惑星タウリ⑭
高柳:「ねえ、何でこんなにすんなり借りれたの?」
時雄:「マインドコントロールのおかげだ」
高柳:「え?どういうこと?」
時雄:「相手の思考を操ることができる能力だ」
高柳:「それってすごい便利じゃないの?」
時雄:「いや、正直微妙だ。こんなことで使うとは思わなかったがな。それより、これからどこへ行くか考えないと‥」
天川:「それは簡単よ。敵の拠点はあの廃工場でしょ?」
時雄:「ああ、そうだな」
天川:「なら、あそこを目指せばいいだけよね」
時雄:「おう、その通りだ」
高柳:「あっ!」
時雄:「なんだよ、突然」
高柳:「あんたって酷い事するわね!」きっとした目で時雄を睨んだ。
時雄:「なんだよ!一体‥」
高柳:「私の思考を操ってあなたの事を好きになるように仕向けたでしょ。いくら私が欲しいからってこんな使い方って酷いじゃない!」
天川:「きゃー!もしかして私の事も狙ってるんじゃ…」
と震えている。
時雄はため息をつく。
時雄:「あのね‥俺がそんなことするわけ無いだろ‥。逆に何度お前から俺に関しての情報を消去しようと思ったのに。」
天川:「それって……」
時雄:「そうだ、俺はお前から離れたいの!ただそうするとお前の宇宙への夢もかなわなくなるから一緒に居てやってるだけ」
高柳:「なっ!私の方が先輩でしょ。そんな口の聞き方って、許せないわ!」
時雄:「俺はお前に好かれてるなんて一ミリも思ってないからな。何で好意を持たれているなんて勘違いしてるんだ?頭沸いてるんじゃないのか?」
高柳:「ひどい……私の事嫌いなの?」涙目になってきた。
天川:「いくら何でもその言い方は酷いと思います」
時雄:「‥ごめんなさい。言いすぎました。高柳さんが美人だったので一緒にいたいというスケベ心もありました。でも記憶は操作してません。断じて!」
と謝罪する。
高柳:「もう許さない!絶対に責任とってもらうわよ!」
時雄:「あの‥一体何を‥」
高柳:「もう一生離れないからね!覚悟しなさい!」と抱きついてきた。
時雄:「くっつくのはやめてくださいね!」
と言って引き剥がした。
高柳:「照れないの!」
時雄:「照れてません!邪魔なの!」
高柳:「むぅー!まあいいわ!後で相手をしてもらうから。それと『高柳さん』てなに?『響子』て呼んでって言ったわよね」
時雄:「解りました‥」
高柳:「敬語も無しね。これ命令だから」
時雄:「はいはい」
高柳:「よしっ!」
時雄:「‥」
天川:「ねぇ、私も『美冬』でいいよ」
と微笑みかけられる。
時雄:「あんたアカリって名前じゃなかった?」
と質問すると
天川:「はよく覚えてたわね。その名前。あれは偽名よ。もう今更偽名」も意味ないし
時雄:「えっ‥」
高柳:「私だって最初会った時は偽名だったわよ」
と呆れられてしまう。
時雄:「いや、そんなはずは‥」
高柳:「確かに、そうよね。あんたの前で本名使ってなかったわ。でも、あんたと出会ったのは初めてじゃないわよ。でも『美冬』呼びは却下!」と言われた。
天川:「『美冬』がいいです!」
高柳:「何言ってんの!あんたは恋人でも何でもないでしょ!」
時雄:「いや、あんたもでしょーが‥」
高柳:「私は違うわ!」
時雄:「どこが違うのよ?俺は認めた覚えはありませんけど‥」
高柳:「だって!私は‥」
と赤くなっている。
時雄:「ふーん。まあ、どうでもいいけどさぁ」
天川:「私は美冬がいいです!」
と懇願されてしまった。
時雄:「いや、だから‥」
高柳:「もう面倒だから好きに呼んでもらって構わないわよ」
時雄:「勝手に決めるなよ!」
高柳:「何?私の命令が聞けないの?」
時雄:「‥はい」
高柳:「じゃあ決まりね!」
と言いくるめられてしまった。
美冬は満足そうな顔をしている。
時雄:「(面倒くさい奴らだ)」
高柳:「それじゃあ、行きましょう!」
時雄:「ああ‥」
と言いながらエンジンをかけアクセルを踏んだ。
高柳:「ねぇ、時雄、一つ聞いてもいいかな?」
時雄:「なんだ?(呼び捨てか…もうどうでもいいか)」
高柳:「さっきの戦闘でさぁ、あの銃を使う必要はあったのかなぁって思ってさぁ‥」
時雄:「あぁ‥あれな。確かに必要は無かったかもしれないが、相手に牽制するには丁度良かったんだ。それに‥」
高柳:「それに?」
時雄:「響子さんだって楽しんでただろ?」
高柳:「まあ、それは‥そうだけど‥て、さんづけはやめてよ。呼び捨てにして!」
とぷんすかしながら抗議してきた。
時雄:「さすがにそれは‥、恋人同士に思われるのも嫌だし‥」
高柳:「なにそれ!私は本気で‥」
と言って俯いてしまった。
時雄:「うーん‥難しい問題だな‥」
高柳:「ごめんなさい‥無理なこと言っちゃって。でも、あなたのこと好きになっちゃったのは本当だから‥。その気持ちだけは受け取ってくれる?」
時雄:「…(つき離そうとしてんのに何この謎展開?)」
と困惑している。
時雄:「あの‥お言葉はありがたいんですけど‥」
高柳:「いいの!私は諦めないから!いつか絶対振り向いてもらうから!」
時雄:「いや、もういいですから‥」
と言っても聞き入れてくれない。
高柳:「ぜったい諦めないからね!」
時雄:「はあ‥」
天川:「あのうー、すいません。私はどうしたらいいんでしょうか?」と申し訳なさそうに聞いてきた。
時雄:「‥(俺に聞くなよ!)」
天川:「やっぱり私も呼ぶべきですか?」
時雄:「あんたも?いや、別に美冬さんは今まで通りで構いませんよ」
高柳:「ちょっと、どういう事?」
と怒ってくる。
時雄:「いや‥だから、今まで通りで構いませんって言ってるでしょ。ていうか響子さんも呼び捨てはやめましょう。」
高柳:「呼び捨てもダメ?なんで?」
とムキになって質問してくる。
時雄:「ダメって言うか‥恥ずかしいでしょ‥」
高柳:「私は時雄って呼び捨てにしますからね!」
時雄:「解りましたから‥。まあ、俺にとってはどっちでもいいです」
高柳:「時雄、さっき私を美人だから一緒にいたいと言ったわよね」
時雄:「ああ、まあね」
高柳:「あれは嘘?」
と潤んだ瞳で聞いてくる。
時雄:「いや、そんなことないですよ」
高柳:「じゃあ、私のこと好き?」
時雄:「まあ、嫌いではないです」
高柳:「どっち?」
時雄:「ただ容姿が好みってだけです。LOVEではなくLIKEということですね。」
高柳:「そんなぁ‥」
とショックを受けているようだ。
時雄:「‥」
高柳:「せっかく両想いになったと思ったのに‥」
時雄:「悪いけど、俺は響子さんの事恋愛対象としては見てないんで‥」
高柳:「ひどい!何でよ!?こんなかわいい女の子が好きだって言ってるのに」
と怒っている。
時雄:「いや、かわいいとは思いますよ?好みだし。ただ、そういう感情が無いだけで‥」
高柳:「私だけが一方的に好きなんて悔しいじゃない。だから、私がどれだけあなたを愛してるのか知ってもらいたいの。そして、必ず振り向かせてみせるから待ってて。絶対離れないわ!」
時雄:「いや、もう勝手にしてください」
高柳:「約束よ?裏切ったら許さないから!」
と言ってきたので
時雄:「ハイハイ、解りました‥」と適当に返事をした。
天川:「あのぉ~、私ってどうなるんですか?」
時雄:「あぁ、君はいつも通り接してくれればいいですよ」と答えると
高柳:「なっ!」
時雄:「どうしました?(あ、ダメだったかな‥)」
高柳:「私がいるのに浮気するつもり!?」
時雄:「いや、浮気も何も付き合ってませんけど‥」
高柳:「絶対にダメ!他の女としゃべらないで!」
と言ってきた。
時雄:「あの、俺にもプライベートはあるし自由を奪わないでくれませんか?」
高柳:「それは‥そうだよね‥ごめんなさい‥」
時雄:「だから、もう好きなように呼んでください。俺は気にしないし。ただあまり馴れ馴れしくされるのも苦手なんで」
高柳:「わかったわ。これからもよろしくね!」
と笑顔を向けてきた。
美冬は楽しそうにしている。
そして何とかアジトについた。
高柳:「でっかいビルだねぇ。まるで城みたいじゃない?」
と感嘆している。




