第19話【アレンの魔眼】
アレンが目を覚ますと知らない天井があった。
「ここは……?」
辺りを見回すとセルカがアレンを抱き締めて寝ていた。
「……おばあちゃん?」
アレンの言葉にセルカは目を覚まし、飛び起きる。
「アレン!? 身体はどうだ!? 痛かったりしないか!?」
「うん。 凄く身体が軽いよ?」
アレンが回復したと知って安堵するセルカ。 そしてアレンの左眼の紋様に気が付く。
「魔眼が定まったみたいだな?」
「そうみたい。 何か夢を見てた気もするけど、覚えてないんだ……」
「どんな夢だった?」
「えっと……確か8つの扉の前で誰かに会ったと思うんだけど……」
「8つ……」
セルカの不安は膨らむ。 リリアの話では基本の魔眼は7つ。 8つという事は魔王の魔眼の可能性が高い。
「あら? もう熱は引いたみたいですね?」
「……誰?」
「ああ、この孤児院を見ているリリアと言う。 昔人族の街で町医者をしてた魔人族だ」
リリスを紹介するとリベは頭を下げる。
「ご迷惑をおかけして、すみませんでした」
リリアはアレンの歳に似合わない礼節に驚く。
「とてもしっかりした子ですね? 普通はこんなふうに頭を下げたりしませんよ? セルカ様の教育ですか?」
「いや、アレンは歳のわりに聡く、礼節もしっかりしていた。 時々この子が大人なのではと思う事があるよ」
アレンの頭を撫でるセルカを見てリリスは微笑む。
「じゃあアレン君? 目を見せてくれる? 今回の件でアレン君の魔眼が定まったか確認するから」
「はい。 分かりました」
リリアはアレンの顔の前に移動し、アレンは左眼をリリアに見せる。
その瞬間、リリアは怯えたように平伏した。
「え!? どうしたの!?」
「リリア!? 一体どうした!?」
「は、破滅の魔眼……」
リリアは恐怖で震えていた。 その様子にアレンは困惑し、セルカは青褪める。
「リリア、破滅の魔眼とはなんだ?」
「は、破滅の魔眼は、魔王様候補の証です。 破滅の魔眼を持つ者だけが魔剣に選ばれるのです」
「あ、あの…リリアさん?」
アレンが声を掛けるとリリアは身体を震わせて頭を床に擦り付ける。
「申し訳ございませんアレン様! 魔王様候補とはつゆ知らず、無礼な態度を取りました!」
セルカはこれ以上は不味いと判断し、リリアの口を封じるかと悩むが、アレンはそんな事気にせずにリリアの頭を撫でる。
「怖くないよリリスさん。 大丈夫だからね?」
リリアを優しく落ち着かせるアレンにセルカは呆気に取られた。
アレンの優しさにリリアも恐怖が消えて頭を上げる。
「リリアさん、怖がらなくていいよ? それにこれはたぶん違う魔眼だと思う」
「え? そ、そんなはずは……」
「ほら、ちゃんと見てみて?」
アレンの言葉に従い、アレンの魔眼をよく見るリリアは違いに気が付いた。
「これ…似てるけど違いますね……破滅の魔眼の特徴もありますけど、他の魔眼の特徴もあります。 こんな魔眼、見たことない……」
「それは新種の魔眼と言う事か?」
「わ、私にも分かりません。 こんな魔眼は見た事がないんです」
「ね? 違うでしょ?」
アレンは微笑んでリリアを落ち着かせる。 だが先程からのアレンの発言に疑問を持つセルカ。
「アレン、なんで自分の魔眼が破滅の魔眼じゃないと思った?」
「だって、左眼からお母さんに似た魔力を感じるもん」
「!?」
レイラに似た魔力、それはエリスの魔力だと確信したセルカは驚き、微笑む。
(お前は死してもアレンを守っているのだな?エリスよ)
セルカは優しくアレンを抱き締めて言う。
「きっとレイラの力が影響したのだろう。 ディアスもハーフだしな」
「ええっ!? 雷と月の勇者様のお子様!?」
リリアは別の意味で驚愕して気絶する。
その様子をアレンとセルカはポカンと見ていた。 そして慌て出す。
「おばあちゃん話してなかったの!?」
「しまった! アレンの容体に気を取られすぎて私の孫としか話してなかった!!」
「何してるのおばあちゃん!!」
アレンとセルカは気絶したリリアをベッドに寝かせるのだった。
そしてアレンは知らない。 セルカも忘れている。
アレンが孤児院で一週間も寝込んでいた事を……
そして……
「アレンとセレンは何処なのぉぉぉぉ!?」
王都では半狂乱になった月の勇者と雷の勇者が子供達を探して王都内を爆走して捜索してる事も知らなかったのである。
その後帰宅してきたアレンとセルカはレイラとディアスにこっぴどく怒られるのであった。




