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第四章-1 やれることをやってみたら成果は出るけど……

「こちらの書類に――はい。変わったお名前ですね。出身は――チキュウ? はぁ……ケイオスの更に奥地にある国とは。かなり多くの国を旅してきましたが、私でもケイオス以降は行った事がありませんからね。今度お時間がある時は是非その国のお話を聞かせていただきませんか?」

「あ、は、はい。時間があれば――ははっ……」


 盛大な嘘をついて俺は行商人にクラスチェンジした!


 ◇


 ――話は昨日に戻る。

 醜い格好してすばしっこくて、それでいてデリケートなGさんを捕獲し終えた後、焼却処分することによって事無く終えた。事態を悪化させたのが俺だったので本当に良かったと思っている。

 まぁその後も大変だったんだけど。

 余りのおぞましい光景にステラさんは途中で気を失ってしまい、その後の待遇にも困った。オーナーさんに知られないように穏便に事を済ませたかったから手を貸せなかったので、俺が彼女を部屋まで運んだ。着替えさせるとなると一度タオルを脱がさなくちゃいけないし、タオルをつけたまま見ずに着替えさせるのも色々と事故が起きそうだったので、タオルのままベッドに寝かせその上に毛布を掛けて寝かせることにした。

 時期が冬だったら確実に風邪を引いていただろうけど、温暖な時期で本当に良かった。


 その後部屋に戻り、そこら辺に残る格闘の残骸(汚れを落としたり、足や触覚と言った名残を掃除したり)を処理し、何もありませんでしたとオーナーに胸を張って言える状態に戻しておいた。

 暫くするとマグウィードさんが疲れた顔で戻ってきた。行くときに持っていたGを大量に入れた麻袋は無い。


「すみませんでした。こちらの情報不足で」

「いいよ。こっちもそちらの世界のゴキブリはそこまで生命力が高くないことが分かって」

「いえいえ、普通に高いですよ。『一匹いたら百匹いると思え』って言葉もありますからね」

「こっちも似たもんだろ。『一匹いれば何匹でも出てくる』」

「そっちの方が断然怖いですからね⁉」

「まぁ怖いだろうね。猫がじゃれ合っていたら家が恐ろしいことになっていた何て話も聞くからね」


 笑い話のようにしているが、実際に起きたら笑いごとじゃない。燃やすしかないなら家ごと燃やしてしまうかもしれない。

 そして、今回の事件は戦闘よりも深刻だ。

 地球での一般常識、知識で相手をすると時に痛い目に遭う。

 そうすれば多くの場合、いやほとんどの戦いで俺は不利を強いられてしまう。


「国が違えば文化は違う、世界が違えば常識も違うか」

「そうですね。私からしてみればお金が共通じゃない所や働く場所によって物価、賃金が違うのが驚きですよ。そんなことが出来るのなら皆その土地に集まっちゃいますね」

「実際にそういうことをして税を免れている人たちもお金持ちの人たちにはいますからね」

「はは。考えるのは人ですから世界が違っても最終的に同じことを考えてしまいますね」

「実際には互いに商業関係に精通しているから分かり合えること何ですけどね」

「そこに関しては異世界でも――――」


 そこでマグウィードさんの言葉が詰まる。そして数分考えるような仕草をした後、俺の方に真剣な顔で向き合う。


「なぁ。何も生活するために戦闘だけ考える必要性は無いんじゃないのかな?」

「え?」

「君の目の前には戦いの場がいくつか繰り広げられた、見知らぬ世界で生きていくため、そして生活していくためにはそれを真似る必要性があると君は理解したに違いない。けど、勿論それだけでは我々の生活基盤は成り立たない。分かりますか?」

「えぇ。魔物は生活における障害なだけであって、必要な物ではありません。本当に必要なのは――生活に必要な物?」

「そうです。ところで」


 マグウィードさんは俺に向き直る。


「ケイタさん。商売に興味はありませんか?」

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