やさしく抱えて怨霊ゼリー
アタックエースはドローンを操縦して再びレーザービームを撃ち込もうと、炎でできた巨大な兵士に銃口を向ける。
「ダメだよ、炎にレーザーは。」
「より強力になるだけさ。」
それならばと、ドローンを変形させるためにメディアセクトの館長にトランスボールの発射を無線で告げた。ドローンの操縦席は球体のモニタに包まれて、アタックエースの隊員は宙に浮いてリアルに外を見ているようだ。
トランスボールが発射されてドローンのキャッチランチが受け止め体制に入る。
そこを巨大な兵士たちは炎を噴き出して焼き落とそうとする。
「させるかー!」アタックエースは炎を受けながらトランスボールを受け取り、ヘリ戦闘機のドローンは人型ロボットに変身し始める。
専務が口をはさんだ。やれやれ。
「この変身のとこ、ナレーションと3枚くらいの止め絵でいいよね、紙芝居みたいに。」
「いや、それはあんまりです。」
「予算が1話300万円だよ、無理だよ。絶対に。」
ロマンよりもソロバンを重んじる専務であった。
「続けますよ。」小泉は気にも留めない。
胸の真ん中にトランスボールがある、変身したアタックエースの変形ロボット。操縦する隊員たちはロボットと一体化して、神経とリンクしてロボットは巨大な兵士と戦う。
炎がより強力になりアタックエースを焼き払う。アタックエースが内側から火を噴き出した。悲鳴をあげる隊員たち。
アタックエースが敵に吹き飛ばされるたびに、この街のバブル建築だけがぶっ壊れた。
沙耶芽が逃げるのをやめた。
「仗助、私たちも何かやらなきゃ!」
「無理だよ。いや、沙耶芽は怨霊と話せるか?」
「やってみる。」
沙耶芽たちはカフェに戻り、焼き払われたイモムシの、ゼリー状の塊をすくって抱きかかえ優しく話しかけた。
「もう怖がることはないの。怒りを鎮めて元の姿に戻って。」
「なんか、色が変わり始めたよ。」と仗助。
ゼリー状の塊は昇華されパステルブルーの粒子になり、水の女神に変わった。
専務が「ここは観音さまだろう。」というのを無視して小泉は読み続ける。




