惑星タウリ⑥
学校の授業中に高柳が突然の退学というニュースは瞬く間に学年中に広まった。当然だが騒然となり一時期は混乱状態が続いていたがしばらくして落ち着きを取り戻していった。ただ、時雄だけは平気な顔をして日々を送っていたのである。周りがどういう人物なのか気になっていたが直接聞いてくる者はいなかった。
だが高柳と話していた内容等も一切話さないのでいつの間にか孤立し始めてしまった。
しかし、そんなことは些細な事であり高校生活を満喫していた。
ただ自分のくだらない見栄のせいで高柳を退学させてしまった責任も感じていた。本来なら学校の生徒や周辺住民などから自分に関する情報をすべて消し去って去るつもりだったのだ。もちろん高柳も含めて。
ただ高柳に自分て色々できてカッコいいと思わせたい気持ちもあったため亜空間ゲートプロジェクトを紹介してしまったのだ。ただプロジェクト参加に必要な能力はあったのは救いだが。
しかし自分のせいなのに高柳がいなくなって寂しい。複雑な心境の時雄であった。
ある日の放課後。
上空に一機の戦闘機が現れた。その機体はヘリコプターのように垂直離着陸を行ってグラウンドのど真ん中に着陸した。どうやらホーカー・シドレー ハリアーらしい。
突然の戦闘機の着陸に学校中大騒ぎだ。特に男子には憧れの対象なのでみな興奮している。‥まあ、興味ない男子も一定数いたが。
パイロットが降りてきてヘルメットを取った。なんとその正体は高柳だ。今は訓練生として表向きはジャポン空軍所属のパイロットらしい。
そして時雄を見て手を振ってきた。
時雄:(まさか‥あれに乗ってくれと言いたいのかな‥)
男子生徒A:「なんだあの可愛い娘は!?」
男子生徒B:「おい、あの制服見ろよ。ジャポン空軍のパイロットだぜ!」
男子生徒C:「しかも美少女!カッコいいーー」
男子生徒D:「カッケーーー!」
そんな声が聞こえてくる。しかし、すぐに気づく生徒もいた。
男子生徒:「ちょっとまて、あれって高柳先輩じゃね?学校辞めたって聞いてたけどパイロットって‥?」
男子生徒E:「ええっ!?高柳先輩なの?」
男子生徒F:「いや、似てるだけだよな?」
そんな感じでざわめくが当の本人はニコニコしながら近づいてくる。そして時雄に近づいてきて話し掛けてきた。
高柳:「やっほー!久しぶりー。元気だった?」
時雄:「先輩、こんにちは。ご無沙汰しております。‥どうしてここに?()」
質問に答える前に女子生徒の群れが高柳を囲んだ。
女子生徒A:「あの……高柳先輩ですよね?」
高柳:「ええ。そうよ」
女子生徒B:「学校辞めたんじゃなかったんですか?」
高柳:「うん。やめたねー」
女子生徒B:「ちょっと状況が解らないんですけど‥え?空軍?パイロット?」
みんな興奮して現状がどうなっているのか興味津々だ。そして学校生活の高柳とはまた違った凛とした美しさで写真に収めてる学生もかなりいた。ちょっとしたアイドルだ。
女子生徒:「ね、ね、今、何してるんですか?」みんなが一番知りたがっている質問だ。
当然のことだが高柳は答えることはできない。ただ
高柳:「今はね、空軍のパイロットとして働いてるわよ」
その一言で周りはまた盛り上がった。
ただでさえ戦闘機なんて男子生徒の憧れであり男のロマンそのものだ。
それが目の前に実在しているし乗ってるのが絶世の美女であり、みんなが認める高柳様なのだ。これは大変なことになるぞ!
そして、次に男子が聞きたいであろう質問を投げかけたのは別の女子生徒だ。
女子生徒:「空軍ってどこまで行ったんですか?」
これは簡単には答えられない質問だ。高柳は困ったように笑ってから言った。
高柳:「どこまでいったかな?まだ訓練生だからそんなに国外にはまだ行ったことがないのよ」
この回答に一同が納得したようでほっとした表情になる。
高柳:「でも、これからどんどんいろんな国を飛び回る予定だから楽しみにしててね♪」
そして周りに聞こえるように大きな声で宣言した。
高柳:「皆、応援ありがとう!頑張るからね!」
そう言って手を振りながら戦闘機へと戻っていく高柳だった。
そして高柳が戦闘機で空へ飛び立っていく。時雄は取り残されてポツンと一人になってしまった。
時雄:(まあ、仕方がないか。しかし、あいつら騒ぎすぎじゃないのか?まあ、いいや‥あいつらは所詮他人だ)
そう思いながら教室に戻ろうとすると担任が呼び止めてきた。
担任:「おい、篠崎。ちょっと来い」
時雄:「え?はい」
連れていかれたのは校長室だ。そこには校長や教頭といった学校のトップメンバーが揃っていた。そして高柳が退学した時の話題になり、なぜ学校を辞める羽目になったのか?ということを聞かれた。
そこで時雄はありのままを話した。
時雄:「実は高柳さんが急に辞めることになったのは僕の責任なんです。僕が勝手に空軍に知り合いがいるといったらどうしても紹介してくれって言われて。そして紹介してやったら素質があるからパイロットにならないかって勧誘され二つ返事で‥まあそういう事ですね」
と校長に伝えた。もちろん嘘八百だが。
校長:「そっか。じゃあ君が責任持って彼女のフォローをしてくれるかな?」
時雄:「‥了解しました」
そして解散となった。
帰り道。
時雄:「今日は色々あったなぁ。先輩、すごい人気だったな。しかもすげー綺麗になって別人みたいだったな。何か前半と後半のガウ・〇・レッシィみたいな変わり方だったな‥」とぽつんと独り言。
ただ高柳が人気になると同時に時雄の評判も少しはましになった。というのも空軍パイロットになれたのは時雄がパイロット仲間に話をつけたおかげだろうという事になったのだ。
ただ先輩と仲良しなのに高柳にフラれてバカにされたりするが‥それはそれで羨望の眼差しを浴びるのでむしろ悪い気分ではない。
そんな事を考えて帰路についたのであった。
翌日の朝。
時雄:「ううぅ~ん」眠い目を擦りながら登校してきた。すると入口で早速男子生徒に囲まれてしまう。
男子生徒A:「よぉ!篠崎!」
時雄:「あっ、おはようございます」
男子生徒B:「昨日は凄かったよな!」
時雄:「はい?」
男子生徒C:「高柳先輩が戦闘機で登場しただろ!」
時雄:「あー、そう言えばいましたねー」
男子生徒A:「そうだ!高柳先輩から聞いたんだけど篠崎はハリアーに乗せるぐらいに信頼されているんだってな!」
時雄:「えぇ?そんなことないですけど‥(というより今の俺の苗字て篠崎って設定なのか‥)」
男子生徒F:「しかし、マジで綺麗だったなー。あれで彼氏いないとか嘘だろ?」
男子生徒G:「いや、聞いた話によるといるらしいぜ」
男子生徒H:「マジかよ‥」
男子生徒I:「誰だと思う?」
男子生徒J:「‥篠崎か?」
そして全員の視線が時雄に集まる。
時雄:「いや、違うって!確かに話はするけどそれだけだし」
男子生徒K:「怪しいな‥」
男子生徒L:「でも、高柳先輩は否定してたぞ?」
男子生徒M:「てかさ。篠崎の家に行ってたけど何かしてたの?」
時雄:「いや来てないけど。あれだけ騒がれればこれんでしょ。ん?なんで先輩が俺の部屋くる話に何の?家なんて教えてないけど」
男子生徒N:「……あ」
男子生徒O:「それは‥」
時雄:「ん?どうしたんだよ?」
男子生徒P:「いや、なんでもない。ごめんなさい」
時雄:「は?お前ら妙に口数少ないぞ‥」
男子生徒Q:「‥あのさ。ちょっと提案があるんだけど」
男子生徒R:「そうだな。実はさ‥」
時雄:「なに?」
そして数名の男子生徒たちは時雄を取り囲んだまま静かに語りかける。
男子生徒S:「高柳先輩て綺麗だよな?」
男子生徒T:「ああ、とてもキレイだしスタイルいいしな!しかも性格も良いし頭もいいし完璧だよ!」
時雄:「はぁ‥」
男子生徒U:「そうだよな?いい女だよなぁ」
時雄:「だから何なんだよ?」
男子生徒V:「そんな美しいお姉さまがお前みたいな童貞の相手なんかしてくれるわけないだろ?」
男子生徒W:「その通りだよな?」
時雄:「え?いや、そんな事はどうでもよくて‥」
男子生徒X:「だからさ!俺たちに協力してくれないか?」
時雄:「いや、意味わからんし‥」
男子生徒Y:「だからさぁ!お前の力を使って俺たちを高柳先輩と結びつけてくれって言ってるんだよ!」
時雄:「いや、無茶苦茶なこと言うな‥」
男子生徒Z:「頼むよ!一生のお願い!」
男子生徒AA:「俺たちにはお前しか頼れる奴いないんだ!な?」
そして男たちの熱い思いが伝わってくる。
時雄:「ええと‥まあ、別にいいですけど‥(というよりなんで俺がお膳立てしないといけないんだろうか?)」
男たちは喜びの声を上げる。
男子生徒AB:「ありがとう!恩に着るよ!」
時雄:「まあ、うまくいくかわかんないけどね‥」
男子生徒AC:「大丈夫だって!必ず成功させるからさ!」
時雄:「‥そうか。まあ期待しないでおくよ」
男子生徒AD:「いや!期待しててくれ!必ず幸せにするから!」
時雄:「はぁ‥」
男子生徒AE:「任せとけって!」
時雄:「ああ。でもまあ、ほどほどにね()」
そして時雄は男子たちと別れた。




