第13話
【第一の八将】
黒い大地。
崩れた街を越え、
カナタたちは進んでいた。
遠くには
常闇の城。
巨大な塔が
空を貫いている。
近づいた気がする。
だが――
まだ遠い。
ガルムが言う。
「……遠すぎるだろ」
レナが地図を見る。
「昔はここ」
「王都だった」
Rが聞く。
「昔?」
レナは頷く。
「アルカディアが現れる前」
「この世界の中心」
カナタは城を見る。
「今は」
レナが静かに言う。
「常闇の中心」
風が吹く。
黒い空が揺れる。
シオンが足を止めた。
「……来る」
カナタが振り向く。
「え?」
その瞬間。
大地が震えた。
ドン――
重い音。
また。
ドン――
ガルムが目を細める。
「足音か」
次の瞬間。
瓦礫の山が
吹き飛んだ。
巨大な影が現れる。
高さ三メートル以上。
黒い鎧。
そして
仮面。
禍々しい仮面。
男はゆっくりと歩く。
一歩。
地面が沈む。
レナが息を呑む。
「……嘘」
カナタが聞く。
「知ってるのか?」
レナが震える声で言う。
「八将」
ガルムが笑う。
「いきなりかよ」
男は止まる。
そして低い声で言った。
「貴様らか」
声は重い。
だが
狂気ではない。
完全に
自我がある。
男は続ける。
「王の命だ」
「侵入者を排除する」
Rが前に出た。
「早いな」
男はRを見る。
仮面の奥の目が光る。
「……剣神」
カナタが驚く。
「知ってるのか?」
男は言う。
「王はすべて見ている」
そして
剣を抜いた。
巨大な剣。
人間サイズ。
男は名乗る。
「八将」
ガルムが笑う。
「強そうだな」
グラドが剣を構える。
「強い」
「だから」
「ここで死ね」
次の瞬間。
グラドが消えた。
ドゴォォォン!!!
地面が爆発する。
ガルムが吹き飛ぶ。
「ぐっ!」
レナが叫ぶ。
「ガルム!」
カナタが剣を抜く。
「速い!」
グラドが再び動く。
巨大な剣が振り下ろされる。
その瞬間。
ガキィィン!!
Rの剣が止めていた。
火花が散る。
地面が砕ける。
グラドが言う。
「……止めたか」
Rは笑う。
「遅い」
次の瞬間。
Rの剣が動いた。
ザンッ。
グラドの鎧が
斬れていた。
だが
浅い。
グラドが笑う。
「効かん」
鎧の下から
黒い力が溢れる。
大地が揺れる。
カナタが震える。
「……強い」
Rが言う。
「いいな」
そして
剣神の仮面を取り出す。
レナが驚く。
「それ……」
Rが言う。
「少し本気出す」
仮面をつける。
その瞬間。
空気が変わる。
風が止まる。
グラドの目が光る。
「……来い」
Rが剣を構える。
剣神の仮面が光る。
そして言った。
「カナタ」
カナタが見る。
Rは言う。
「よく見とけ」
「これが」
剣が光る。
「戦いだ」
次の瞬間。
二人が消えた。
大地が爆発する。
空気が裂ける。
剣がぶつかる。
ガガガガガガガッ!!!
信じられない速度。
レナが呟く。
「……見えない」
ガルムが立ち上がる。
「すげぇな」
シオンは黙っていた。
ただ
その戦いを見ている。
そして
小さく呟いた。
「……八将」
黒い空の下。
剣と剣が
激突する。
常闇世界の
本当の戦いが
始まった。




