この街のヒーローは警備員
それにいち早く気づいたのは、隣の大通りにあるメディアセクトの防災センターだった。
「緊急事態発生!怨霊探知【キテマス】がレベル7で鳴ってるぞ。」
警備員の赤石が叫ぶ。
「屋上の監視カメラ確認。川ぎし近辺から発生し、市街地に侵入中。カフェ占拠!」
同じく警備員の碧山が応える。
「こりゃ映画祭やってる場合じゃないな。」
館長が決断を下す。そして警備員に告げた。
「アタックエースを出動させよ。非常エレベーター切り替えだ。」
そこまで読んで専務が言った。
「小泉さんねえ。これ、面白いの?」
小泉はクビをかしげながら
「うちの沼仏が京北大の漫研仲間呼んで。」
「自信作です、って言ってます。」
専務は脚本を眺めながら
「で、アタックエースって変身するの?それとも超合金のロボットに乗るのか?」
小泉は「もうちょい読んでみましょう。」
メディアセクトの警備員は制帽のマークを押すと全身がアタックスーツに変わり戦隊ヒーローの姿になって、地下に格納された「ドローン」と呼ばれるヘリが非常エレベーターに乗って屋上に登場した。警備員が変身したアタックエースはそれに乗り込んで飛び立つ。
また専務が口を出す。
「あのさ、これ予算かからない?」
「大丈夫?制作は東京の桃園映画に頼むんだよ。赤字だよこれ。」
小泉は「まあまあ、まだ脚本ですし。やっつけるとこまでは読みましょうよ。」
アタックエースはドローンに乗ってイモムシが塊になったカフェの上空からレーザービームを撃ち込んだ。焼け落ちる黒いゼリー状の塊が流れ出す。
「今だ、逃げよう!」沙耶芽の手を握り仗助たちは走り出す。その時、7つあるうちの一つのアーケードが燃えだし、火に包まれた巨大な兵士が三人現れた。
「サンファン様の御霊、何たる事。」
「この恨み、はらすまで許さじ。」
また少し読んでは専務が口を出す。小泉はうんざりである。
「小泉さんさ。若い子はドラマ作りの基本知ってんのかいな?」
「大衆向けなんだから説明がないと。」
「サンファン様って何?」
小泉は答えた「いきなり、説明なしでナゾが出てきた方がかっこいいらしいです。」
ま、かっこよくヒーローが怪獣倒す場面があれば何とかなるか?専務は100歩ゆずって続きを読んだ。




