第19話
【侵食する力】
荒野。
瓦礫の街跡。
風が吹く。
その中央で――
シオンが剣を構えていた。
向かい合うのは
第三席。
断罪の仮面 ラグナ。
ラグナは笑っている。
「お前か」
シオンは何も言わない。
ただ剣を構える。
カナタが言う。
「シオン……」
ガルムが肩を押さえながら言う。
「気をつけろ」
レナも言う。
「無理しないで」
だが
シオンは静かだった。
まるで
別人のように。
ラグナが剣を肩に乗せる。
「来い」
次の瞬間。
シオンが動いた。
シュン。
カナタの目が開く。
「速い!」
シオンの剣が走る。
ザンッ!
ラグナが受ける。
ガキィン!!
火花が散る。
ラグナが少し驚く。
「ほう」
シオンは止まらない。
次の斬撃。
ザンッ!!
ラグナが避ける。
「悪くない」
だが
その次。
シオンの動きが変わった。
一歩。
踏み込む。
その速度が
さっきまでと違う。
ラグナが目を細める。
「……速いな」
シオンが剣を振る。
ガガガガガッ!!
連続斬撃。
ラグナが防ぐ。
だが
押されている。
レナが呟く。
「嘘……」
ガルムが言う。
「シオンあんな強かったか?」
カナタは答えられない。
シオンの背中を見る。
何かが違う。
ラグナが笑う。
「いい」
「面白い」
仮面が光る。
「断罪」
ラグナが突っ込む。
斬撃。
ザンッ!!
シオンの肩が裂ける。
血が飛ぶ。
カナタが叫ぶ。
「シオン!」
だが
シオンは
止まらなかった。
その目が
黒く光る。
シオンが呟く。
「……遅い」
次の瞬間。
ラグナの背後にいた。
ラグナが振り向く。
「何!?」
シオンの剣が走る。
ザンッ!!
ラグナの腕が裂ける。
ラグナが後退する。
「……今のは」
レナが震える。
「転移……?」
カナタが言う。
「違う」
シオンの足元。
そこから
黒い霧のようなものが
溢れていた。
ラグナが笑う。
「なるほど」
仮面を触る。
「侵食か」
カナタが叫ぶ。
「侵食?」
ラグナは言う。
「その男」
「常闇に触れている」
レナが叫ぶ。
「嘘よ!」
ラグナが言う。
「その力」
「常闇の力だ」
カナタが叫ぶ。
「シオン!」
だが
シオンは振り向かない。
その目は
どこか遠くを見ていた。
ラグナが言う。
「面白い」
「なら」
仮面が光る。
「全力で行く」
ラグナの身体から
黒い刃のような力が溢れる。
「断罪」
「終罪」
空気が震える。
大地が割れる。
カナタが感じる。
危険。
ラグナが消えた。
次の瞬間。
シオンの前。
剣が振り下ろされる。
だが――
シオンが
笑った。
初めてだった。
そして言った。
「……遅い」
剣が走る。
ザンッ!!
ラグナの身体が
深く斬れた。
血が飛ぶ。
ラグナが膝をつく。
「……見事」
シオンは剣を下ろす。
ラグナは笑う。
「だが」
カナタを見る。
「少年」
「気をつけろ」
カナタが言う。
「何を」
ラグナは言った。
「その男は」
「もう」
「こちら側だ」
その瞬間。
仮面が砕けた。
ラグナの身体が崩れる。
静寂。
風が吹く。
カナタがシオンに駆け寄る。
「シオン!」
シオンは立っていた。
だが
その腕。
黒い侵食が
肘まで広がっていた。
カナタが震える。
「……それ」
シオンは
ゆっくり手を隠す。
「大丈夫だ」
だが
その声は
どこか
冷たかった。
遠くで
Rが
静かにそれを見ていた。
何も言わずに。




