惑星タウリ③
そしてその後も様々なことを学び勉強しながら充実した時間を過ごすのであった。
そして、帰国し、部室で三人でというより真田と亮太が打ち上げについて熱く語っていたのを時雄はぽけーっと聞いていただけなのだが。
そしてその後、学校イベントがやってきた。糞面白くもない学芸会で催す劇の配役を決めるとのこと。冒険もので魔王に攫われたお姫様を助け出すというストーリーらしい。
お姫様役は多数決でクラスで一番かわいい子に決まったがそれ以外の配役について盛り上がってる。しかも全員参加っていうのが面倒くさい。早い者勝ちなのでみんなが主役や準主役に立候補してるのをみて時雄は手を挙げて立候補した。
時雄:「俺、○○に出てくる風役でお願いします。」ヒューヒューと言いながら端から端まで走っていくだけの役。
セリフもそれだけだしすごく楽そうだし何よりやりたがる人がいないのがいい。
教師:「おまえ、本当にそれでいいのか?」
時雄:「いや、風役楽しいだろう」
教師:「いやいや、出番がほんの一瞬だぞ!全員参加が目的のためだけに作られた役だぞ!親御さんたちも見に来るのに。ふつう恥ずかしがってやらんもんだぞ!」
時雄:「ええ。みんな嫌がる役だから他の人のためにも自分が惨めな役をやろうと‥」
周りの女子生徒からは「お似合いよねー」「ブサメンだもんね」という声がささやかれていた。
というわけで満場一致で簡単に決まった。これで練習には参加しないで済むと安堵していた。
が、突然部室のドアが開き高柳が物凄い形相で入ってきて仁王立ち…。一体何事?と考える間もなく、高柳は叫ぶ。
高柳:「アンタ!なんで私も誘わなかったのよ!?」
時雄:「はい?ちょっと意味が解んないんだけど‥」
高柳:「だから、宇宙旅行!一緒に行きたかったのに!なんで黙って行ったの!?」
時雄:「宇宙旅行って‥ただ単に宇宙センターに見学に行ったってことだよね?」
高柳:「そうよ!なんで一般人のあなたがあんな敷地内で見学できるのよ。コネがあるってことでしょ。私が物凄くそういう事に興味があることは知ってるでしょ!」
時雄:「ああ、そうなんだね。ごめん。知らなかったな」
真田:「ええっ!高柳さんも誘った方が良かったんじゃないか?俺達だって行ったんだからさ」
亮太:「そうですね。高柳さんは俺達より詳しいですし」
時雄:「じゃあ、次回は誘うようにするよ」
高柳:「当たり前でしょ!まったくもう。それと‥」
時雄:「それと?」
高柳:「あ、あのね。私も部活に入りたいんだけどいいかな?」
時雄:「え?いや、それは無理」
高柳:「なんでよ!?」
時雄:「だって部員不足で潰れるかもだから」
高柳:「潰れないでしょ。一人の時もあったって聞いたわよ!それになによ、天文台で電波望遠鏡って‥私の事馬鹿にしてる訳?」
時雄:「そういう訳じゃないんだけどさ‥」
高柳:「じゃあ、なんで私を入れてくれないの?」
時雄:「だから、人数的に無理なだけでしょ」
高柳:「そんなの関係ないでしょ!とにかく入れなさい!」
時雄:「わかった。わかったから落ち着け」
真田:「わかったのか?」
亮太:「了解です」
高柳:「んもぅ、初めからそう言えばいいのに‥」
真田:「ところで、なんで高柳さんも入部するの?天文部に入ってるはずじゃ‥」高柳に睨まれる。
高柳:「天文台で電波望遠鏡、ロケットの打ち上げ見学。卑怯すぎるわよ」
真田:「高柳さんならいつでもできそうなものだけど」
高柳:「あなたたちが行くところには行けないから言ったんじゃない!」
時雄:「とにかく高柳先輩も入部ということで‥」
そして四人での活動が始まった。
一方の高柳はというと、熱心に宇宙関係のイベントに行きたがったので他二人も同意。時雄だけが面倒くさいと思ってもしぶしぶ三人について行く事になった。
宇宙飛行士による講演会だ。人気殺到で普通はチケットなど取れないが簡単に取れてしまうため高柳は大はしゃぎ。
時雄:(へえー。いつもはすまし顔ばかりしか見たことがなかったけどこんな顔もできるんだ)とちょっと満足。そして、講演が終わり高柳は三人と別れた。
そして数日後、時雄は高柳先輩に呼び出された。
時雄:「何?用件は?」
高柳:「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」
時雄:「内容によるけど」
高柳:「アンタって、宇宙飛行士の知り合いとかいるの?」
時雄:「え?俺はいませんけど」
高柳:「嘘よ!だって前にアポロ計画の写真を持ってきてたじゃない!」
時雄:「あーあれね‥あれはたまたまうちにあったものを写真撮っただけですよ」
高柳:「じゃあ、なんでそんな物持ってたのよ?」
時雄:「祖父が趣味で集めてただけです」
高柳:「本当に?絶対に誰か紹介してくれる人がいると思うんだけど‥」
時雄:「さあ。いないと思いますけど」
高柳:「じゃあ、もしそういう人がいたら教えてね!」
時雄:「はあ、わかりました」
高柳は満足そうな表情で去って行った。
それからというもの高柳はあまり部活には来なくなった。理由は本格的に宇宙飛行士になるために基礎体力作りと勉強にと大忙しだ。
なので放課後は静かになったのだが休み時間になるとちょくちょく来るようになった。昼休みなんて毎日のように遊びに来る。しかもわざわざお弁当まで作って持ってきてくれる気の利きようだ。
確かに家庭的とは思うが時雄としては面倒くさいのだ。
しかし無下に追い返すことも出来ないので相手をしている。高柳にとって全力の知識をぶつけても会話が成立する人物は初めてだったのだ。なので…本当に煩いが悲しいかな、美人の前では格好をつけたいというくだらん煩悩のせいでまじめに相手をしてしまっている自分が情けない。周りの男性の嫉妬の目も凄いし…
という日々。
時雄:「しかし、先輩って料理も上手いんですね。とっても美味しいし」
高柳:「当然でしょ!これくらい出来て当たり前よ」
時雄:「えーっと、そうですか」
高柳:「それより、この間のテストの結果は見た?」
時雄:「え?テストってなんのことです?」
高柳:「は?数学Bの試験の返却が今日あったじゃない」
時雄:「あー、はいはい。ありましたね」
高柳:「ちなみに何点だったの?私は満点よ」
時雄:「凄いなあ。俺はえーと‥確か35点でしたかね。ギリギリ赤点は免れたっていうか」
高柳:「へぇ~意外。結構できる方だと思っていたわ」
時雄:「いやいや、平均点すらとったことがないですから」
高柳:「ふぅ~ん。じゃあ、今回も赤点回避狙ったわけか」
時雄:「いや、そんなつもりは‥」
高柳:「だって変でしょ!誰も勉強してない量子力学が私以上に詳しいのにそれに‥。比べればあんな問題」
時雄:「……」
高柳:「やっぱり何か隠してるわね」
時雄:「いや、隠してはいないですが‥」
高柳:「教えなさい。ワザとなんでしょ!」
時雄:「いやいや、本当ですって!」
高柳:「嘘つきね。まあいいわ。だったら今日から私と一緒に勉強ね。私の勉強ついでに見てあげるわよ」
時雄:「ええー。勘弁してください。数学は得意じゃないですし。先輩のお荷物に‥」
高柳:「そんなに嫌なら私が教える」
時雄:「は?無理に決まってるじゃないですか」
高柳:「やる前から諦めたらダメよ。それにアンタに拒否権はないからね。私に任せておけば万事解決よ」
時雄:「……はい」
そうして放課後の勉強会が始まった。数学以外の教科も一緒にだ。もう本当に面倒くさい。正直答えが見えてるのにそれをごまかすのは結構大変。
所々でボロが出始めた。
時雄は頭が悪いという設定にしていたのだが、いざ問題を解こうとすると余計なことを考え始めてしまい時間がかかる上に正解率が低い。
例えば因数分解であれ、分数式であれフラッシュ暗算であれ計算しなくても答えが瞬時にわかるのでおかしくなるのだ。歴史でも理科でも同じこと問題を見ただけで答えが解る。こりゃまいったね。
ということでちょっと小細工をする事にした。
それは答えが解らないふりをして適当に書くというものだ。これならバレる心配もないだろう。しかし高柳はこれを見逃さなかった。
なぜならいつもならすぐに答えが出ているところを今回は時間をかけて考え込んでいるように見えたからだ。
時雄:「うーん、わからん」
高柳:「どこがわからないの?」
時雄:「全部です。さっぱり」
高柳:「あっそう!そういう事。じゃあこういうのはどう?今度は間違えるたびにキスするからね」
時雄:「えー‥先輩、それはちょっと‥」
高柳:「いいのよ!気にしないで」
時雄:「はあ‥(マズい。勘づかれたか?)」
高柳:「ほら、早く解いてちょうだい」
時雄:「はい」




