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第21話【謁見】


 アレンの正装への着替えに一悶着あった後、アレンはレイラ達を連れて謁見の間に通された。


 奥にはこの国の国王、ラディウス・フォン・エスペランザが玉座に座り、待ち構える。


 緊張するアレンではあったが、セルカに習った王族相手への礼儀作法を実践して、頭を下げる。


「お初にお目に掛かります。 月の勇者、及び雷の勇者が子、アレン・リュミエールと申します。 本日は陛下に招待頂き、光栄に存じます」


 アレンの所作にラディウスは目を見開く。 アレンは内心何か間違えたのかと青褪める。


「驚いた……本当にレイラとディアスの息子か? とても礼儀正しくて驚愕してしまった。 セルカ様の教えか?」


「いや、私が教えたのは王族に対する礼儀作法のみ、元々この子は礼儀作法のみならず、大人顔負けの冷静さを持っていた。」


 セルカの言葉にアレンは内心嬉しくなり、頬を赤くする。


「私の子だもの。 当然よ」


「レイラ、お前はもう少し礼儀作法を使え、ラディウスとはいえ、今は国王として接しないとだぞ?」


 国王相手にいつも通りの喋り方のレイラとディアスにアレンは青褪める。 そして2人はセルカに拳骨を入れられた。


「この馬鹿者ども。 少しはアレンを見習え。 すまなかったな国王陛下よ。 大賢者として、教育不足であった。」


 ハイエルフであるセルカは王族と同等の地位に位置する為敬語ではないが、アレンはその事を学んでいたこともあり、驚かなかった。


「アレンよ。 楽にしてよい。 顔を上げてよく見せてくれ」


 ラディウスは人払いをして、誰もいなくなった事を確認すると玉座から立ち上がり、アレンに歩み寄る。


 アレンはドキドキしながら顔を上げると、先程までの王の威厳はなく、嬉しそうにニコニコしたラディウスがそこにはいた。


「会えて嬉しいよ。 いきなり呼んでごめんね? 驚いたろ?」


「あ、あの……?」


 先程までとの違いにアレンは困惑する。


「戸惑ってるよね? 俺は元々こんな性格なんだけど、さっきは家臣達がいたから王として振る舞わないといけなかったんだ。 俺個人としては君のお母さんとお父さんの友達って感じなんだよ」


 ラディウスから差し出された手に困惑して、アレンはどう答えていいのか分からずセルカを見る。


「アレン、公の場では先程の礼儀でいいが、今みたいな私的な場ではいつも通り話してもいいぞ?」


 セルカの言葉に安心したのか、ラディウスの手を握り返す。


「僕も陛下に会えて嬉しいです」


 やっと年相応の姿を見たラディウスは安心したように微笑む。


「それが新種の魔眼だね? 感情で浮き出る所を見ると開眼したばかりなのかな?」


 その言葉にアレンはビクッと肩を震わせるがラディウスは微笑む。


「心配しないでくれ。 君が魔眼を持つ事はお父さんの血を継いでいる以上、可能性があると家臣達にも伝えてある。 それに魔眼持ちだからと迫害するのは俺の意思に反する」


「陛下の意思?」


 ラディウスはアレンの頭を撫でながら語る。


「俺はね? 聖魔大戦で戦った魔人族とも友好を結びたいんだ。」


 その言葉にアレンは目を見開く。 それは自分がエリスとフレディに言い放った言葉と同じだったからだ。

 

「まだ言ってるのラディウス? 魔人族がそれを受け入れるとは――」


「僕もそう思います!!」


 レイラの言葉を遮るようにアレンは目を輝かせて答えた。


 その様子に4人は固まる。


「あ、えっと……僕も喧嘩しちゃった魔人族の人達とみんなが仲良くなれたらなって……」


 レイラ、ディアス、セルカは聖魔大戦で戦い、魔人族と殺し合いをしてきた。


 その事について、アレンは何も言わなかった。否、言えなかった。


 だがラディウスの言葉に感情を抑えられなかったアレンは暗い顔をして俯く。


 そんなアレンをラディウスは嬉しそうに抱きしめた。


「ありがとう。 俺の意思を認めてくれて。 君は優しく、とても素晴らしい。 俺も魔人族と仲直りが出来るように頑張るよ」


 ラディウスもアレンの言葉に驚いていた。 しかしレイラ達とは違う意味でだ。


 長い事、この意思を話しても鼻で笑われるか、そんな事は無理だと言われてきた。


 それでもどうにか考え、悩んできた。


 だがアレンだけはそんな自分の意思を認めて、賛同した。


 魔王レオンと勇者エリスの子、聖魔大戦で争い合った者達の間に産まれたアレンにだ。


 ラディウスはアレンという同志を得て、この上なく嬉しかったのだ。


「アレン、君と友達になりたい。 俺の友として、コレからも話し相手になってくれるか?」


「は、はい!」


 ラディウスとアレンは笑顔で握手を交わした。


 その様子をレイラ達は見ている事しか出来なかったのだった。

 

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