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第五話の六 予想外の出来事

 シャドウ攻略によってついに俺達はウルリスの待つ部屋へ突入することが出来る様になった。しかし、意気揚々と部屋のドアを破壊して突入した俺達は先客の存在に気が付いた。


「遅かったじゃないか」

「ぼ、ボス! どうしてここに!」

「どうしてって言われてもな、こいつを、捕まえたところだ」


 そういうボスの足元にはウルリスが転がっていた。ガッチリと縛られているようであったが生きていた。


「一人で来たのですか?」

「いや、ほかの連中は出払っている。ウルリスめに気を取られて書類を燃やされでもしたら堪ったものではないからな」


 だとしてもブレインがわざわざ出向いてくるとは何と無謀な、と思った。しかしそこで自分も紛い成りにもブレインであったことを思い出した。


「さて、お勤め御苦労。後は準備万端の状態でアネモネ軍を撃退すればいい。今アレクセイにその準備を行わせている」

「はい。しかし準備していたとはいえ余裕でしたね」

「さて、それはこれからにもよるな。……試しに調べてみてくれんか? アネモネ軍がいつ着くか」

「後二時間後では?」

「まあまあ、そう言わずに」


 何かが気になるのか、ルーデンドルフはそう急かす。そこで俺は渋々調べ始めるが、その答えは全く予想していないものだった。


「……到着まで二時間ではない? 二時間以内ではあるか……。――到着まで、三十分」


 様々な選択肢を用意し、到着時間の詳細を調べていた俺は絶句した。予定よりも一時間半も早いのだ。すると即座にルーデンドルフは通りがかった商会の構成員と思われる男に伝令を頼んだ。


「至急、アレクセイに連絡。すぐに陣地を構えよ。敵はもうすぐそこにいる。とな」

「は、はい!」

「あ、でも、違うかもしれないし……」

「いや、間違いない。お前から裏付けが取れてよかった」

「裏付けってことは、分かっていたんですか? 敵が予想よりも早く到着するって」


 俺の質問にルーデンドルフは頷く。そう言えば資料を燃やされては困ると言っていたが、それはもしかして敵の進行時間の詳細を探していたのではないかと予想できた。


「隣国に住む友人からの情報でな。鳩が飛んできたのよ。敵はすぐそばだとな。アレクセイにはすぐに展開できるように指示を出しているが、大砲が間に合っていない。このままでは少々不味いか……」

「アウトローズに何かできることは!」

「ない。構成員三人の新興組織が粋がるなよ。しかし仕事は与えてやる。すぐさまアレクセイの指揮下に入り、出来るだけ多く時間を稼げ。そして死ぬな」

「はい。行くぞ二人とも」


 俺達はすぐにアレクセイのいる場所を目指して走り始めた。どこにいるかは知らないが。


「ねえ、アレクセイっておっさんどこにいるの?」

「知らん。聞き込みしながら行けばいいんじゃね」

「ええ!? ルーデンドルフに聞こうよ!」

「無理無理、あの人今すっごい機嫌悪いよ」


 元女神のいう事は尤もだが、それでもこれ以上あそこにいるのは我慢ならなかった。何時もは笑顔の多い人だというのに今回ばかりは淡々と事務的な話しかしないのだ。本当にヤバいのだろうとしか思えなかった。


「まあいいけど。それより服着替えたいんだけど」

「私も賛成だ。いったん離脱するぞ」

「分かった。じゃあ中央公園って分かる? あそこで待っているから、すぐ来いよ」


 二人とも人目を気にしながら切られた服を押さえていたため、そっちの方がいいなと判断して俺は許可を出す。すると二人はパタパタとラント商会の方に走って行った。


「……さて、元引きこもりのコミュ障だが、二か月間の成果を見せる時かな!」


 この二か月、伊達に労働に勤しんでいなかった。この短期間で俺のコミュニケーション能力は大幅に改善されていた。そのため多少は緊張するが、聞き込みに不安はなかった。


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