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Vol.35:トーキョー・エスケイプ(1)

-コロンシリーズ再び(16)-

 ジェイク達との対決の末に二冊のコロンシリーズを手に入れたミミミ達はそのまま風見の運転でコトトネ町を発った。道中仮眠含めた休憩を挟みつつ、何とか無事に東京まで帰ってくる事が出来た時には既に朝日が昇り始めており、大都会の一日が目まぐるしく動こうとしていた。

「……マジかよ」

 シドの耳に風見の声が入ってきた。行きと同じく二列目のシートで横になって睡眠を取っていたのだが、ふと目が覚めたのである。何かあったのかとのそのそと無言で体を起こす。

「……どうしたんすか」

「お? 起きたか少年。いやな、どうやら事故があったらしい」

「事故……?」

 運転席の横から顔を出して前方を確認してみると、数台先でトラックが横転して道を塞いでいるのが見えた。助手席のアプリコットはその様子をぼーっと眺めている。

「んん……ふあ~あ……何? もう着いた感じ?」

 最後列のミミミも目を覚ました。新しく出来た寝癖のせいで頭の触覚が何本か増えている。

「事故だってよ」

「今はまだ初台辺りだ。くそっ……もう少しって所でこれかよ。1時間はかかりそうだなこりゃ」

 時刻は四時半過ぎ。車は首都高速4号にある。目的地は千代田区大手町。既にユウコにハントの結果を報告し、暦史書管理機構の職員と落ち合ってコロンシリーズを引き渡す事になっていた。機構としては本をいち早くその手に収めたいのである。

「本持って降りよっか? そろそろ電車動くんじゃない?」

「降りるっつったってここは首都高だぞ」

「私の能力なら出来ない事も無い」

「そうなのか?」

 三人がこれからの行動を話し合っているのを聞きながらシドは何気無くバック・ミラーに目をやった。

 すると、そこに映る光景を見てまだ残る眠気が一瞬で吹き飛んだ。

「……!?」

 見間違いかと思い目をこする。再度確認するが、やはりそれ(・・)は見間違いなどではないのであった。

「……な、何で……!」

「? どうした少年」

「もしかしてトイレ? 誰も見てないからそこら辺でしてくれば?」

「な、ななななな何であの人達がここに……!」

「? ……っ!」

 三人もバック・ミラーを覗き込む。そしてすぐさま彼の言わんとしている事を理解した。

 コトトネで撒いてきたはずのジェイク達が停滞している車の間を縫いながらゆっくりとこちらに向かって来ている。決して幻などではない。

「ど、どうして! 車は使えないんじゃなかったんですか!」

「そのはずだ! もう1台あったのか!? 他にも仲間がいたのか!」

「あの帽子の奴の異能力かもしれねえ! あいつだけ謎だ!」

「どうすんの? もっかい戦う?」

「いや、本はもう2冊ともこっちが持ってんだ! 相手をする必要はねえ! アプリコット嬢、あんたの力を貸してくれ! 車はここに置いていく!」

「わかった。ミミミ、私の荷物から人数分の傘を取れ。すぐに車を降りるぞ」

 四人はそれぞれ傘を手に持ち道路に降り立った。ミミミはめったに出来ない体験にテンションが上がっている。

「うっひょ~! 首都高歩くってなかなか出来ないよね!」

「言ってる場合か!」

「しかしタイミングがよすぎるな……まさかこの事故、奴等……いや、そのバックにいる歴史書解放戦線とやらが仕組んだのか?」

「ずいぶんと手の込んだ事を……」

「それでどうすんのゴリ子?」

「ゴリ子って言うな……全員車の上に乗れ。風見、引き上げてくれないか」

「オーケー」

 言われて風見がひとり先に車体に上り、他の三人の手助けをして全員をルーフに乗せた。

「く、車の上に乗ってどうするんですか……! 逃げるんじゃ……」

「ああ、逃げるんだよ、ここからな」

 アプリコットは顎で首都高速の壁……つまり外側を指す。

「……は?」

「このまま国道に飛び降りる」

「……え、ええええええええっ!」

 この下には国道が通っている。ルーフから思い切りジャンプすれば壁に届きそうではあった。そうして壁を飛び越えて首都高を脱出する、というのがアプリコットの言う作戦なのであった。

「ん、んな無茶な!」

「無茶じゃない。私が傘の心を操作する。壁に多少は届かなくても少しくらいなら上へやれる。そこからすぐに傘を開けば風に乗せて地上まで降ろしてやる」

「そ、そうは言っても心の準備が……!」

「4番、指名打者私! いきまーす!」

「お、おいミミミ!」

「いいいいいいやっほ~~~~~~~!」

 説明を聞いたミミミが躊躇無く飛び降りていった。マ、マジで? 肝の据わった女だ……。

「こんな都会の真ん中でダイビングとはな! 先に行くぜ!」

「えええっ!?」

 風見も後に続いた。何でだ、何でそんな簡単に飛び降りられるんだ……。

「早く行け。それともお前ひとりここに残るか?」

「うっ……」

 シドはごくりと唾を飲み込む。後ろには迫り来るブックハンター達。覚悟を決めるしかない。

「こ……こんなハント……やっぱり来るんじゃなかったああああああああ!」

 意を決して空中へと身を投げた。

すいません、何かごちゃごちゃしてて字数の関係もあり途中で切りました。申し訳無い。

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