惑星タウリ⑫
それから三人で聞き込みを始めた。しかし、全く手掛かりはつかめず時間が過ぎていくだけだった。
高柳:「全然見つからないわね‥」と愚痴る。
時雄:「そもそも当てもなく見知らぬ土地で破壊工作って…しかもこんなちゃらんぽらんな無能二人って‥舐めてんの?」
高柳:「ちょっと!無能呼ばわりはないんじゃない?」
天川:「そうよ!失礼じゃないかしら!?」
時雄:「いや、だって事実だろう?」
高柳:「それは‥そうだけど‥」
時雄:「ほら見ろ!」
高柳:「だから、悪かったって言ってるじゃない‥」
時雄:「まあ、それはともかくもう日が暮れるから今日は宿に戻るぞ」と言い宿に戻った。
時雄はシャワーを浴びて出てきたら二人が机の上の書類と睨めっこしていた。
時雄:「何してんだ?」
高柳:「ん?ああ、これはタウリへの兵器移転に関する資料よ」と一枚紙を見せてくれる。
そこには『タウリへの武器移転禁止条約』について書かれている。主な内容は以下の通り。
・この国における最新鋭兵器の製造は一切禁止される。
・既存兵器の改良及び改修については制限がない。
・新規開発中の兵器については国外からの輸出入は認めるものの、国内で販売することは認められない。
・既に運用されている兵器については規制を緩和する方向で見直しを行う。
・違反行為を行った企業に対して罰則を与えるかどうかは議会に諮り決定することになる。などと細かく記載されている
時雄:「だから‥こんなのが何の役に立つと?それよりどっから持ってきたんだ?こんな物」
高柳:「んーとね、これを発行している組織の人に会ってきたのよ」と説明してくれる。
天川:「そうだよー!すごいだろー!」と自慢げに言う。
時雄:「……」
高柳:「まぁ、一応話は聞いたんだけどね‥」と資料を読む。
高柳:「あーなるほどねぇ‥。これなら大体の位置は特定できるかもしれないわ」と分析していく。
そして結論が出たようだ。
高柳:「うん、多分あそこの建物だと思うわ」と指さした先には大きな塔のようなものがあった。
時雄:「いやいや、普通秘密兵器は秘密の場所に置くもんでしょ…訓練生とはいえあんた達本当にエリート部隊なの?」
と疑問に思う。
高柳:「まあいいじゃないの!とりあえず行ってみましょうよ!」と楽観的である。
時雄:「まあ‥そうだな‥。行くか」と覚悟を決める。
そして三人は例の建造物に向かうこととなった。
到着したのは立派なビルだった。
高柳:「うわーすっごい大きいねー!」とテンションが高い。天川:「本当ですね‥」と感心している。
時雄:「‥」
高柳:「さあ、入りましょう」とドアを開け中に入る。警備員らしき人が立っていたので声をかけてみる。
高柳:「すいません、中に入ってみたいんですけど」と尋ねると警備員は銃を向けて警報を鳴らし始めた。
時雄:「何考えてんだお前は‥逃げるぞ!」
と言って二人を強引に引っ張って逃走を図る。
後ろからは怒号と共に追跡者が迫ってくる気配を感じた。必死に逃げた先には地下鉄の入り口がありそのまま階段を駆け下りる。後ろからも何人か追いかけてきているようだったが何とか撒くことができたようだ。
時雄:「‥‥はぁ‥はぁ‥なんとか撒けたみたいだな‥」と息を切らせながら言う。
高柳:「もう、びっくりしたわよ!急に走り出すんだもの!」と不満げだ。天川:「そうよ!危ないじゃない!」と怒っている。
時雄:「それはこっちのセリフだ!なんでそんな考えなしに行動できるんだよ!」と言い返す。
高柳:「だって、もしかしたら侵入できるかもしれないじゃない?それに緊急事態なんだからしょうがないじゃない」と反論してきた。
時雄:「正面玄関から堂々と入れてくださいって馬鹿なの?」と言うと、二人ともハッとした表情になる。
そして顔を真っ赤にした。
どうやら自分が間違っていたことに気づいたらしい。
高柳:「ごめんなさい‥私が間違っていました‥」と謝ってきたので、とりあえず許すことにした。
天川:「あっ!わかったわ!謎が解けたわ」と言って歩き出す。
時雄:「あーはいはい、兵器の場所でも解ったの?」
天川:「そういうことじゃなくてー。時雄さんが一緒だったらという条件でこの星に来てもいいと許可が出たことよ!」
と自信満々に話す。
時雄:「なぜそこで俺が出てくんのよ」
天川:「それはーあなたが特殊能力者だからよ!だから、あなたがいれば安全という判断がなされたんじゃないかなって思うのよ」と推測を述べる。
高柳:「そういうことね‥。私たち馬鹿で無能だもんねー」と納得している様子だった。
天川:「そうそう、馬鹿で無能だもんねー」
高柳:「ねー」意外としつこい二人の発言に時雄はついにキレる。
時雄:「あんたら二人共本部に連絡して左遷してもらったほうがいいんじゃない?訓練生としてもあまりにレベル低すぎて他の連中がかわいそうだよ。俺もそんな無能二人と組むの御免被りたいし……」
時雄:「もういいや‥別行動するわ」と言って去ろうとすると慌てて追いかけてきた。
高柳:「ちょっと待って!置いていかないで!私たちを助けてよ!」と泣きつくように懇願してくる。
天川:「そうだよ!お願いだよー!」と半泣きになりながら訴えかけてくる。
時雄:「(うっ、何か、可愛い)」
と思ってしまうくらいキュートな表情であったので許してしまった。根がスケベなので仕方がない。
高柳:「もう‥時雄ってばほんと冷たいんだから!私、泣いちゃうんだからね!」と腕にしがみついてきた。
時雄:「あーもう、鬱陶しいな!‥わかったから離れてくださいよ、」
時雄「そういえば資料をくれた組織の人って誰よ!その人に会えば手っ取り早いじゃん。あまりに単純すぎて思いつかなかったけど」
高柳:「あーそれはねぇー‥」と言葉を濁す。
時雄:「なんだよ、はっきり言えよ」
高柳:「実は‥」と恐る恐る口を開く。
高柳:「えっと‥実はその人に会って話を聞いたんだけど‥それがまた凄くてさぁー‥」としどろもどろになっている。明らかにおかしい反応だ。
天川:「もしかして嘘を教えられたんじゃないかしら?」と心配そうに尋ねる。
高柳:「えっ!?まさか‥そんなことはないと思うけどなぁ‥」と困ったような表情を見せる。
時雄:「多分そうだな。いや、確実に騙されてるぞ」
高柳:「えっ!?そんな馬鹿なことないって!」
時雄:「いいや、間違いないな。で、会ったっていうその人の名前は何ていうの?」
高柳:「‥‥」
時雄:「知らないのか?」
高柳:「‥」
時雄:「もう諦めろ。無能は無能らしく振舞え」
高柳:「そんなあー‥」と落ち込んでしまう。
時雄:「とりあえずその人とも一度接触できないか?」
高柳:「うーん‥どうしようかな‥」
天川:「まあ、ダメで元々だから一回行ってみましょうよ」
高柳:「それもそうね!じゃあ行きましょう!」と言うので三人で向かうことにした。
そこは、なんと街の一角にある小さな建物だった。看板には『ギルド』と書いてある。
高柳:「へぇーここがそうなのね‥」と感心している。
時雄:「やっぱりこうなったか……」
天川:「とりあえず、中に入ってみよう!」と意気揚々と入っていく。
受付嬢:「いらっしゃいませ!どういったご用件でしょうか?」と聞かれるので説明する。
受付嬢:「はい、わかりました。少々お待ちください」と言われたのでしばらく待つことにした。
すると奥の方から、一人の男がやってきた。
男:「お待たせしました。私が代表のハワードです」と名乗り出た。
高柳:「はじめまして、私が依頼者の高柳です。こっちが部下の天川です」と紹介される。
男:「はい、よろしくお願いします。それで今回はどのようなご依頼でしょうか?」と丁寧に接してくれるようだ。
高柳:「あのー実はですね‥」と話し始めると、男は真剣な眼差しで聞いていた。そしてある程度話終わると、
男:「ふむ‥なるほど‥」と頷いている。




