り頬が緩む
もう2年目なんだと
感慨に浸っているとしたからお母さんが呼びかけた
その呼びかけにはっとし飛び出るように家を出る
まだ日は明けきってなく肌寒さが残る
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始業式を終え気づいたら寮の新しい部屋に着いていた
3月に片した洋服をしまおうとしたら見た事ない鏡が立てかけてあった
しかも少しだけ歪んでいて手で触ってみるも凹凸は感じなかったのできっと不良品だろう、後で管理人さんに報告しなければ
そう思い鏡から手を離そうとすると何かに体を引っ張られるような感覚がした
そして吸い込まれるように鏡に入り込んだ
「ん...?」
頭からいったからだろうか、頭に激痛が走る
痛い部分を擦りながら辺りを見渡す
同じ学年であろう子が周りにいる、帰ってきたばかりかまだ制服の子が多い
「神埼」
「え?あ、梓葉か...」
背後の聞きなれた声に反応し振り向くといつも通りのポーカーフェイスで腕を組んで私を見下ろしていた
手を差し伸べてくれてそれをありがたく掴み立ち上がった
部屋は全面真っ白で端が見えないほど広かった
他にも状況が理解できない生徒が溢れていた
泣き出す声も聞こえてきた、相当パニックなのだろう
「梓葉、何か知らない?」
「わたしも気づいたらここにいたって感じ、ただ...」
「ただ?」
「数ヶ月前から噂されてるやつかなって...」
「ああ...」
数ヶ月前とある先輩が歪んだ鏡に吸い込まれたという噂を耳にした。現実味がなく半信半疑ではいたがすっかり忘れていた、ただこんなこともあるのだろうからきっと噂は本当だったのかもしれない
「神埼に聞いた時は信じられなかったけど噂通り歪んだ鏡に吸い込まれた...しかも去年の部屋には絶対なかった鏡。世の中物騒なことも起きるのね」
「にしても何も無いところだよね、白い終わりにない場所で、なんでここに...」
するとどこかから謎の声がした
「ようこそ白鷺学園の皆さん」
年老いているのかとても高ぶった声だが声的に私たちよりは数十年以上は上だろう
「パニックになってる方もいるかだろうか、選ばれし者なのだ胸を張っていてくれ」
どういう状態かも分からないのに胸を張れ...?
選ばれし者?
何を言っているのだろう、彼の言葉には疑問ばかりが浮かんでしまう
「ようこそ、漣明学園へ」
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