惑星タウリ②
時雄:「まあ、真田君は知らないだろうけど、天文部は高柳先輩を巡る争いが凄くてな‥普通の天文好きじゃついていけないほどに過激な連中が多いんだよ。それに比べればここは平和だと思うぞ」
真田:「そっか‥そういうことか」
時雄:「それならなおさらここを選ぶ必要性がないと思うが……」
真田:「いや、確かにそうなんだけどさ。なんかここの同好会がいいと思ったんだよね。なんか直感みたいなもので」
時雄:「よくわからないな‥(まあ、考えすぎか)」
真田:「なあ、ちょっとお願いがあるんだけどいいか?」
時雄:「何?」
真田:「高柳先輩を紹介してくれないか?」
時雄:「はぁ?お前さ、さっき説明したでしょ。はっきり言うけど俺は高柳は嫌いなの。話したこともないし。それにあんたと違ってイケメンじゃないから女性自体免疫がないの!おわかり?」
真田:「いや、そこまではっきり言うことないだろ‥」
時雄:「とにかく却下だ。どうしてもって言うなら自分から行けばいいだろ。俺が関わることは無いし、むしろその方が都合がいいんだよ」
真田:「そうだよな‥」
時雄:「まあ、そう落ち込むなって。そのうちいい出会いがあるさ、イケメンなんだから俺と違っていくらでも」
真田:「励ましてくれるのはありがたいけど、いまいちピンと来ないんだよなぁ‥」
時雄:「まあ、これからゆっくり考えればいいさ。焦ることないしな。あ、そうだ。真田君って趣味はあるのかい?」
真田:「俺の趣味はゲームとアニメ鑑賞ぐらいかな?」
時雄:「奇遇だね。俺も同じだよ!じゃあさ、今度一緒に遊びにいかないか?いい店知ってるからさ」
真田:「うん、ぜひ連れていってくれよ!」
時雄:「任せてくれ!」
こうして二人は友達になり時々天文台にも遊びに行ったりした。
その噂を聞きつけもう一人少年が入部してきた。かなりの天文好きで天文台で観測できるというのが羨ましかったようだ。この少年もイケメンだった。まあ、自分に女性の友人(かぐやと羅夢)がいるということはお構いなしに。そういえば僕って女顔だしね。二人からもかわいいって言われてるし。
入部希望の少年:「入部させてください!」
時雄:「君、名前は?」
少年:「俺は久保亮太といいます」
時雄:「じゃあ、亮太君ね。僕の名前は富山時雄。」
亮太:「はい!富山さん!」
時雄:「うん。うん。」
亮太:「ところで質問してもいいですか?」
時雄:「ああ、構わないよ」
亮太:「高柳先輩は天文部に入ってますか?」
時雄:「高柳さんとは先輩後輩として話したこともないから知らない」
亮太:「そうなんですね」
時雄:「どうしてそんなことを聞くんだい?」
亮太:「実はですね。中学時代に高柳と一緒のクラスでした。そこでちょっとした事件がありまして‥」
時雄:「事件?というよりあなた先輩だったんですか…?」
亮太:「はい。実は高柳のこと好きでよくデートとかしてました」
時雄:「ほう?じゃあ今は付き合ってるのか?」
亮太:「いいえ、違います。付き合っていたのは中2までの話で、中3からは付き合いがなくなってしまいました」
時雄:「振られちゃったんだね」
亮太:「いえ、それが不思議なことに未だに彼女とは連絡を取り合ってるんです」
時雄:「ほう?なぜ?」
亮太:「おそらくですが、俺は今でも彼女のことを想っています。だから、俺が高柳を諦めきれないのではないかと思っているんです」
時雄:「なるほどね。だが残念だけど高柳先輩は宇宙飛行士になりたくてそういうのには興味ないぞ」
亮太:「やっぱりそうですよね。あの宇宙少女がそんなことするはずがないと思っていました」
時雄:「ところで亮太君はどうしてここに来たんだい?」
亮太:「実はですね。俺の夢は宇宙飛行士になることです!高柳と同じ宇宙飛行士を目指しています。ここならきっと叶うと思って入りました」
時雄:「無理無理無理!こんなとこでなれるわけないって。活動自体やる気ないのに。それに俺は高柳先輩嫌いなの!」
亮太:「え?そうなんですか?」
時雄:「そうだよ!君の邪魔したくないから他のとこ探しなさい!」
亮太:「いえ、ここでいいです。」
時雄:「そういえば真田君も入部してくると思うからよろしく」
亮太:「しかし、なんで高柳が嫌いなんだ?」
時雄:「うざいから」
亮太:「話したこともないのにですか?」時雄:「うん」
亮太:「ちょっと待ってください。高柳には俺が入部したいって言ったのでそれを止められました。まあ、冗談でしたが……それに時雄さん高柳の事をかなり悪く言いますが具体的にどういう風に嫌いなのか説明してください。納得してからじゃないと俺も部室には行けません」
時雄:「だって勉強できてスポーツも優秀。運動部でもないのにバレー部の助っ人でインターハイ。そこそこ裕福で容姿もスタイルも抜群だから…ようするに僻みだな」
亮太:「なるほど」
時雄:「まあ、今でも他の女子よりも人気が高いんだろうな」
亮太:「でしょうね。男女共にファンクラブあるらしいし。」
時雄:「それに関しては俺にもよくわからない」
亮太:「まあいいや。じゃあ、また後でな」
時雄:「うん。じゃあね」
亮太は帰っていった。
そして翌日から三人での活動が始まった。
まず最初に行ったのは電波望遠鏡を使用しての観測だった。
この観測の目的は主に人工衛星等の位置を特定し正確に追跡することにある。
次に行ったのはレーダーによる反射波の分析だった。
これは人工衛星の残骸を探すための作業であった。
最後に行ったのは撮影した画像の解析であった。
この作業にはコンピュータを利用する必要があり専門的な知識が必要とされる難しい作業である。
以上の三つの項目を毎日交代で担当することにした。
初日にこの日の順番は真田が行うことになっている。
真田が電波望遠鏡を操作する姿を時雄と亮太が見守っていた。
真田が電波望遠鏡を調整し終わると時雄がスイッチを入れるように指示を出した。
そして画面には鮮明に映し出された衛星画像が現れた。
真田:「すごいな‥まるで宇宙船の中だよ」
時雄:「うん。初めて見る光景だから感動するよね」
亮太:「これが宇宙か‥」
真田:「おっ!あれは何だろう?」
時雄:「あれは‥たぶんスペースシャトルじゃないかな」
亮太:「へぇ、初めて見たよ」
時雄:「さて、次の工程に移ろうか」
亮太:「はい!」
こうして彼らの活動は始まった。
時雄は調子に乗ってロケットの打ち上げを見に行く企画を立ち上げ行くことになった。流石に予算がかかるので学校の費用を神人の能力で偽装して出したのだが……
打ち上げ当日、3人はバスに乗り込み目的地であるカナディアン宇宙センターまでやってきた。
そこでまず彼らは管制室に入り実際に発射されている様子を見学した。
職員の説明によるとこの発射場から宇宙ステーションへと続くロケットが打ち上げられるらしい。
職員:「本日は我々のロケットの発射をお楽しみいただきありがとうございます」
真田:「わくわくするなぁ〜」
亮太:「これは絶対に逃せない瞬間ですね!」
時雄:「二人ともテンション上がってるね」
真田:「当然ですよ!俺達は宇宙飛行士になるんですから!」
亮太:「そうですよ!これは将来の為に必ず役立つ情報です!」
時雄:「まあ、期待していてよ」
スタッフ:「発射まであと一分」
真田:「いよいよか‥」
亮太:「緊張しますね」
スタッフ:「10……9…8……7…6……5…4……3…2……1‥点火」
職員:「さあ、皆さんご覧ください!これが人類が作り出した最も壮大な建造物です!」
ロケットが勢い良く飛び上がると同時に轟音が鳴り響き強烈な振動が全身を襲った。
真田と亮太は歓声を上げていた。
時雄はと言うと特に何も感じていないようだ。
その後しばらくして無事に離陸したことが確認され一同安堵した。




