第11話
【常闇の信徒】
瓦礫の街。
黒い空の下。
常闇兵たちは
武器を失っていた。
だが――
誰も逃げない。
一人の兵が
ゆっくりと笑った。
「無駄だ」
Rが目を細める。
兵は言う。
「我らは」
「アルカディア様の意志」
別の兵が叫ぶ。
「常闇こそ救済!」
「仮面こそ真理!」
次々に声が上がる。
「自由など幻想!」
「常闇に従え!」
その目は
狂っていない。
むしろ
信じきっている目だった。
レナが小さく言う。
「……これが」
「常闇の支配」
ガルムが舌打ちする。
「気味悪いな」
シオンは黙っていた。
Rが聞く。
「いつからだ」
カナタが答える。
「三年前」
「突然だった」
「最初は一部だけだった」
「でも」
カナタは拳を握る。
「どんどん増えた」
レナが続ける。
「仮面をつけた人が」
「次の人に仮面を渡す」
ガルムが言う。
「断ると」
「敵になる」
シオンが静かに言った。
「……そして」
「最後に残るのは」
「従う人間だけ」
Rが頷く。
「よくある話だ」
常闇兵の一人が叫ぶ。
「黙れ!」
「常闇は救いだ!」
兵たちは
ゆっくりと仮面に手をかけた。
レナが叫ぶ。
「やめて!」
遅かった。
仮面が光る。
黒い光。
次の瞬間
兵たちの体から
黒い力が噴き出した。
ガルムが驚く。
「強化か!」
常闇兵が笑う。
「アルカディア様の力だ!」
「常闇の祝福!」
次の瞬間
兵たちが突撃する。
今度は
さっきとは速度が違う。
ガルムが前に出る。
「来い!」
大剣を振るう。
ドゴォ!!
兵が吹き飛ぶ。
レナも動く。
炎の仮面が光る。
炎の斬撃。
シオンの剣が走る。
風を切る。
カナタも参戦する。
時空の仮面が光る。
だが
Rは動かない。
腕を組んで見ている。
カナタが叫ぶ。
「R!」
Rが言う。
「見てる」
ガルムが兵を殴り飛ばす。
「余裕かよ!」
Rは静かに言う。
「お前ら」
「弱くない」
その時だった。
一人の兵が
Rに飛びかかった。
狂気ではない。
崇拝の顔。
「アルカディア様の敵!」
剣が振り下ろされる。
Rが動く。
一歩。
それだけ。
ザンッ。
兵の武器が
また真っ二つになった。
Rが言う。
「だから」
「戦え」
カナタたちは
一瞬驚いた。
だが
理解する。
これは
試されている。
レナが叫ぶ。
「カナタ!」
カナタが頷く。
「行くぞ!」
仲間たちが
再び戦い始める。
その様子を見て
Rは空を見上げた。
黒い空。
そして
どこか遠く。
城の方向。
Rは呟く。
「……見てるな」
その頃。
常闇の城。
巨大な塔。
その最上階。
アルカディアは
静かに街を見下ろしていた。
黒いマント。
白い仮面。
その後ろに
一人の影が跪いている。
仮面の男。
アルカディアが言う。
「どう思う」
男が答える。
「面白い」
「久しぶりです」
「抵抗者」
アルカディアが小さく笑う。
「そうだな」
男が聞く。
「私が行きますか」
アルカディアは首を振る。
「まだいい」
「その役目は」
アルカディアは遠くを見た。
そして言う。
「八将の仕事だ」
仮面の男が頭を下げる。
「承知しました」
アルカディアは静かに呟いた。
「R」
「剣神」
「そして」
「時空の少年」
白い仮面の奥で
その目が光る。
「どこまで抗える」
⸻
街では
戦いが終わっていた。
常闇兵たちは
倒れている。
息を切らすカナタ。
レナも肩で呼吸している。
ガルムが言う。
「……強くなってるな」
シオンが剣を収める。
Rが言う。
「まあ合格」
カナタが聞く。
「合格?」
Rは剣を肩に担ぐ。
「まだ戦える」
そして空を見る。
黒い空。
Rは言った。
「だが」
「次は」
「もっと強いのが来る」
カナタが聞く。
「誰だ」
Rは答える。
「多分」
「王の部下」
風が吹く。
黒い空が揺れる。
Rが小さく呟く。
「……八人の仮面使い…」




