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仮面のない空へ:常闇編  作者: R


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第6話

【仮面を砕いた男】


風が吹いていた。


青い空の下。


カナタはまだ少し

状況が理解できていなかった。


さっきまで見ていたのは

黒い空。


崩れた街。


常闇に覆われた世界。


だが今――


空は青い。


雲が流れている。


太陽が眩しい。


カナタは空を見上げた。


「……本当に」


「別の世界だ」


その時。


足音が近づいた。


カナタは視線を戻す。


目の前には


一人の男。


黒いコート。


鋭い目。


静かな空気を纏っている。


そして足元には


砕けた仮面。


男は腕を組んでいた。


「……で?」


低い声。


「お前は誰だ」


カナタは少し迷う。


だが答える。


「カナタ」


男は続ける。


「どこから来た」


カナタは言う。


「別の世界」


男の眉がわずかに動く。


「ほう」


カナタは続ける。


「黒い空の世界」


「仮面に支配された世界」


男の目が細くなる。


カナタは言う。


「その世界を救える人を探してる」


そして


その名前を言った。


「R」


風が止まる。


男は数秒

黙っていた。


そして言う。


「誰に聞いた」


カナタは答える。


「祖父」


「ソウゲンっていう」


男は少し考えた。


「知らない名前だ」


カナタは頷く。


「でも祖父は言ってた」


「仮面の時代を終わらせた男がいるって」


カナタは周りを見る。


そして足元の仮面を指す。


「さっき」


「仮面を砕いてた」


男は静かに言った。


「ただのゴミだ」


カナタが驚く。


「仮面だぞ?」


男は肩をすくめた。


「だからだ」


「そんなもの」


「最初からいらない」


カナタは言葉を失う。


その時。


風が吹いた。


男は空を見る。


「仮面はな」


「人を弱くする」


カナタが聞く。


「どういう意味?」


男は言う。


「力を与える」


「役割を与える」


「安心を与える」


「だがその代わり」


「人は考えるのをやめる」


カナタは黙る。


男は続ける。


「昔」


「この世界も仮面だらけだった」


カナタの目が見開く。


「え?」


男は言う。


「王」


「騎士」


「兵士」


「商人」


「人はみんな仮面を被って生きてた」


カナタが呟く。


「仮面の時代……」


男は頷く。


「だから」


「全部壊した」


カナタが驚く。


「全部!?」


男は平然と言う。


「壊せるやつはな」


カナタは男を見つめる。


この人が


仮面の時代を終わらせた男。


その人が


目の前にいる。


カナタは言った。


「俺の世界を」


「救ってくれ」


沈黙。


風が吹く。


男はカナタを見る。


そして


静かに言った。


「断る」


カナタが固まる。


「え?」


男は言う。


「俺はもう」


「世界を救うのをやめた」


カナタは叫ぶ。


「でも!」


「俺の世界は――」


男は遮る。


「知るか」


カナタが言葉を失う。


男は続ける。


「世界なんてな」


「勝手に壊れる」


「勝手に終わる」


「それが普通だ」


カナタは拳を握る。


「ふざけんな」


男の目が動く。


カナタは言う。


「俺の世界には」


「仲間がいる」


「守りたい人がいる」


「それでも」


「見捨てろって言うのか」


男は少し黙った。


そして聞く。


「お前」


「仮面を持ってるな」


カナタは驚く。


「……わかるのか」


男は言う。


「気配でな」


カナタは胸元の仮面を見せた。


時空の仮面。


男の目が少し変わる。


「……面白い仮面だな」


カナタが聞く。


「知ってるのか?」


男は言う。


「聞いたことはある」


「世界を繋ぐ仮面」


カナタの心臓が跳ねる。


「じゃあ!」


男は首を振る。


「それでも」


「俺は行かない」


カナタが叫ぶ。


「なんでだよ!」


男は空を見る。


青い空。


そして静かに言った。


「俺はもう」


「仮面と関わらない」


沈黙。


カナタは歯を食いしばる。


だがその時――


遠くから声が聞こえた。


「Rー!!」


元気な声。


男がため息をつく。


「……うるさいのが来た」


丘の向こうから


三人の影が走ってくる。


一人は女。


一人は長髪の男。


もう一人は青髪の男。


カナタは思う。


(誰だ……?)


男は言った。


「……仲間だ」


そして小さく呟く。


「まったく、面倒なやつら」

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