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最終章 大好きな星へ

――二十年後。あれから、アルケミー星は色んなものが変わった。新たな発明が世の中を騒がせたり、その影響で生活が変わったり、目まぐるしく移ろっていく。むうはあれ以来沢山宇宙任務をこなし、ぺーぺは医者として、きーうぃは錬金術師としてまた世間から受け入れられた。らいらは数々の発明に貢献し、研究チームは恐ろしい予言に縛られることなく、のびのび研究に励んでいた。

 ころろはというと、かろの研究室でたった一人、友だちを待ち続けていた。

「――おい。」

 ころろの元を訪ねたのはむう。すっかり髪も背も伸びた彼女は、いつの間にかころろを見下ろせるくらい大きくなっていた。でもむうはいつも大人になったのが不服だと言う。大人嫌いは変わらないそうだ。

「最近元気ないけど……かろのことか?」

 二十年間、かろはまだ帰ってきていない。近年、滅んでしまった星が次々命を取り戻しつつあるのは、かろがまだどこかで生きている証だろう。でも、それがあとどのくらい続くんだろうと思えば思うほどころろは不安になった。

「ならいっそ、前髪で隠したらいいのに。」

「そしたら、かろのことまで忘れそう……。」

 ころろは自分の胸元をギュッと掴む。その様子を見かねたむうはため息をついた。

「かろは絶対帰ってくるって言ってたんだろ?なら信じて待つしかないんじゃないの。」

「かろは嘘つかない。わかってる。わかってるけど……。」


「じゃあ、会いに行くか?」

 

「――!」

 ころろは驚いて顔をあげる。急に真ん丸な目でこっちを見られたものだからむうも驚く。

「――こほん。つまり、僕は宇宙飛行士でお前はかろの宇宙船だろ?だから、近いうちに会いに行かないかって言ってるんだよ。僕達なら難しくないだろ。」

「できるの?」

 むうは自慢げに鼻を鳴らし、自慢げに語る。

「まあ、任務によってはちょっとくらい道草食っても怒られないだろうし。なにせ僕が発明した無線機を使えば登録してある人物の位置を容易に特定できるし?実際僕は以前これでお前たちの居場所を特定して近づいて――はっ!?」

 段々自語りに移行した結果、墓穴を掘ってしまったようだ。二十年前、偶然再会したあの日、むうはストーキングをしていた。ころろは彼女に白い目を向ける。

「ま、まあとにかく!不可能はないってことだ。」

「でも、むうの宇宙船はらいらでしょ?いいの?」

「?乗る宇宙船なんてどれでもいいだろ。」

「……むうの浮気性。」

「なんでだよ!?」


 二人が会話を交わす中、何やら廊下の方がざわついているようだった。二人は気になって部屋を出てみる。

 廊下では大人や子どもがみんな窓の外を見上げ、空を指さしていた。「ケーキが落ちてくる!」誰かがそう叫ぶ。その視線の先には、確かに何かが降ってきていた。

「あれ、まさか……。」

 ケーキの形をした宇宙船。ギャラクシーケーキ。それが炎に包まれながら、もうすぐ地面に落ちてこようとしている。ころろは慌てて施設を出て駆け出そうとした。――その手をむうが掴む。

「追いつけると思ってるのか?」

「でも……」

 むうは無理やりころろの手を引き、隠し持っていた大砲の中にころろをはめ込んだ。

「……へ???」

「どうだ!僕が考えた最強の人間大砲だ!」

 ころろは思い出す。そういえば彼女はマッドサイエンティストだったなと。

「むう!また新しい発明品を作ったのね?」

 らいらが人間大砲を見物しにやってきた。騒ぎに流されていたところ、たまたま二人を見かけたという。

「んー?このボタンはナニなのね?」

 隅についていたボタンを、むうの返答も待たずにポチッと押す。「は!?おい!」とむうの焦る声がした。……嫌な予感がころろの全身を伝う。

〈発射速度を最大に設定。発射準備完了……〉

「バカ!勝手に僕の作品に触るなって何回も言ってるだろ!」

「あわわわ……」

 二人は慌てている。でもこの場で一番慌てているのは他でもないころろだろう。

「こ、これどうすれば――」

 カウントダウンが終わり、ころろが言い終わるより先に身体はまっすぐ弾き飛ばされた。ビュン!!と風を切り、目の前の景色を高速で横切っていく。やがて、地面を引きずりながら砂煙をあげてコケた。

「……ころろが人間じゃなくてよかったなのね。」

「…………。」

 むうは恐ろしさに震えて声が出ない。自分の発明品がやり過ぎだと思い知ったのか。


 ☆


 ころろは立ち上がり、走り出す。燃えながら落ちてくる宇宙船はやがて燃え尽き、中から人影が降ってくる。……着地しようとしている。ころろは受け止めようと大きく手を伸ばし、丁度その手が着地点になるようにピョンと前へ飛び跳ねた。二人は互いを見逃さないようにしっかり見つめあい、やがて、太陽でシルエットになっていた顔の輪郭がハッキリうつるようになる。明るい少女の、照らすような笑顔。

 その瞬間――ころろの目と少女の瞳がばっちり合う。随分久々に聞いた懐かしく元気な声が、ころろの目の前で飛び込んだ。


「ただいまっ」

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